第9章 天も地もない場所(ドラブラメインストーリーまとめ)その3

 スマートフォン向けMMORPGコード:ドラゴンブラッドメインストーリーのまとめです。

風間瑠璃の高笑い

この機を逃すな……!

 逃げる王将を狙おうとするロ・メイヒですが、うまく当たりません。風間瑠璃は飛行船の後方にある舵を狙うよう指示し、自分はハンググライダーで王将に接近します。

王将に襲いかかる風間瑠璃

 風間瑠璃の手には刀が握られています。何度も接近しては斬りかかり、ついに王将を梯子から払い落としました。この高さから落ちたのでは、まず助からないでしょう。

「ハハハハハハ……」
風間瑠璃
復讐は果たされた

 王将が堕ちていくさまを見下ろしながら、風間瑠璃は悪魔のように笑います。その姿を、稚生は複雑な表情で見つめていました。

複雑な表情の兄、稚生

 稚生は桜に、どうしてここにいるのかと問います。桜は夜叉、カラスと相談し、稚生が展望台にいると踏んで彼を守るために駆けつけたのでした。

 橘政宗はまだ息がありましたが、古竜の血を摂取した影響で様子がおかしいようです。

「保存された……胎血だ。しかし……ワクチンを使えば、あと数年……或いは……10年以上は生き残れるだろう。ぬしの……結婚式にも……出られるかもしれないぞ」
橘政宗
《プレイヤー》に真実を明かす橘氏
「ブラックスワン港の件で、ぬしはわしを許すはずがないとわかっている。じゃが、そのことで稚生を恨むのはよしてくれ」
「海底でぬしらを犠牲にするよう命令したのも、あの堕武者どもを飼い慣らしていたのもわしじゃ。稚生はただ、わしに従順すぎる子供だったというだけなのじゃ」
橘政宗

 その時、彼らのもとに堕武者の群れが迫ってきました。王将が橘政宗の息の根を止めるために差し向けた刺客に違いありません。

すごい数の堕武者だ!

 動けない橘氏をかばいながら、力を合わせて堕武者と戦います。ようやくエレベーターに辿り着くも、次々に湧いてくる堕武者を足止めしなければ逃げきれません。

「桜、聞いてくれ」
「エレベーターが開いたら、私が堕武者を抑える。あなたは政宗殿をエレベーターのところに連れていけ。私にかまうな」
源稚生

 桜は稚生の目を見て、きっぱりと言いました。

「できません」
矢吹桜

桜の過去

 数年前ーー

「知ってるか? あの武器を拾う女の子、お腹すいてるから、食い物あげれば手伝ってくれるぞ」
カラス

 アフガニスタンで孤児となり、生きるために暗殺者となった桜。風魔家に忍としての適性を期待され、日本に連れてこられた彼女でしたが、日本の暮らしに馴染めなかったためか育成を放棄されていました。
 そんな彼女を見出し、生きる場所を与えたのが稚生だったのです。

主従の出会いの場面

 部下として何ができるかと問う稚生に、桜は「人を殺すことしかできない。食べ物をくれるなら、人を殺すよ」と答えます。

「いや……人を殺す手助けはいらない。自分で人を殺せる。だが、きれいな部下がいないんだ。私に付き従う美しい女の子を務める気はあるか」
源稚生
他はカラスと夜叉くらいしかいないもんね
「あなたがどんな美人を好きなのかは知らないよ」
矢吹桜
「私にもわからない。でもやればできるはずだ」
源稚生
握手を交わす2人
「決まりだな……食べ物をくれるなら、美しい女の子になってやる」
矢吹桜

 稚生が差し伸べた手を、桜は握り返しました。


桜、散る

 稚生は言霊《王権》を発動し、その隙にエレベーターに乗り込みます。しかしエレベーターのドアが閉まる直前、桜は自らを囮とするため、ひとりエレベーターを降りました。

「やめろ!」
「だめだ、よせ!」
源稚生
これが最期のお別れ

 桜は稚生と過ごした日を思い出していました。
 ある雨の日の夕暮れ、稚生は雨に濡れながら海を眺めていました。

「水銀やテルミット焼夷弾で本当に神を殺せるのでしょうか?」
「これまでの竜殺しのケースを見ると、竜王級に致命傷を与えるものは科学で説明できるものではありません」
矢吹桜
桜の聡明さを評価する稚生
「我々には他の武器がある。宮本家当主の計画が失敗したら、赤い井戸に飛び込むべきは彼ではなく、私だ」
「もし私も失敗したら、絵梨衣をあの井戸に投げ込むしかない。彼女は我々の最終兵器だ」
源稚生

 あの井戸とは、以前風間瑠璃が話していた蔵骸の井戸のこと。そこは白王の骨『聖骸』が眠る地であり、現在も宮本志雄率いる岩流研究所が調査を行っています。彼は白王復活を阻止するため、蔵骸の井戸と赤い井戸の間にトンネルを掘り、そこに大量の水銀とテルミット焼夷弾を投下する計画を立てていました。

「もし私の予想通りなら、絵梨衣さんは実は鬼ですよね?」
矢吹桜
「ああ。彼女は史上最強の鬼だ。一族は彼女の能力を必要としている。彼女は兵器として育てられ、必要な時に使い捨てられてしまうのだ」
源稚生
「だからこれまで、稚生様と政宗さんは絵梨衣さんを心配していたんですね」  
矢吹桜
「その気遣いは偽りだ。武士が腰に刺す刀を拭うようなもの」
源稚生
立ち去ろうとする桜の背中に、稚生が問う
「こんなにも残酷な真相を聞いても、何も言いたくないか? 卑怯だとか残忍だとか言わないのか?」
源稚生
私たちは皆、武器でしかない
「そうは思っていません。私達は武器。折れたら仕方がない。あなたも自分を武器だと思ってるでしょ? みんな凶器。お互い慰め合えばいいんです。傘を持ってきます」
矢吹桜
「この件をうまく片付けたら、私はフランスへ行きたい。一緒に休暇をとらないか?」
源稚生
「光栄です」
矢吹桜

 その旅行の計画が果たされることがありませんでした。桜は堕武者の群れの中にただ一人取り残され、ロ・メイヒが必死に援護射撃をしようとしますが、助け出すことができません。

また、目の前の命を救えない……

 桜はロ・メイヒに礼を述べると、堕武者を展望デッキの端へと引き付けます。

「若君、申し訳ございません。これからは、お側に付き添うことは叶いません。ああ、どうか……」
矢吹桜

 最期まで稚生を想いながら、桜は電波塔から身を投げたのでした。

(その4に続きます)