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ファミレス行きたいな [ファミレス生物1]

こんにちは、ちょです。
いつも僕のnoteお読みいただき、ありがとうございます。
ここ一年は、「要領の悪いアメリカ留学」と題した記事ばっか書いてますが、実は並行して某オンラインコミュニティで科学記事もどきを密かに書いていました。(片手でおさまるくらいの人しか読んでないし、もう見れないはずw)

現在、英文レビューを執筆しているのですが、インプットと同時にアウトプットの大事さを痛感するとともに、
研究者の方と話をするときに「あの論文xxだよねー」とかって語れる楽しさを思い出し、今度は自分のnoteで時々レビューしてみようと思いました。

マガジンの名前は「ファミレスで語りたいミニ生物学丼」

。。。もうちょいなかった?笑


今回は自分の中でフォーマットを作るために、以前の文章をリサイクルしながらお届けします。

さて、本編です。
皆さんは『光遺伝学』もしくは『オプトジェネティクス』という言葉はご存知でしょうか?

光遺伝学とは、光によって活性化されるタンパク分子を遺伝学的手法を用いて特定の細胞に発現させ、その機能を光で操作する技術である。光(opto)と遺伝学(genetics)を組み合わせたことから光遺伝学と呼ばれる。

脳科学辞典より

この技術は2000年代前半に開発され、その後、医学生理学及び生物学界に多大なインパクトを与えた技術です。
ノーベル賞の順番待ち中とも言われている技術ですが、
初期は、神経科学の研究者がよく使っていましたが、
最近ではそれ以外の生物学分野でも広く普及してきている、まさに世界を変えた技術の一つです。

『チャネルロドプシン2』というタンパク質があります。
この物質こそが、オプトジェネティクスというツールを確立したと言っても過言ではありません。

2005年のNature Neuroscience誌に掲載された論文で、チャネルロドプシン2を使って神経細胞の活動を操作できることが最初に報告されました。

チャネルロドプシン2は元々、緑藻類クラミドモナスという
中学理科でお馴染みのミカズキモとかの仲間に当たる生物が持っているタンパク質です。

光を感知してタンパク質がトンネルのような構造に変化し(開口し)、
陽イオンを通すことで、細胞を興奮させる機能を持っています。
2005~2007年にかけて、このタンパク質をマウスなどの生物に発現させ、
光によって脳神経細胞を操作するという技術が確立されました。

その後、タンパク質の立体構造も決定され、
どのように光を受け取り、開口するのかも既に明らかにされています。
参照:光駆動性の陽イオンチャネルであるチャネルロドプシンの結晶構造からその陽イオンの輸送経路と分子機構の一端を解明

今日では、細胞を興奮させるだけでなく、抑制させたり、
当てる光の波長(光の色)ごとに細胞への介入を変化させられる改良型のチャネルロドプシンがたくさん開発されています。
また、光源側を進化させ、埋め込み型LEDやホログラムレーザーなどが開発され、ハードウェアを介して神経活動をプログラミングできる未来も見えつつあります。

私たちの日常レベルでも使えるような研究も始まっています。
例えば、難聴の患者さんに使う人工内耳ですが、
現在の技術では、難聴以前のような自然な聴覚を完全に取り戻せるわけではありません。
そのため、聴こえてきた音に対して反応する神経の活動を手助けするためのオプトジェネティクスを活用した人工内耳の研究も進んでいます。

*************
神経科学者がチャネルロドプシン2で盛り上がっているところで、
細胞生物学の世界では、新たなオプトジェネティクスが起きようとしていました。
それは、「人工的な光で遺伝子のon/offを操る」というものです。私たちは、朝起きると、太陽の光を感知することで概日時計(サーカディアンリズム)を調整しています
これもミクロに見ると遺伝子のon/off操作に当たるのですが、
それよりも特定の遺伝子の制御に焦点を当てています。
京都大学のチームが開発している『PA-Gal4cc』というタンパク質です。
遺伝子発現を光で制御できる新技術を開発 (PDF)

制御したい遺伝子のスイッチのような遺伝子配列(プロモーター)に組み込むことで、
青色光を当てた細胞でその遺伝子をon、光を止めることでoffにする技術です。ひょっとすると将来、がん遺伝子のoffや筋肉繊維の遺伝子のonなど、
チャネルロドプシンと合わせて、光学的に人体を制御する手法が開発されるかもしれませんね。


さて、このくらいの分量で、さらっといただけるようなミニかつ丼のような形で提供することを目指してみます。
今の時期なら冷やしたお茶を入れて、冷やし茶漬けもいいですね。

僕がD3の頃、同じラボのM2の子を街の定食屋に連れて行ったとき、
1時間ぐらい、このチャネルロドプシンと、その技術を生かした当時研究していたタンパク質(unpublish)の展開を語ったことを鮮明に覚えてます。
(クソだるい先輩。。。)

本当は4月から話題をストックしていたのですが、
文章にするのはやはり難しいですね、、、

少なくても月に一本は書けるように、まずは継続することを目指していきます!

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