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アイドルに会いに台湾に行ってきた話

はじめに

見つめ返す眼差し
弾んでいた呼吸が止まる

夏日和の風に包まれて
静かに始まる物語
僅かに触れる手の
熱が涼風を追い越して

BELLRING少女ハート『夏のアッチェレランド』

アイドルとは「越境」である。

それが越えていくのは既存の価値観であるし、文化と文化であるし、人と人であるし、音楽である、そういったあらゆるものがクロスオーバーするのが「アイドル」という現象であり、それを実践するひと、そしてそれを取り巻く環境なのだと思っています。わたしはそんな「アイドル」が好きです。

フロアにいてステージを見つめていると視線と視線が交錯しその瞬間感情と感情がぶつかり合う、そんな瞬間が訪れることがあります。今回帰国前最後に見たステージがまさにそうした体験で、あまりにもきらめいていて、途中からずっと涙が止まらなかったです。そんな瞬間の記録と記憶が本稿です。それではどうぞ。

台湾とわたし

実は台湾自体は今回が初めてではなくて、1回目は親友との2泊3日、ちょうどコロナ前の2019年でした。この親友はオタク繋がりでできた10年来の仲なんですけど、ちょうど同じ時期に台湾に来てたサークルの同期と急遽飲むことになるという謎イベも発生(?)した良い思い出。そして今回が2回目。

という、年に何回も訪れるようなフリークではないにしても、台湾という場所に強く思い入れがあるのは、愛してやまない「BELLRING少女ハート」というアイドルが台湾と強い縁があるからです。

↑困ったときのWikipedia

かつて在籍していたメンバーに台湾出身のTIRAさん(TIRAぴょんと呼んでる)がいた関係で、それこそ9年前(2015年)にベルハーは台湾遠征に行っていました。当時のわたしはというと2015年は大学3年生であり、ベルハーには通いこそしていたものの遠征なんてできなかった状態だったので、当時を知るオタクの方々の話を半ば伝説的に捉えていたり。

それから9年、わたしは社会人7年目となり10年パスポートを携え台湾に降り立っています。労働はクソだが、だからこそ非日常が際立って輝く側面はあります。そんな労働への呪詛から始まる旅行記形式で以下記述していきます。

旅行記:Day1(3/2)

ここ半年は取り組む仕事や働く場所が大きく変わるだけでなく、労働時間そのものも増えていた関係でかなり堪えていた時期です。ガタイと体力はある方だとしても、メンタル面でもわりと来ていた実感があります。往路の飛行機は05:45羽田発のPeachだったので時間帯的に深夜に羽田に行くしかなかったのですが、普通に22時退勤というありえない話。理論上可能を実現してどうする。

これは下北沢で買ったイカしてるキャップ

空港ベンチ泊だと眠れないだろうなと思って第1ターミナルのファーストキャビンを予約(1泊9500円!)したけど、結局到着したのが24時15分、タクシーに乗って第3ターミナルに移動したのが27時30分というヤバスケジュールになってしまった。横になれただけでも良しとするか…寝心地は良かったです。

そんな睡眠時間1.5時間の状態で第3ターミナルにたどり着いたんですが、ちょうど同じ便で台湾に向かう知り合いオタクの方々に遭遇できたのですでにそこで一気に疲れが吹き飛んだ感覚がありました。皆様ありがとう。

みんなで搭乗待ちの時間に大富豪やったよ

スケジュール的には5時台発の便だし、12:10が推しグループの出番だったのでそのくらいには間に合うっしょ〜と思っていたら、いざ到着してみればLCCなので着陸〜建屋までが長い+入国審査列がソアリンぐらい長い、かつ桃園国際空港から台北市内までが約40分、そこから箱がある駅で乗り換え含め約40分、みたいな所要時間で、早速推しグループのライブに間に合わない事象が発生。イレギュラーは旅行の醍醐味とはいえなんすよ!ちょうどsituasionの3曲目くらい?に入ったらROXY × eggmanみたいな作りの箱で一気にホーム感湧いてきたのがハイライトでした。

ちなみにこの時点で何も飲み食いしていない。箱はドリンク代取られなかったけど、日本のライブハウスが業態としては飲食店だからドリンク代を取っているというのが実は特殊なのかもしれんな、と思うなどした。

その後オタクハウス(14人で泊るエアビー拠点)に荷物を置いて再び会場に戻るまでの2時間で飯も食べるというタイムアタックを敢行。せっかくだし現地感のある飯がいいよねということでルーロー飯とか牛肉麺を宿付近で探した結果、評判が良さそうな「きたなうまい店」に3人でログイン。

かなり雰囲気のある市場を進む(後ろ姿すみません)
15個入りが2個来て腹パンになった
麻辣牛肉麺だよ推しメン

この土日が雨かつべらぼうに寒くて日本とそんなに変わらない気温だったので、殊更空腹にあったかい牛肉麺が沁みて沁みて…
確実に一人旅だったら入っていないタイプのお店(ドが付くほどにローカル)だったから、一緒に行動してくださったお二人にめちゃんこ感謝しています。多謝。

