REACH OUT and TOUCH FAITH

はじめに

 本稿は2023年1月8日に行われたAQBI  DIG、および新旧ベルハー対決である「DEAD OR ALIVE」を経て巻き起こった自身の感情の動きだったり、ステージで起きていたこと、音楽と躍動する身体の協奏、といったものを書き残す目的として書かれたものになります。夢みたいな時間だったな、というのが当日全てが終わって帰路についているわたしの脳内を支配していた感情だったのですが、次第に日数が経つにつれ(余韻はずっと残っているのですが)これは新旧ベルハーの対決であったことだけでなく、大きな縦軸の中で整理されるべきライブだったのではないか、といった感覚が強くなってきたので、今一度記憶を掘り返しながら、時にナタリーの記事を参照したりしながらこれを書いています。それではどうぞ。

AQBI DIG(昼の部)

 夜の部が新旧ベルハー対決というのが告知されてからは本当に気が気じゃなかったし運良くチケットが当たってからもずっと緊張してたんですけど、昼の部もそれはそれでFinger Runs(以下フィンガーランズ)とfishbowlという推しグループの共演(ミシェルもいたけど)だったので、割とTwitter上なんかでは「1/8ってわたしフェスなのでは?」みたいなことを言ってたりしましたが(あと與那城さんがいれば完璧だった)、普通にこっちにも緊張を引っ張っていました。ずっとソワソワしてた。それにわたし自身フィンガーランズというか唯ちゃんおよびAQBIオタクの皆さんといる時のモードと、fishbowlもとい日音ちゃん、および鉢オタの皆さんといる時のモードは微妙に違っていたりしたから、自分の中の切り替えの中の話ではあるんだけれどそこが瞬時に入れ替わったりしていたのが自分でもわかったしそういう意味でも面白かったです。中学と高校の時のコミュニティが交わっている感覚というか。

 昼の部3組のタイテおよび出順は非公開だったのでゲストのfishbowlが1番手かな?と構えていたらまずはフィンガーランズからのスタート。フィンガーランズは朝倉みずほ、小笠原唯、兎月こむぎ、鹿目あき、中谷美月の5人組で、先の2022年12月31日にデビューしたばかりのAQBIにおける一番新しいグループですが、みずほちゃん唯ちゃんの紆余曲折を経てさまざまな表現を体得してきた経験者2人がパフォーマンスをリードしながら、新メン3人が歌唱やダンスで食らいついていくというミクスチャーなグループで、現在持ち曲としてある4曲は作曲陣にタニヤマヒロアキ、福井シンリ、ken akamatsu & kiara yuiというこれまでのAQBI楽曲でもお世話になってきた信頼と実績の面々(振り付けはナンシー)なので、わたしが好きにならないはずがなかった!!!
 パフォーマンスそのものはデビューライブである大晦日の昼の部に見ていたはずなんですけど記憶が曖昧(上の階にいたのと飲酒)だったので(マジでごめん)ちゃんと今回は見るぞという構えで臨んでいました。楽曲の質感としてはダーク色というよりもロックが強く、またダンサブルという意味でもこれまでの所属グループとはまた路線が異なるものではあるものの、NILKLYだったりグーグールルだったりのエッセンスも個人的には感じたりしていて、この、特にMIGMA SHELTER以降のAQBIにおける集大成感があります。まだ田中さん曲はないのねそういえば。わたしは田中さん曲も待ってますよフィンガーランズに…。あとは歌声。新メン3人は既にパキッとした声色を持っていたし、なにより声が腹から出てるのがイイ。声って世界でたった一つの楽器だから(©菅井ちゃん:菅井秀憲さん)。綺麗に合わせるとか揃えるとか、というのもスキル的な点でいうとぶち上がったりするポイントではあるんですが、わたし個人としてはメンバー個々人の個性が全面に出ていていて、その個性の集積がグループカラーになっている、という方向性のほうが大好きだったりするので、このまま突き抜けていってほしいですね。まあ唯ちゃんみずほちゃんが居るので大丈夫だ、という安心感があります。ちなみに現時点で出ている4曲のうち刺さっているのはユレルミライです。ken akamatsu氏(元:溺れたエビ)楽曲のオタクなので、琴線が反応したのは間違っていなかった。そしてタニヤマさん楽曲はカチッと格好良いし福井シンリさん楽曲は遊び心に満ちていて楽しい。遊び場みたいな現場になれば良いなあと思うし、新メン3人と唯ちゃんみずほちゃんとの化学反応も楽しみですほんとうに。良いグループ、良いメンバーが揃ったな〜と思ったパフォーマンスでした。

