Chocolat tous les jours ー Vol. 5
皆さんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。1月は月刊連合の連載もあり、ちょっと堅いテーマを取りあげたので、こちらでは今月も柔らかめのお話です。
1.当地での買い物
ブリュッセルに到着して早くも半年弱が経ちました。ようやく慣れてきたといったところでしょうか。ワシントンDCに赴任したときもそうでしたが、海外の生活に慣れたと言えるまでおおよそ半年ぐらいかかる一方で、日本に帰国して社会になじむまで2~3週間だったので、日本の生活はやはり体に染みこんでいるのだなと感じたことを思い出しました。
海外生活で感じる不便さを挙げると買い物です。日本にいれば必要なものがあると、どこに行けばどれくらいの質のものが、いくらくらいで手に入るかを容易に予想することができます。日常的なものであればスーパーなのか、ドラッグストアなのか、100円ショップなのか。あるいはデパートに行く必要があるのか、専門店のほうがいいのか、ということです。
他方、海外にいるとそもそもどのようなお店がどこにあるのか、まずは手探り状態で自らの足で見つけたり、地図を眺めて見つけたり、ということが必要になります。そして実際に足を運んで品揃えや価格レベルを見て、ようやく買えるもの、買えないもの、買うべきかどうかがわかってきます。
また、スーパーでの買い物もいろいろなブランドがあり、品質もなかなか見当がつきません。とりあえずトライアル&エラーです。こちらのスーパーでの買い物は日本と結構違いがあり、面白いのでご紹介します。
2.当地ならではのもの
ベルギーと聞くと皆さんはどんなものを思い浮かべますか?チョコレート?ワッフル?ビール?フリット?ムール貝?いずれもガイドブックに載っていますね。往々にして、ガイドブックに載っているものって必ずしも現地の人々が日常的に食べているとは限らないんですよね。例えば日本人が毎日お寿司やてんぷらを食べているかというとそうではないように。でもベルギーはそうとも言い切れず、スーパーに行くと本当にこの人達は毎日のように食べているのでは?と思わされます。
2-1.フリット
冷凍ケースには、このような感じで2~3kg/袋の様々な冷凍フリットが売られています。
ちなみにおいしいフリットのコツは2度揚げだそうです。そうするとカリッとしたものになるのだとか。あと、ポテトの種類が日本とは違うせいでしょうか、とてもほくほくしています。こんなにフリットが売られていて、名物ともされているぐらいなので、ベルギーは欧州でもポテトの消費量が最多なのではと思いきや、統計的には必ずしもそうではないようです。こちらのサイトを見ると、ロシアも含めた欧州におけるジャガイモの消費量が最も多いのはベラルーシ、次いでウクライナだそうです。その量、なんとベルギーの倍もあります。
冷凍フリットがあるということは家庭でもおいしいフリットを作るべく、専用のフライヤーも売られています。家電屋さんにいくと値段も機能も大きさも様々なフライヤーが置いてありますし、フライヤー専用の洗剤もあります。
また、油の処理も蔑ろにはできません。街角にはフライ油専用のゴミ箱も設置されています。
塩味で食べるのもシンプルでおいしいのですが、いろいろなソースにつけて食べるのが当地ではポピュラーなようです。その中でも一番オーソドックスなのがマヨネーズなので、お店にもものすごく沢山の種類のマヨネーズが売られています。
2-2.ビール
ビール 同じくビールも有名です。ちょっと大きなスーパーに行くとビール売り場にはこれぐらいの種類と量のビールが置いてあります。こんなにあるとどうやってお気に入りのものを見つけたらいいのか、あるいはこれからトライしようとしたときにどれから試せばいいのか途方に暮れそうです。
2-3.ムール貝
これも有名ですね。ただ、フリットと同じくそんな食べないでしょうと思っていましたが、スーパーにはやはり1~2kgのパックで売っているので、日常的にも身近な食べ物なんだなと改めて思いました。
2-4.チョコレート
ベルギーと言えばやはりチョコレートが有名ですね。街角には日本でも有名なGODIVA、Leonidas、Neuhaus、Pierre Marcoliniといった日本にも進出している有名どころや、ローカルなお店もたくさんあります。もちろんスーパーのチョコレート棚も「いくらチョコレートが好きだからといってもこんなに揃えなくても…」と思ってしまうぐらいの種類と量があります。追々、チョコレートの紹介もしたいと思います。
