第12章 ダモクレスの剣(ドラブラメインストーリーまとめ)その2

堕武者の大群

 《天罰》の東京上空到達まであと50分という時、新たな問題が発生します。

「東京都気象局は東京湾にカメラ付きブイを設置しました。これは数分前に東京湾の会場で撮影した映像です」

EVA
デッドマンの大群が東京湾に!

 1万を超える怪物の大群が猛スピードで東京に向かっており、その距離は数分前に34km、現在は32㎞ほどまで縮まっていると予測されます。このままでは東京の一般市民に被害が及んでしまいます。
 EVAの推測によれば、これらは高天原とともに海底に沈んだ別の都市を守っていたミイラのような竜族で、神の覚醒にともなって目覚め、神に拝謁するために蔵骸の井戸へと向かっているようです。

 そこで研究員の一人が、デッドマンを一ヶ所に集めて精製硫黄爆弾で一掃する作戦を立案しました。

研究員の作戦を聞く

 曰く、トリエステに搭載した《桃太郎》と同型の爆弾が東京にあり、海上で爆発させれば直径1キロを焼き払うことができるのだとか。
 弾頭を運び入れるのに必要な時間は30分。アンジェ、シーザー、ソ・シハンが、デッドマンを足止めしつつ直径1キロ内に集める役を担うことに。


 その時、装備部専門員が「上杉越という人物が校長を訪ねてきた」と報告してきました。


上杉越の嘆願

 職業《料理の道》でお馴染み、ラーメン屋店主の上杉越……実はその正体はオロチ八家の元大族長にして上杉家元当主、アンジェの旧友でもある混血種だったのです。
 長きにわたる争いに疲れた彼は大族長を引退後、ラーメン職人としてひっそりと暮らしてきました。

ラーメン職人となった元影皇

 スクリーンの映像を見て、アンジェが東京を手中に収めたことを知った上杉氏は、東京を脱出しフランスへ逃れるための航空チケットを融通してほしいと懇願します。
 かつては《影皇》と恐れられた友の軟弱な態度にアンジェは激怒。

「街が死にかけている!」
「君はそれを救える数少ない人間だろう! だがそれを無視して、私への頼みごとが航空機のチケットだと!」

アンジェ

 神が目覚めたら人間に阻止するすべはないと訴える上杉氏を、絶対に神を殺せると一喝するアンジェ。

「分かったよ。口ではお前に敵わんさ。お前は人類の未来で、私は敵前逃亡する卑怯者だ。軽蔑されても仕方ないさ」 

上杉越

 上杉氏は、自分の命がもう長くなく、故郷のフランスに戻り母の過ごした修道院で最期を迎えたいのだと強く訴えます。

「その昔、日本のために私を殺しにきたというのに、今はその国を捨てて逃げ出すというのか……どうやら私は時の流れを軽んじていたようだ。ともに歳をとったが、お前はずいぶんと愚かになった」

アンジェ

「なぜ、私が日本のために我が身を犠牲にするんだ? すでに一度はこの身を捧げた。もう十分だろう?」
「ヤツらは私の血統にしか興味がない。妻を何人か選んでよこしてきたが、私も父と同様、子を成す道具にしたかっただけだ! ヤツらは私の遺伝子サンプルをドイツに送り、研究までした。科学技術で試験管ベビーの皇を生み出せるなら、私のことなど躊躇せずに切り捨てるさ!」

上杉越

 アンジェは呆れ果てつつも、自分が乗ってきたプライベートジェットなら一機あると言います。上杉氏もアンジェたちとヘリポートまで同行することになりました。

自分の帰国手段を失うことになるが、
アンジェにとってはどうでもよいことだ

背水の陣

 アンジェらはヘリポートに到着。上杉越が乗るプライベートジェットは空港にあるため、ここでお別れです。 

「また会えたら、話したいことがある」

アンジェ

「ありがとう! 恩に着るよ、アンジェ!」

上杉越
アンジェに感謝する上杉越

 アンジェらは海ほたるを防衛拠点とし、堕武者を迎撃することになっています。ヘリポートまで見送りに来た装備部責任者はアンジェの武運を祈り、別れを告げようとしました。

「ハハ、いきなりすごい局面だな。シーザー、機関銃を渡してくれ」

アンジェ

 シーザーから機関銃を受け取ったアンジェは、後方に控えていたヘリを蜂の巣にしてしまいます。

機関銃でヘリを破壊するアンジェ

「退路を絶たれた人間は、いつも以上に勇敢になるのだよ。さあ、背水の陣で戦う君達の勇姿、しかと見せてもらおうか」

アンジェ

「校長先生に比べればまだ詰めが甘いです。そんな小細工でごまかせると思いますか?」

EVA

 実は校長を見送った後、密かに撤退しようとしていた装備部スタッフたち。その思惑を見抜かれ、退路を絶たれてしまったのでした。
 こうなっては戦って生き延びる意外に道はありません。悪態をつきながらも、装備部スタッフたちも仕方なく戦闘準備に取り掛かります。

(その3に続きます)