『ジョン・ウィック』と『キック・アス』の共通点(ネタバレあり)

午後11:40 · 2024年3月20日

WOWOWで放送中の『ジョン・ウィック』見てます。シンプルだけど物語の進め方が上手なんだよね、この映画。それでちょっと思い出したのが『キック・アス』。主演のアーロン・テイラー・ジョンソンが新007らしいというニュースを受けたのもあって。まあこの二作に話としての共通点は全然ないのですが

でも心に抱えきれない程の喪失感を受けた人間の反応としては似てるのかなと思って。どちらも最愛の人を病で失って、だからその怒りをぶつける具体的な相手がないのね。医療ミスでもあれば担当医にむくでしょうが、それもないらしい。そうするとその感情はただ自分の内部にこもっていつまでもそこにある。

『キックアス』でいみじくも言ってましたよ、これが誰かに殺されたのなら、まだ復讐という手段があるのに、と。なんとなく『ジョン・ウィック』はそのアンサーな感じがする。最愛の人の病死は黙って受け入れたけれど、その人が残してくれた仔犬が殺された時に我慢してた感情が爆発するのは
ある意味ジョンにとってラッキーだったんじゃないかと。本当は最愛の人の死の後で、誰彼構わず殺したいぐらいの気分だったのをからくも理性で押しとどめていたのを、阿呆がのこのこ現れて封印を破ってくれたんだからさ。こいつらだったらなんぼ殺してもいいと、ジョンはその時ほっとしたよね、きっと。

だからこのシリーズ、「2」はともかく、パラベラムもコンセクエンスも蛇足なんだよね。それでもキアヌだから見るけどね。確かにジョンのバックグラウンドやコンチネンタルの存在は面白いからそれでスピンオフを作るのはいいけどさ、でも『ジョン・ウィック』という物語はとっくに完結してるのよ。

パラベラムもコンセクエンスも、ジョンが死に場所を探し続ける途中のできごとだったに過ぎない。だって復讐を成し遂げてしまえばもうジョンに生きる意味は残ってなかったんだもの。一応、「1」のラストでここで自分もむざむざ死んだら悔しいからと自分のために殺処分寸前の犬を飼うことに決めるけれど

でも最初の仔犬のようにジョンがその犬を愛していたとは思えない。愛そうとはしたのだろうけれど。あくまでも代替に過ぎなかったのだと思う。だって預けっぱなしで平気だったもの。愛する者とは片時も離れていたくないのが普通でしょう? 二匹めはそうじゃなかったのよ、彼にとって。


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