 2番手のfishbowlは久松由依さんが成人式出席のため欠席(由依ちゃんおめでとー!!)で3人でのパフォーマンス。この座組としては藤枝の産業祭?のとき以来だったっぽいですたぶん。4人組で1人欠席するとその1人のパートをみんなで分担して、ということが発生するので、このパート誰々がやるんや!という面もありそういう意味ではレアでした。ただ4人のグルーヴもまた大好きなのでね、、、。このライブでは3人でできること、を全部ぶつけてくれたように思いました。
 この日のセトリは深海→踊子→平均→熱波→距離→猛獣→半分(公式インスタ参照)。定番曲・盛り上げ曲の中に踊子とか距離を混ぜてくるバランスが好きでしたし、距離は歌詞を噛み締めていたら気づいたら涙が止まらなくなってました、、、、12月30日にナラちゃんが卒業したこととか、これまでのいろんな推しメンとかを思い出してさ、もう。踊子もライブで聴く回数はわたしが行った中ではレアめな曲なので嬉しかったです。フロアを盛り上げる曲と聴かせる曲とのサンドイッチのセトリは対バン形式感があったし、あの楽曲群をLOFTの音響で聴ける、ライブを体感できるとなったら身体が動いてしまうよね、という。クリスマスライブからは風花や茶切の解禁、およびセカンドアルバム『王国』の告知があったり、3月にはツアーを控えているなど活発なfishbowlなので、今後も楽しみです。よ!!

↑日音ちゃんTwitterに「AQBI DIG」の文字列があるのなんか変な感じするけどこれはあれだね実家を紹介する感覚だったね(?)

 そしてMIGMA SHELTER。もうフロアからは退出してバーカンで飲んでたらレーレが卒業を発表してました。からのSunrise=Sunset。それなりに長い期間知っている子の卒業発表はことさらに寂しいものがあるけれど、同時にこの子に救われてきた数々のオタクたちの顔だとかを思い浮かべたりなんかして、うん。「あの頃」が終わると同時に新しいAQBIのフェーズなんだなあと思うなどしました。そしてその最新グループにみっちゃんがいるというのも面白い。なんだかんだAQBIで育ってきたのでAQBIが好きなのかもしれない。

DEAD OR ALIVE(夜の部)

 夜の部は整番400以上出してると知って普段のLOFTの感覚ではこれは見られんな、、と若干気落ちしかけるも、自身の整番は110番台だったし結果としては4列目くらいでわりかしステージは見えた方の部類だったと思います。タッパがあってよかった(後ろの人マジですいません)。このライブが告知されてからはずっとソワソワしていたのは上にも書きましたけど、公式Twitterでオリジナルの面々が事務所でセトリ決めしてる写真だとかが上がったりしていて、ああ「マジでやるんだな…」というものは感じつつも、それでもやはりステージでこれから何が始まるんだ…?という異様な雰囲気がLOFTに漂っていたのを思い出します。

↑ここは2022年である

 そんな熱気の中みずほちゃんと唯ちゃんがそれぞれオリジナルと'22の代表者としてステージ中央に登場。午前の部では同じグループのチームメイトとして活動していた2人がここでは両チームのキャプテン的な位置づけに。ベルハー、ゼアゼアを経験した朝倉みずほ、NILKLY、ベルハー'22を経験した小笠原唯、この2人を擁するフィンガーランズはバチボコ面白いんですが、今回はベルハーとしての両者を見る形に。じゃんけんで出順を決めていた(という体?かどうかは知る由もなし)結果、'22→オリジナルの順番でのパフォーマンスに決定。そして一旦ステージから両者が退散し、いよいよ開演です。

