ちいかわがハードすぎる
最近友人に勧められて知った「ちいかわ」
もちろんキャラクターはとても可愛いのだけれど、
色々と考えさせられるストーリーだなと感じた。
以下、stand.fmに投稿した内容をだいたい文字起こししたものです。
ちいかわが男性に人気なのは
大変可愛らしい見た目とは裏腹に
Google検索に「ちいかわ」と入力すると
関連ワードとして
怖い
残酷
狂ってる
…などの不穏な言葉が並ぶ。
「ちいかわ」はナガノさんという作者の漫画が原作になっている。
Kindle版:https://amzn.to/468PvR1
単行本:https://amzn.to/3LDYGjR
「こういう風になって暮らしたい」
という説明とともに描かれた二等身の動物のキャラクターで
基本的にはちいかわと、
その友達のハチワレ、うさぎが送る日常を
一話完結という形で描いた物語となっている。
ちょっと妙に生々しい設定として、
ちいかわを含めた主要なキャラクターが
労働で収入を得て暮らさなければならない
というふうな設定になっているところ。
そしてその労働というのは
シール貼り
草むしり
危険生物の討伐
の3種類のうちのどれかから選ばなければならない
ということになっている。
教えてくれた友人は
ちいかわグッズのオフィシャルショップに行きたくて
彼女の旦那さんに勧めてみたところ
旦那さんの方がはまってしまって
家にちいかわグッズがどんどん増えていくと話していた。
私調べなのだけれど、
「ちいかわ」が好きと話す男性の方が多く、
キャラクター全体の中でも
男性ファンが多いコンテンツなのではないかな
という風に感じている。
厳しい現実の中で生きていかなければならない
ところに共感していることや、
ちいかわとハチワレ、うさぎの関係性に
憧れを感じるのではないかなと思う。
彼らは労働しなければならないのだけれど、
日常のちょっとした幸せをすごく楽しんでいるし、
嬉しいことを友達と分けあったり、
辛い事も
「大変だったね」とか
「頑張ったね」っていう風に
わけあって暮らしていて、
そういう存在がいるから
色々な現実も乗り越えられるのだと感じる。
草むしり検定の合格率
その特徴的なエピソードとして「草むしり検定」がある。
ちいかわ界では草むしり検定を持っていると
報酬がアップするというシステムになっている。
ちいかわとハチワレが一緒に受験するも、
ちいかわだけが落ちてしまう
という悲しいエピソードになっている。
この草むしり検定について、
空想科学読本の柳田理科雄先生のYouTubeで
合格率を計算されていた。
合格発表の掲示板の紙の大きさや
一列あたりに記載されている
合格者番号の数などから算出されていた。
その結果74.1%パーセントということで、
これは普通自動車免許並みの合格率とのこと。
確かに普通免許もそれなりに勉強しないと
突破できない試験のため、
ちいかわが落ちてきてしまったのも
仕方ないのかもしれない。
問題も難しく
「絶対にむしっちゃいけない草は何でしょう」とか
「触るとかぶれる金色の草は何でしょう」とか
「根っこが長すぎる場合の対処法」
について答えなければならず
資格を持っている人と持っていない人とで
できる仕事が変わってくるっていうのも
なるほどと感じる。
ちいかわだけが落ちてしまったということで
ハチワレが気を使ってしまうという所が
いじらしく、また二人の関係性がよく分かると感じる。
ハチワレ自身は合格しているので
本当は嬉しいはずなのに
ご飯も食べられないくらいに落ち込んでしまい
夜一人になった時に
「同じ気持ちじゃない時にどうしたらいいんだろう」
と独り言を言う。
自分だけ合格しても
自分だけ嬉しいことがあっても
嬉しくないなと感じているということがわかる。
ちいかわも非常にショックを受けつつも
ハチワレが気を遣ってくれてることがよく分かっているため
次の日の朝一番にハチワレのところに尋ねてくる。
落ちたことへのショックもだけれど、
ハチワレへの申し訳なさってが感じられる。
こんな感じでこの2人の関係性は
とても素敵なので
ちいかわとハチワレにはずっと親友でいてほしいなと感じる。
モモンガが可愛いに執着するのは
私が気になるキャラクターとして
もう一人挙げるのが「モモンガ」