タイムアタックも無事終わり箱に戻ってからはライブを全力で楽しむ時間。昼に間に合わなかった悔しさもありつつ、純粋にワックワクで迎えたFinger Runsのライブが良すぎて、ものの20分くらいの出番だったけどすでに台湾に来た元を取れましたマジに。フィンズの1曲目は『FYI』という厳かに始まる世界観系な楽曲だったけど、会場の電源トラブルで音楽が一切流れないというアクシデントが冒頭1分間くらいあり、結果アドリブでMCを挟み場をつなぐという対応力もまた素晴らしく。この日の個人的ハイライトは間違いなく『またね来世で』の宇宙初披露でした。直後のMCでみずほちゃんが「歌詞に台湾って入ってるから台湾で初披露したよ〜」的なことを言っており最高。この楽曲は2月14日にリリースされたFinger Runsの1stアルバム『Finger Runs』の収録曲においてトリを飾る、個人的に本アルバムでも1,2を争う好き曲なんですが、踊るビートに跳ねるような個性的な各メンバーのラップが乗っかり、「またね来世で」と歌い上げてしまうこの軽やかさよ。

夜の部のベルハーでは『ホーネット’98』を浴びることができた(披露は2回目だったみたいで訂正)。台湾に黒い羽はやはり似合うな、というところと、「あの時」とは全く違うメンバーが個々の輝きを放ちながらベルハーとなっているバランスが素晴らしくて、グループ自体が持つ「狂気的な子ども」性とが何重にも相乗効果を生んでいる気がしました。

台湾のアイドル「Primulav」のKANA-KANAさん。めちゃ話しやすくてかわいい。
トリリンガル(台英日)なの尊敬ですわね___

↑全編日本語の会話である

↑大学ご卒業おめでとうございます!!

ライブが終わった後もまだまだ1日は終わりません。22時スタートの中華料理オフ会があるからです。オフ会が控えているから飯食べるのはもったいない、ただかなりお腹は空いている、という状態で会場に向かうと入場に時間がかかっているのかスタッフ・メンバーが到着しきっていなかったからなのか、いずれにせよなんやかんやで30分外に待たされかなりオタク側にストレスが溜まっているのは感じました。実際わたしもそう。海外開催という難しさはあるにしてもなかなかね、と思ったりはしましたが、いざ始まるとみずほちゃんの『乾杯』(長渕剛)がすべてを良い感じに(?)してくれました。

オフ会自体は同じ卓になった普段は話したことがなかったオタクの方と交流できたのも嬉しかったし、すでに交流があった人とはより仲を深めることができたり、推しメンやメンバーが美味しそうにご飯食べてたり、卓を巡ってオタクと話してくれる優しさに胸が一杯になったり、それをちょうど全体を見渡せる席にいたおかげで拍車がかかり気づいたら大瓶3本空いてました。

100台湾ドルで1本。バドワイザーみたいな呑み口でおいしい。油っこい料理に合う。

なぜか『初日』と『Only today』を口ずさんでしまう状態だった。歌いたくなるくらいいい空間でした。撤収したときにはすでに25時。同じオタクハウスに帰還したみんなは泥のように寝ていました。長い一日だったが最高だったぜ。

台北駅目の前の、え?ここにエアビー?って感じのデカいビル。
スケールのデカさにアジアを感じる。

旅行記:Day2(3/3)

永和豆漿の朝ご飯。最高の1日は最高の朝食から。

2日目の朝は台湾の朝飯として有名なのが豆乳ベースのスープに揚げパンを浸した豆漿(写真←)らしく、オタク数名で訪れてみました。二日酔いどころではない胃腸の環境に染み渡る___

わたしは月曜日に仕事があったので(休めなかった)、日中発夜成田着の便で帰るために、ライブ自体は午前の部のみ、しかも特典会には間に合わない状態だったのでほんとにライブだけ最後見届けて帰るという日程。

この昼の部のベルハーが過去イチに刺さってライブ中ほぼ泣いてました気づいたら。

或いはドライブミュージック→She's Rain→憂鬱のグロリア→夏のアッチェレランドの流れで完全に溶けました。ステージで舞う5人と、楽曲の世界観と、衣装の黒い羽と台湾という地の縁と、すべてが噛み合って、もう。みとちゃんの真っすぐで衒いのない表現も、ひーたんのワンダーガール感あふれる歌声踊り表情も、パフォーマンスの重心として説得力を持たせることができるつばめも、こずゑの没入も、咲良の躍動と親和性も、いまのベルハーのきらめきがあの6曲のセトリでスパークルしていて、今後数年はこのライブの光景で生きていけそうなくらいの体験でした。ほんとうに良かった。そしてこの感想を直接伝えられるのはまた次の土曜日になりそうです。

↑脳内ではこれが流れながら空港に向かってました

ちなみに帰りの飛行機は滑走路が混んでて1時間半遅れたよ!日本についたのが22時、家についたのは24時だったよ!

おわりに

というわけで、台湾遠征記でした。最後までいたかったけどもね…労働はクソです。ただ間違いなく個人的オタク史に刻まれる2日間でした。アイドルのみなさんもオタクのみなさんもありがとうございました。再见!!

夏が終わりを告げる頃には
もっと君を知っていたかった
色づいていく街の景色と
冬を待ち望んで

I need your smile
少しずつ 少しずつ
動き出した 恋のpractical phase
あなたに届いたかな
胸の奥秘めた sweet heart ache
儚い夏の恋の夢は
遠く広がる空へと投げた

BELLRING少女ハート『夏のアッチェレランド』

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