【センイル】出会いと、はじまりの人。
まだ誰の足跡もついていない、無傷で真っ白な初雪。
その上を歩くのは、キラキラと水晶のように輝く白さを傷つけるような気がして、なんだかとても躊躇してしまう。
私にとってテヒョンさんは、そんな人。
ほんの少しでも触れてしまえば、その存在が消えてしまうのではないかと思わせるほどの無垢さと儚さ。それでいて、「こっちにおいでよ」と、優しくワクワクする世界へと導いてくれる人。
時々、あなたの目にはこの世界がどんな風に映っているのだろうと、知りたくなるときがある。きっと、私には想像もできない色に見えているんだろうな。
その世界が、テヒョンさんにとって希望で溢れる色でありますように。
出会いと、はじまりの人。
テヒョンさんは、私とBTSを繋いでくれた人だ。
忘れもしない2020年9月12日。私は前の推したちを目的に「THE MUSIC DAY」を見るため、長時間テレビに張り付いていた。
そんなとき目に飛び込んできたのは、可愛らしいパステルイエローのセットで、とても楽しそうに歌って踊る7人……と言いたいところだけど、正直私の目には、テヒョンさんしか映っていなかった。(テヒョンさん今見てもお強い…ごめんジンくん、なんか弱い…笑)
シンプルな白のTシャツの上に赤いカーディガンを羽織り、淡いブルーのジーンズを履いて、薄いブラウンのサングラスをかけたその青年は、とても軽やかにその世界に溶け込んでいた。
自分のなかに揺るがない世界観を持っていて、音符を触って独自の感覚で表現を楽しむ様なダンス、浮遊感さえ感じる軽やかさ、クイっと眉毛を上げる仕草、微笑んで手を振る無邪気さ、そこには「かっこいい」という言葉では不十分なほど、たくさんの要素が詰まってた。
正直最初のテヒョンさんの第一印象は、「すごくクールでチャラくてちょっと怖い人」だった。
中継のインタビューではあんまり笑わないし、なんだか不機嫌そう。かと思えば「ムラサキするよ!」なんてよく分からないことを言って手を広げているし、「この人は、なんか、全然掴めないぞ…?」と思ったけれど、その後のパフォーマンスを見て、もっとこの人を知ってみたいと思ったのを覚えている。
私は今までKPOPアイドルというジャンルの人たちとは無縁の生活を送ってきた。アイドルはもともと大好きだったけど、国を跨ぐとなると話は別。
話している言語だって違うし、「防弾少年団」って名前自体、なんか怖そう……そんな偏見まみれの私の心に、テヒョンさんのパフォーマンスはスッと入ってきてしまったのだ。
彼のパフォーマンスはとても不思議だ。まるで映画の中の登場人物のように、曲の世界を生きている。
ヒップホップをコンセプトにデビューしたBTSの中で、一人ジャズやクラシックを好み、それを自身の表現に反映してきたVという人のパフォーマンスは、とても異質で魅力的だ。世間はそれを天才という一言で片付けてしまう。
グクちゃんが以前、テヒョンさんについてこのように語っていた。「1から10まで全て丁寧にチェックして、とても注意深い人」。"天才"だと思っていた彼のパフォーマンスはすべて、何度も磨き続けたからこそ輝く、奇跡の様な宝石だったことを知った。
そんな彼の底知れぬ探究心と向上心の根源となっているのは、「ARMYにかっこいいパフォーマンスをお届けしたい、喜んでほしい」という、たった一つの信念なのかもしれない。
彼の痛々しいほどまでに真っ直ぐな思いが、私をBTSに出会わせてくれた最初のきっかけになったのだ。
「キムテヒョンからBTSを知りました」という声は、とてもとても多い。「Dynamiteからのテヒョン落ちです」と言うと、大抵「王道だね」という返答が返ってくる。
12月30日。人々が新しいはじまりに向けて心を躍らせている日に生まれた男の子は、多くの人の出会いとはじまりをつくっている。
幸せの法則を知っている人
テヒョンさんは、幸せの法則を知っている人だ。
幸せになりたいと願う人はきっとこの世にたくさんいるし、幸せを理解できる人もたくさんいると思う。でも、自分の幸せの法則を知っている人って、実はとても少ないんじゃないかな、と思ったりする。