ベルギーがチョコレートで有名な理由は諸説あるようです。その中の1つに「かつてベルギーはアフリカに植民地(現コンゴ民主共和国)を有しており、カカオが採れたから」というものがあります。確かに当時の国王レオポルド2世のコンゴに対する圧政は筆舌に尽くしがたいものがあり、原料となるカカオが入手できたというのは事実かも知れません。ただ、原料が入手できることとおいしいものが作れるというのは必ずしも同値ではないので、ベルギーがチョコレートで有名になった理由についてももう少し深く掘り下げたいですね。
3.色々セルフサービス
こちらのスーパーに来て驚いたことの1つに「スーパーでも量り売り」ということがあります。このような形で野菜や果物が陳列されており、大抵1kgあたりの値段が表示されているので欲しいものを欲しいだけ買うことができます。買う場合には、備え付けの紙袋に欲しい量を入れ、陳列棚の脇にある機械で秤量し、印刷出力されたラベルを紙袋に貼ります。パックされたものもありますが、量り売りのものの方が圧倒的に多いです。日本でも果物は1個あたりの値段が付けられていることが多いですが、野菜は必ずしもそうではなかったと記憶しています。
また、パンも自分で切ります。こちらでは細長い(日本で言うところの)フランスパンもポピュラーですが、カンパーニュと呼ばれる丸型のものの方が種類も多く売られています(厳密にはカンパーニュもフランスパン)。それを棚から取り出し、設置されているスライサーに投入し、カットされたものを備え付けの紙袋に入れ、ラベルを貼ります。スーパーでは、棚から取り出してカット、紙袋に入れるところまですべて自分でやります。慣れないうちはカットされたパンを紙袋に綺麗に入れるのがうまくできません。。。。
4.セルフスキャン&セルフレジ
ちょっと大きめのスーパーに行くとこのようなグリップのついたスキャナーが入り口近くに置かれています。これはスキャナーで、お客さん自ら商品をスキャンし、スキャンしたものをカゴに入れていきます。一通りスキャンした後、セルフレジコーナーで支払います。ランダムで店員によるチェックがありますが、基本的にはすべて自分で行って完結します。このセルフスキャン&セルフレジだと、入店から退店まで、驚くほどスムーズです。人との接触を避けるという点からもお客さんにとってもメリットがあります。が、その分雇用が減っているかもしれないと思うと必ずしも手放しで喜べないかもしれません。
日本では2020年7月からレジ袋が有料になり、マイバッグが一気にポピュラーになりました。こちらでは日本のような白いポリ袋というのはなく、有料で紙袋もしくはスーパーオリジナルのナイロン製バッグが売られています。基本的にお客さんはマイバッグを持ってきていますが、デザインなどのこだわりはあまりない、というか気にしていないようで、カルフールに買い物に来ているけれどもデレーズのショッピングバッグを持っている人もいます。
5.日曜定休日
ベルギーに限らずドイツもそうですが、スーパーやデパート、レストランなども日曜日はお休みです。これは法律で決まっているようです。土曜日も閉店時間が平日よりも早かったりします。しかしすべてのお店でというわけではなさそうで、日曜日に開いている代わりに月曜日定休日のスーパーもあります。同じ名前のスーパーなのに、日曜日が定休日のところもあれば日曜日に営業しているお店もあります。不思議に思ってカスタマーサービスに聞いたところ、直営店かフランチャイズ店かの違いのようです。法律で日曜日定休日とされているのに、直営かフランチャイズかで異なった扱いなのは不思議です。以前ちらっと聞いたところでは、組合員がいないところは日曜日も営業しているのだとか。
推測ですが、元々キリスト教の影響が強いところだと日曜日は安息日という社会通念的なものがあり、それが法律にも反映されていて、労働組合がそれを維持する一定の役割を果たしているのかもしれません。最近では、平日の営業時間延長や日曜日にも営業して欲しいという声が、若い世代を中心に増えているそうです。
海外のローカルスーパーは生活と密着しているので売られているものも買い物の仕方も日本とは異なっていて面白いですね。営業時間と組合員の有無が結びついているというのも労働組合の存在を感じさせてくれて興味深いです。このあたりももう少し深掘りしていきたいですね。
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