このモモンガというのは
登場人物の中でも少し異質で
行動がジャイアンっぽいというか
相手に被害を与えても謝らないっていうところがある。
また、あと可愛くなりたいという
強烈な願望を持っていて
「かわいいって褒めろ」と相手に強要したりする。
なぜこんな行動をとるかというと、
もともとは「でかつよ」という危険生物で
ちいかわ達に討伐される側の生き物だったが、
どうしてもちいかわ族になりたい
可愛くなりたいと考え、
不当な方法でちいかわ族の体を奪って
入れ替わったという経緯を持っている。
そのため私は最初
「あーこのキャラクター苦手だな」と感じていた。
何がなんでも、手段を選ばずに
欲しいものを取りに行くとか
人に「褒めろ」とか「寄こせ」と強要したりするため。
ただ読み進めていくと
なんとも憎めない、
気持ちわかると感じるところもある。
モモンガがかわいくなるところに非常に執着しているのは
「かわいければ愛されるはずだ」という
思い込みを持っているからなのではないかと思う。
そういう条件で自分を縛っているため、
ちいかわとハチワレのように
無条件でお互いを思いやってるっていうような関係性が
モモンガにはなかなか理解できない。
二人の関係に憧れる描写もありつつも
なかなか憧れの存在になりきることができない
真似したくても真似しきることができないという
切なさが感じられるキャラクターとなっている。
ただ、入れ替わってしまった元々のモモンガの魂が
でかつよ族の身体の中に今でも入ってる状態で
非常に彼は困っているため、
今後このモモンガがどうなってしまうのか非常に気になるところ。
キメラになってしまった「あの子」
最後にちいかわの闇というか
もう本当に怖いところが表れてるエピソードとして、
危険生物になってしまったちいかわ族がいるという話がある。
ちいかわがシール貼りの仕事先で仲良くなった子がいたが
ある日突然、その子いなくなってしまう。
その後、ちいかわが討伐の仕事に行くと
ちいかわに何か伝えたそうにしている危険生物に遭遇する。
その後その危険生物(「キメラ」と呼ばれている)は
どんどん自分がちいかわ族だった頃の記憶をなくしていく。
そして自分が強い力を持ったことに喜びを感じたり
ちいかわ族を襲うということに、
どんどんためらいを感じなくなっていく。
いわゆる「闇落ち」といわれる現象化と思うが
この作品の怖いところは
この闇落ちの速度が早すぎるというところ。
前触れのような描写が全くなく
きっかけ的なものがない状態でいきなりこんな話が始まる。
闇落ちの代表として
『スター・ウォーズ』のベイダー卿がいらっしゃるが、
こちらは闇落ちをする
それなりの時間経過と出来事の絶望の積み重ねがあり、
のっぴきならない理由や事情が
視聴者側に分かるようになってるかと思う。
ただこの突然キメラ化してしまったちいかわ族の子のエピソード
私がなんとなく感じるのが
最近の若い人が感じている「危うさ」のようなものが
影響しているように思う。
最近の漫画やアニメの人気コンテンツ全体を
何となく見ていて感じるのが
敵は外から来るものではなく、
自分の全く関係ないところから来るものではなく、
身近な友人あるいは自分自身が
ある日突然狂ってしまうというか
まったく変わってしまう
というところから敵が現れてしまう
と考える傾向にあるように思う。
ほんのちょっとしたきっかけで
自分が狂ってしまうかもしれないし
相手も狂ってしまうかもしれないし
ほんのちょっとしたきっかけで
何もかもが取り返しがつかないくらいに変わってしまう
かもというところが、
この作品にも表れてるように思う。
このちいかわ族の子も
どうなってしまうのかが非常に気になるところ。
この作者の油断も隙も無い所は
これらのちょっとぞっとするような話を
非常にほんわかした癒されるイラストで描いているところだと思う。
ちいかとハチワレ、うさぎの三人は
ずっと仲良くしてほしいなと
もう非常に心から願っている。
タイトル画像:
【ちいかわ】壁紙よかったら使ってください(byナガノさん) - ちいかわ日和 (chiikawa-biyori.com)
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