'22

 セトリは↑の唯ちゃんTweet参照。グロリア始まりは’22でも何度か体感していた(気がする)けれどやっぱりLOFTは鳴りが違ったし、グロリア自体’22でも多分披露回数が一番多いくらいの曲だったと思うので、’22メンの曲世界へのダイヴを一気に感じることが出来た滑り出しでした。からのStarlight Sorrowでしんじゃった。あの曲は歌詞がほんとうにズルいので。

 そしてUNDO。もうわたしのライフは0です、この流れを2023年に浴びれるなんてね。あと意外だったのはホーネット。イントロで耳を疑ったしこのいい意味での軽さをも’22は扱えるようになったんだなという感覚もあり、底抜けで楽しい曲を楽しくできるのもまた表現だと思うので、’22メンもメキメキと色んなものを身に着けていったんだなあと感じました。
 オリジナルの当時のホーネットとかほんとにステージで遊んでるかのようなライブで、でもグルーヴとフロアステージの呼応があって、なんと形容すればいいんだろう、神社の境内で蹴鞠してる感じというか、真っ黒だし羽も生えてるんだけどどこか神聖で祭祀的でもあるというのがあの当時のベルハーで、この’22はアスリート気質というか基礎がしっかりある上でのベルハーのインストールであり、そのベルハー解釈だとか身体性の違いはそれはそれで興味深いし見ごたえもあったので、個人的に’22はだんだん好きになっていった(そりゃ最初は複雑だったさ)存在でした。

 そしてこのライブを以て’22は終幕を迎えたわけですが、最後に一番いいライブしていなくなってしまうのズルいんだよな、もっと観たいって思ったところだったので。ただこの潔さも含め’22だったんだなあとも思います。ミシェル組の3人は一層表現にストイックで、’22のときはある程度人格を分けて臨んでいるような感覚がありましたし(名前も変えている)、対しての唯ちゃんは小河原という名義(?)ではあったもののNILKLYで培ってきたAQBIそして黒い羽の形質を色濃く発揮しながらも、そのガッツと表現力で爪痕を強く残していたんじゃないかなあと。わたしは唯ちゃんのダンスが好きなんですよね、魂が踊っている感じというか、目を閉じてもそこに感じるエネルギーが溢れ出ているというか、とくにわたしは身体性のオタクなので、そういうダンスをする子に惹かれる部分はあります。なんだかんだ’22は唯ちゃんを観に行っていたところがあったので、その過程でミシェル組のパフォーマンスを多角的に見ることも出来たし、年末からはみとちゃんも参加して5人というフォーメーションの迫力も増したりしてて見応えありました。1月2日のNPPでZepp DCでの40分ライブで未来を感じたんですよね。

 そして葵みとちゃん。12月31日に’22でお披露目、から1月8日までは上述のNPPのみという、あまりにも短期間ではある’22への参加だったけれど、あの’22というパフォーマンス集団に参加していく事自体が大きなチャレンジだっただろうし、続く’23の中核として動いていく上ではこの3公演を経験したことは本当に大きいと思います。最後大円団アンコールであやのさんとみとちゃんが並んでたのとか見てたら「これが火の意志の継承…!」となったりしてました(最近NARUTOを読み返している影響)。みとちゃんはアイドルとしてのファーストキャリアが’22、もとい’23になるというかなり面白いスタートなので注目していきたいところです。ギター歴10年はあったりとか(弾き語り動画を上げてたり)結構色んな面白さを秘めていそうで今後も楽しみです。’22の4人に食らいつきながらも必死にパフォーマンスしている姿だとかは’22だけどかつてのオリジナルをも彷彿とさせる部分もあり、まさしく未来だなあと思いました。ふぁいてぃん!!