テヒョンさんから出てくる言葉は、なんだか自分と会話をしているみたいで、とても愛らしい。よく自分の中の天使に話しかけると教えてくれた彼は、常に自分の本当の声を聴ける人なんだと思う、それもとても自然に。
僕は何が好きで、何が苦手で、何が特別で、何が悲しいと感じるのか。幸せの法則を知るということは、きっと自分のことを愛してたくさん知ってあげるということなんだなと、テヒョンさんを見ていると思う。
製作した楽曲の基準を「僕の心にきれいに聞こえたら合格です(笑)。」と可愛らしく言えてしまうのもまた、自分を一番に理解してあげられるのは、自分であることをことを知っているからなのかもしれない。
そんな彼は、幸せの基準値が最近変わったのだと話してくれたときがあった。
SOOPでグクちゃんとナムさんが絵を描いているとき、みんなグクちゃんのあまりの絵のうまさに感動していた。でもそんなときテヒョンさんだけはナムさんのそばに行って、「僕は点描画が好きですよ」と一言呟いていた。
グクちゃんが髪の毛を伸ばして、ファンに攻撃されてしまったときも、彼はそんな状況を知ってかしらずか「次は僕が伸ばします!」と言っていた。
テヒョンさんは口数が多いほうではない。なにかを言いたげな顔をしながらも、口をぎゅっとつむってしまうことがある。
はじめましての人には誤解されやすいかもしれないし、一見何も考えていないように見えるけど、実はみんなを幸せにするために、自分とたくさん会話をして、答えを導き出しているのだと思う。
テヒョンさんにとっての幸せは、このまま大切なメンバーたちと、大好きな音楽をいつまでも続けること。
あなたがいれば、きっと大切な6人は、幸せに生きる道を見失わずに歩いていけると思うのです。
優しい世界を生きる人
テヒョンさんはきっとどこにいても、何をしていても、優しい世界の中を生きる人なんだろうなと思う。
アイドルにならなかったら、農業をしていたと思うと話してきたテヒョンさん。
きっと農業をしていても、植物や虫と対話して、名前なんかつけちゃったり、ご近所さんと「今日の空気はなんだかキラキラしてますね」と話したり、時々降る雨に当たってみたりしながら、優しい世界を作っていたのかもしれない。
そんなあなたは導かれるようにアイドルになった。たくさん優しくないものに触れて、見たくないものも見てきたと思う。
テヒョンさんはよく、"純粋無垢"という言葉で表現されることが多いけど、嘘や偽りのような、心のけがれを知らない、というわけではない。むしろそれを知っても、擦れない心を持てる強さがあるのだと思う。
たくさんの想いが巡ってしまって眠れない夜を、「宙をさまよう言葉をそっと拾い集め、明け方になってから眠る」と表現したテヒョンさん。眠れない自分に対して責めるのではなく、「今の自分の状態が自分を眠らせてくれない。」と考えることのできるあなたは、やっぱりどこまでも柔らかくて優しい。
誰かに寄り添える言葉をかけることができるのも、自分と周りの人を許し、大きな愛で包み込むことができる心を持っているからなんだと思う。
頬にできてしまったニキビを"すぐ居なくなってしまう友達"だと呼ぶあなた。
雨に当たってみたら気持ちよかったから、雨が好きだというあなた。
痛いはずの親知らずを、"気難しい子"だと言ったあなた。
テヒョンさんの目に映るものすべてが美しく優しいものとは限らないけれど、その中から"好き"をたくさん掻き集めて、自分だけの世界を広げて、私たちに見せてくれる。
初雪のように、永遠に真っ白のままでいてほしいとは願わない。時には傷つけられることも、真っ黒にされてしまうことも、あるかもしれない。
でもどうか、自分の心と、大切な人の手を離さないで、"トキメキ"を諦めないでほしいなと思います。
あなたが作りだす世界は、みんなの宝物なのだから。
お誕生日、おめでとう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?