代替品つれづれ。

週明けに祖母の三回忌へ行く。
忌事用の封筒をコンビニで買って帰宅して、確かペン立てにあったはずの筆ペンを探す。
最後に使ったのは、その祖母の香典だった。
薄墨で書けとグーグル先生がいうので、むりくり水をつけたりして薄めた気がする。
それが災いしたのか単に蒸発したのか、見事にからからになっていた。
無念。
台風が近づいていてひどい雨だ、もう出たくない。
それに次の筆ペンの出番は、考えたくはないが間違いなく誰かの法事だ。使うことがない。
旦那にも尋ねてあちこち探したが、結局どこにもなかった。

仕方がないので筆ペンタイプのアイラインで書くことにした。
ダークブラウンだが、多めにインクを出せば黒に見える。よしよし。
そして筆ペンで最後に文字をしたためたのは、やはりその祖母の香典である。
練習を何度かして本番に挑んだものの、やはり本番が一番ヤバい仕上がりでがっくり。
ボールペンで筆文字っぽくレタリングしたほうがマシだった…。ちくしょう…。
次回からそうするかな…。いやプリンターを買えばいいのか。

なぜアイラインに気づいたのか。
以前、その逆を実際にやったことがあったからだ。
免許証の写真を撮るとき、化粧品を一切合切忘れてきたスッピンの私はサインペンでアイラインをひいた。

合格した当日に写真を撮ることは聞いていたもののまさか受かるとは夢にも思わなかった。
その日に限って、何のトラップもなく信号待ちすらほとんどなく、神がかった静けさでさらさらーっと試験が終わったのだ。強運にもほどがある。たまげた。
免許センターの周囲に化粧品を扱っているような薬局などもなく、買いに行くにも家に帰るにも全く時間が足りない。やべえ。

だが長いつきあいになる免許証だ。
ただでさえ犯罪者的なクオリティーになるという撮影に、スッピンで挑むのは無謀にもほどがある。
筆入れの中から奇跡的に見つかったサインペンで、トイレの鏡でささやかな抵抗をはかった。

ボールペンしかなかったら、ガリガリと線をひきすぎてまぶたが腫れ上がったに違いない。
あってよかったサインペン。ありがとうサインペン。

むろん口紅もなく、上下の唇で甘噛みなどしてギリギリまで血行促進をはかった。
噛み切って血液で赤く染めるという豆知識が頭を掠めたが、さすがにそこまでの気合いはなかった。
まあその程度の人間である。

結果的に、なんとか犯罪者は免れた。
むしろ普段よりキリリとした仕上がりであった…。

そういえば、旅先でチークを忘れたときには口紅を指でぼかして頬に叩き込んだんだった。
むちゃくちゃである。

いや普段はちゃんとした化粧品を使っていますって、ホントですってば。

機転が利くといえば聞こえは良いけれど、捨て鉢なだけかもしれません…。
しかしあれだ、どうにかなるもんですな。

おいしいものを食べます。