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存在しないアニメの原画展を開催してみた

この間、人生ではじめて個展を企画した。備忘録的な意味合いでも、どういった経緯で企画が生まれたのかはしっかり記録しておいたほうがいいなということで、これを機に振り返りをしてみようと思う。今回の個展の基本概要はこちら↓

■タイトル
『メタモンにはなりきれない』原画展

■イラストレーター ※設定上は監督?作画担当?
ケビンばやし (@minami5884373)

◼️脚本
コッペくん (@coppeqn) ※ぼくです

■期間
5/31〜6/3の4日間

■場所
DESIGN FESTA GALLERY WEST

イラストレーターのケビンばやしは、3月頃に自分が企画していたFAKE GRAFFITI (@FAKE_GRAFFITI)という、勝手に109の上に落書きしていくだけの企画に参加してもらってからの知り合い。依頼を受けたのがひたすらにひまを持て余していた大学生時代だったというのもあり、"工数"みたいなものを一切意識せずに企画を作ったらそれがのちのちの自分の首を盛大に絞め付けることになったのはいまになってはよき思い出です。

おもしろい・新しいと思える企画を作るのはもちろんのこと、今回の目標はひとまず前回の個展の売り上げを超えること。現実的に考えて、来場者数を爆発的に増やすというのは難しそうだったので、いかにして「原画を買って帰りたい」という意思を持ったうえで会場に来てくれる人を多く生み出せるかを軸に考えることにした。というのも、原画は平気で2万〜5万、ものによっては10万以上するケースもざらにある。この金額感を持ってして会場で衝動買いというのはよっぽどな人じゃない限りはできない(と思いたい)。想定できる購入者の動きとしては、個展の情報を知り、SNSの情報をもとにどの作品を購入するかの目処がある程度ついた状態で来場、小さな個展だとクレジットが使えないことも多いので会場に入る前に現金を下ろす、こんなところだろう。なのでキーホルダー等の小さなグッズを除けば勝負は基本的に来場前におこなわれており、SNSが主戦場といっても過言ではない。ちなみにこれらは全て仮説でしかないので、決して鵜呑みにはしないでほしい。

思考の軸がはっきりしたところで、自分の過去を少し振り返ってみた。小さな頃から美術館や写真展、イラストのグループ展に行くのは好きだったが、なにかを買って帰った記憶はあまりない。ましてや2万、3万もする原画なんてなおさらだ、あったとしても手ぶらで帰るのも気まずいしなんか小さなものでも買っておこうかなレベル。でも、去年行ったカードキャプターさくら展、繰り返し行ったうえにグッズも結構買った。浅野いにおの世界展、島耕作「超」解剖展、ヴァイオレットエヴァーガーデン原画展、おじさまと猫原画展。よく考えると、これら全てのイベントでまあまあのお金を落として行った。原画が売ってたなら、きっとお金に余裕さえあれば買っていたことだろう。ネームバリューの強さというのももちろんあるけれど、きっと美術館・写真展・イラストのグループ展との一番の違いはストーリーの有無。切り出して自分の手元に置いておきたいと思える部分があるかどうか、これはきっとコンセプトなどでは足りず、しっかり物語が必要なのだろうと思った。

上記のような思考をいろいろと渦巻かせた結果、最終的には架空のアニメの原画展をコンセプトに今回の個展を作っていくことにした。主人公をひとり据えたうえで10話分のプロットを書き、そのなかの印象的なシーンをイラストにしてもらうプロットもイラストも全て事前にSNSで公開。それらを一冊にまとめた映画のパンフレットっぽいものも作り、会場で販売。ストーリー性・物語性を徹底的に打ち出していくことだけに注力した。その結果生まれたのがこちら↓

会場でも物語を楽しみながら1枚ずつイラストを楽しめるように、パンフレットのプロット部分を切り取って壁に貼っていった。これはあくまで自分の体験なのだが、大きめな美術館を回っていると、置かれている作品のなにをどう楽しめばいいのかわからなくなって無心で歩いてしまう瞬間がたまに訪れることがある。置かれている作品1枚1枚にちゃんとわかりやすい意味付けがされていることは、売り上げうんぬんを除いて考えてもイベントのUXとして大事なんじゃないかなと今回の企画を通して思った。ちなみに会場・パンフレットはこんな感じ↓

売り上げ的なところを見ていくと、ざっくり前回比160%。一応、ケビンばやしの自己最高額を更新することには成功したらしい。彼女自身のインフルエンス力の向上みたいなのも確実に影響しているだろうから純粋に結果を受け止めるのもおこがましいが、ひとまずは安心した。とは言えども、会場自体の世界観作りであったり、SNSでのPRであったり、もっとできることはいっぱいあったな...という後悔は多く残っているのでこういったフォーマットの企画をやらせてくれる機会があれば喜んで飛びつくといった感じではある。(ここまで読んでくれてる人で、イラスト描けるよ?って方がいたらぜひぜひ声をかけてほしい) 今回の個展は、ストーリー作りというアプローチで自分のキャリアを広げていきたいなと思うようになった大きなきっかけにもなったので、本当にやってよかったなという感じです。

せっかくプロットも書いたし、ケビンの素晴らしいイラストもあるので、これからちょいちょい1話ずつnoteに投稿していこうと思います。パンフレットに載っているのをそのまま出すのでもいいかなとも思いましたが、どうせだから少し追記するなり修正加えるなりするつもりです。拙い文章を晒していくのは本当に心苦しいのでいまだに躊躇しかけているのですが、いい機会だと思っていろいろさらけ出そうと思ってます。ということで、明日からしばらくよろしくお願いします...!おやすみなさい!

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