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サイアノ和紙作家日記 vol.21『因州和紙展に参加して、その1』

和紙の原料は楮や三椏などの樹木、
国内外の栽培農家から仕入れるのが一般的だ。
でも、近年は和紙需要の低下が関係するのか、
国内産は減少傾向で海外産が主流のようだ。
和紙の定義はいろいろあるけれど、
心情としては国内産であってほしいな〜。

そんな状況があるからか、
因州和紙の職人さんたちは
数年前から楮の栽培を行ってきた。
今回の展示で僕が使った和紙も
若き職人さん自ら育てた楮とトロロアオイ。
未来を見据えて産業として維持するには、
必要な取り組みだと思う。
ただ栽培農家のような生産量と
品質を維持するのは
きっと大変なことだと思う。

僕が通っている西会津の出ケ原和紙は、
栽培に適した畑など探して
実験的に植えたりしているが、
メインは里山などに自生する楮を
秋から冬に刈っている。

農家が栽培した材料を仕入れれば、
紙をつくる仕事に集中できる。
だけど、需要と供給バランスが
崩れるとやっていけない。

じゃあ栽培するかといっても
なかなか一人じゃできないから、
集団にならなくちゃいけない。
因州和紙も組合でやっている。
稲作のはじまった弥生時代っぽい感じ。

自生する楮を刈るのは
規模によっては少数でも可能。
でも、安定供給は難しく、
現に西会津はいま大雪だ。
雪の中をかき分けなければならず大変。
狩猟的な縄文時代かな〜。

和紙作りにも材料の仕入れで違いがある。
どれが良いとか悪いとかではなく、
今回の展示を通して改めて考えた。
来週は雪の中をかき分けて、
西会津産の楮刈りをする予定。

展示迄あと3日、いまだ作品完成せず。

『アパートメント眞世界』
12月23日-12月29日 12時-19時
ギャラリー・ニエプス
東京都新宿区四谷4-10-1 メイプル花上2階
12/23、24、25、29日は終日在廊予定。

先月末、西会津で刈り取った楮

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