クトゥルー神話年代記(雑誌版) 第2回

(本稿は、三才ブックスの『ゲームラボ』誌に寄稿した記事の原稿に、誤字脱字や用語などの若干の修正を加えたものです。公開にあたっては、編集担当氏の同意をいただきました。なお、本稿に加筆したものが、同社の『ALL OVER クトゥルー』に掲載されています。noteの最低金額の100円で有償設定しておりますが、同書を購入された方が遥かに安上がりであると考えます)

アザトースの眷族たち

 フリードリヒ=ヴィルヘルム・フォン・ユンツトの『無名祭祀書』によれば、〈旧き記録〉を盗み出したウボ=サスラは、地球の底に広がるイクァアと呼ばれる領域に〈旧き記録〉を隠匿し、無数の眷族を産み落とし始めた。その中には、ズルチェクォン(ズシャコン)とアブホース、ニョグタ、イグ、アトラック=ナチャ、バイアティス(注1)、ハンなどの力ある存在が含まれていた。
 いっぽう、ウボ=サスラの双子の兄弟とも言えるアザトースとその御子たちもまた、星々の海を渡る過程でおぞましい眷族を増やしていた。
 ヨグ=ソトースは第23星雲の奥に存在する〈ヴール〉と呼ばれる領域において、名前のわからない雌性存在とつがって大いなる旧きものたちの祭司と呼ばれる大クトゥルーを産んだ。ヨグ=ソトースはまた、名もなき場所で別の神性との間に〈名状しがたきもの〉ハスターをもうけた。このため、ハスターはクトゥルーの半兄弟と呼ばれている。

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