オリジナル

 全17曲。あやのさん、みずほちゃん、珠梨ちゃん、カイちゃん、仮ちゃんの5人が2023年の今この場でベルハーをやっているという事実が中々文字では信じがたいけれど、たしかに間違いなくあの日のあの時間にLOFTには「ベルハー」がいた、と言えると思います。ほんと夢みたいだったな…
 パフォーマンス強度でいうならば’22が強かったのは事実ではあったものの(珠梨ちゃんはブランク8年とかだし)、いわゆる「激しいライブ」だけがベルハーなのではなくその真骨頂は「楽曲の世界観への没入」と「遊び心」だと思っているので、そうした観点で見たときにはオリジナルのパフォーマンスは「楽曲を演る」のではなく「楽曲がそこに在る」状態に到達している瞬間もあったと思います。また楽曲に対する経験値やベルハー後のアイドル経験(珠梨ちゃんを除く)がそれを補強していたような印象もありました。なので、オリジナルのベルハーも完全な「あの頃」のベルハーではなかったという点には留意しつつも、そのベルハー性は煌々と光っていたな、というのがオリジナルのパフォーマンスに対しての感触です。

 個人的な話をすると、わたし自身はベルハーに出会った=あやのさんに出会ったタイミングであり、あやのさんがする表現に、そしてその表現を引き出す唯一無二の楽曲群、現場の混沌と熱量に惹かれて徐々にベルハーというものを好きになっていった人です。それにわりと地下アイドルオタクになりたてのタイミングで出会ってしまったがゆえに、その後の人格形成だとか価値観の一部として切っても切れない存在になっていたのがベルハーでありあやのさんでした。2016年の「崩壊」で一旦ベルハーは終わるものの、その後ゼアゼアNILKLYの黒い羽系譜でその意匠は引き継がれていたし、あやのさんはクロタン→グーグールルと活動を続けてくれていたのでベルハーそのものへの郷愁の念というものはほとんどなく(曲はずっと好きだし聴いてるけど)、なんというか完全に過去のものとして整理されていた、という状態が2022年の’22始動の報を知るまでのわたしの胸中でした。

 しかし’22の始動、そして唯ちゃんが’22として活動するという事実はかなーーーーり煩悶しました。10周年の企画とはいえ野暮じゃない?とか、兼任であることとか、そもそもNILKLYをどうにかしてよだとか(色んな事情があったであろうことは理解したが)、ぐるぐるぐるぐるしながら’22の初パフォーマンスを見たのが恵比寿リキッドルームでのBABEL’22でした。フラッシュバックする曲だってあったし、幻を追いかけてしまう曲だってあったし、ただそれでも目の前の4人は「ベルハー」という表現に対して真摯に向き合っていることはパフォーマンスから伝わってきているし、という状態。
 結果として’22現場が全部でいくつあったかはわからないけれど、わたし自身は数えたら8回は行ってたっぽく、そのパフォーマンスを素直に真正面から受け止められるようになったのは2022年12月31日からようやく、だったと思います。遅いけどそれくらい時間は必要だった、だからこそ年明けのNPPでの40分間、デカいステージで舞う5人の黒い羽を纏った少女の姿と響き渡る楽曲がスッと入ってきて自然と泣いてたんだな、と思います振り返ると。

 話をオリジナルの方に戻すと、そうした個人的な「ベルハー」への思い入れも相まって、あやのさんが黒セーラーに黒い羽、ツノのカチューシャを身に纏って新宿LOFTに再び立っているのを目撃した瞬間の細胞レベルでのタカまりとその約1時間に渡るライブは、きっとこの先も良い意味で大事に墓場まで持っていくライブ体験になりました。’23は続いていくけれど、個人としての「ベルハー」の区切りが付いた、そんな1日でした。楽しかっただけではないし、とはいっても悲しいわけでもなくここ数年でも例を見ない感情になっていますが(今でも)、このライブを目撃できたことはひとつの財産になった、といえます。’22のメンバーも、オリジナルのメンバーも、改めてありがとうございました。

おわりに

 Hello Worldで終わりを迎えたベルハーは2022年に再びGrave Robberyで墓荒らしに遭いこの世に復活しました。そうして’22として約1年間活動してきた最後の舞台がオリジナルとの対決:DEAD OR ALIVEというのはよく出来た筋書きだったなと。2022年という1年は人々に再びベルハーという存在を知らしめる1年だったので、今後’23がどうなっていきたいのか、それらも含めて観測していきたいなと思っています。

\みんなのファンをいただきます!BELLRING少女ハートでした!/

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