Chocolat tous les jours ー Vol. 9
皆さま、こんにちは。ブリュッセルでは、日に日に日没時間が遅くなり、退勤時間(17時過ぎ)でもこの明るさです。
さらに、日没時間が22時頃なので、22時半頃になってようやく夕方というぐらいの空の明るさです。
ものの値段
先日、黒田日銀総裁の発言(「物価上昇を家計は受け入れている」)が話題に上がっていたと仄聞しています。確かに物価は上昇しているものの、それを受け入れているかはまた別の話です。そうではあるものの、必要なものは購入しなければなりません。
ブリュッセルに来てからというもの、物価上昇はもとより、そもそもいろいろなものの値段が日本よりも高いことに驚きました。厳密に言えば、ブリュッセルが高い、というよりは日本が安すぎるのかもしれません。
エコノミストという経済専門誌が「ビッグマック指数」なるものを公表していることは有名です。マクドナルドは世界各国に展開し、ほぼ同じようなメニューを販売しています。彼らが販売しているメニューの値段は、その国の光熱費や事件費などを考慮して決定しているということなので、マクドナルドの商品の価格を見ればその国のおおよその物価がわかると言われています。ただ、その商品価格はその国の通貨で表示されているので、横同士の比較というよりは実際の為替レートとビッグマックの価格を元にした為替レートの差異がわかるのみ、さらには税込みなので単純な比較には意味がないという指摘があるのでこの点には注意が必要です。
さはさりながら、今の為替レートを使って、日本もしくはベルギーでの価格を換算したもの比べてみても、消費支出という点での肌感覚としてはそこまでずれたものではありませんので、参考として比較してみます。
先日マクドナルドに行った際に購入したダブルチーズバーガーセットと、別の日に購入したビッグマックのレシートです。
ダブルチーズーバーガーセットは7.85ユーロ、ビッグマックは4.85ユーロです。その日に一番近い日のレート(中値)で計算すると、それぞれ984円(125.31円/ユーロ、2022/3/8)、668円(137.65円/ユーロ、2022/5/6)となります。
他方、日本のマクドナルドのウェブサイトから見られる商品価格です。
それによれば、ダブルチーズバーガーのセットは640円、ビッグマックは390円です(ベルギー、日本いずれの価格も税込み表示)。為替の変動はあるものの、おおよそ1.5~1.7倍の差があります。
また、ガソリン価格をみてみても、最近のブリュッセルでのレギュラーガソリン価格は2ユーロ強/リットルです。日本円にすると約285円/リットル(142.54円/ユーロ、2022/6/10)です。かたや東京の平均価格は163.2円/リットル(2022/6/11の平均価格)なので、これもまた驚くほどの差があります。
さらに、最近では、ロシアが黒海を封鎖しているためにウクライナから穀物が輸出できず、それによる小麦粉を始めとした食料品や家畜の飼料の値上がりの恐れがあるという報道を目にするようになりました。今のところ小麦粉の急騰は実感していないませんが、小麦粉を使った食品は多いので今後要注視です。一部のスーパーマーケットでは4月の時点で購入制限を行っていたようですが、最近になってカルフール(Carrefour、筆者もよく利用するフランス資本のスーパーマーケットチェーン。低価格が特徴)でも小麦粉の購入制限がなされるようになりました。2月にロシアがウクライナに侵攻して以降、こうした注意書きは特に目にしませんでしたが、先日近所のカルフールに買い物に行った際、1kgの小麦粉は一人2袋までという注意書きが貼られていました。
意外に安いもの?
OECDのデータによれば、2020年の平均年間所得は、日本が38,515米ドル、ベルギーが54,327米ドルです。
日本に比べれば平均所得が高いベルギーですが、それでも足下のインフレは急激であるにも関わらず賃金上昇が物価上昇に見合っていないため、この春先あたりから賃上げ交渉やそれに伴うストライキ、デモの話を見聞きすることが増えました。
他方で、ブリュッセル市の東部には緑溢れる高級住宅街があります。日系企業の日本人駐在員にも人気のエリアです(ちなみに筆者はブリュッセル市の北東エリアに住んでいます)。そこにRobという高級スーパーがあります。確かに並べられている商品の質がよく、品揃えもいいものの、それに見合った(それ以上な?)価格なので、全く日常使いではありません。筆者はごくたまに行く程度です。
ここはバターの種類が多く、日本でも人気の高級バターであるechire(エシレ)もそこまで高くないのでバターを買うときはいつもここに来ます。このechireバターはRobでは3.75ユーロです。カルフールで売られているバターでも3ユーロ前後(250g)なので、原材料や味を考慮するとechireを選びます。ちなみにこのechireバター、日本では250gの大きさで3,600円で売られています。
そんな高級スーパーのRobですが、週末に行くといつも買い物客で溢れています。買い物カートも品物で満載です。一定の層にはこうした高級スーパーの需要はあるということを実感しています。こうしたスーパーの様子を目にする一方で、ブリュッセルの街を歩いてみると華やかなイメージとは裏腹に路上生活を余儀なくされている人々も多く目にするので、ベルギー、とりわけブリュッセルでの貧富の差が際立ってきます。
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