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ラブマイセルフ、キムソクジン。


ジンくんを語ることは、私の語彙力と表現力ではあまりにも無謀すぎる。どの言葉を辿っても、どんな表現をなぞっても、全て違うような気がしてしまうのだ。

太陽のように明るいと人かと思えば、月のように裏側は絶対に見せてくれない。「ワールドワイドハンサム」とソンキスをかましたと思えば、「みんなは僕を美しいと言うけれど 僕の海は真っ黒なんだ」と歌う。

だから私は、ジンくんについて文章を書くことに自信がなかった。ジンくんを正確に表現できる言葉なんて、この世に存在しないと思っていた。でも今回は、そんなキムソクジンという強敵に挑んでみようと思う。重い愛だけを武器に。

ジンくんに堕ちたきっかけ



ジンくんに堕ちたきっかけは、2020年11月26日にWevers magazineにて公開された「BTS 『BE』 カムバック・インタビュー」だった。


まだBTSの頼れるリーダー、キムナムジュンの顔しか判別がつかない頃、Kpopファンの友人に連れられ、新大久保に何度か足を運んだ。目を細めてしまうほど明るく照らされたアイドルグッズのお店には、これでもかというほどBTSのポスターが並んでいた。「これがジョングクで、これがジンくんで、これがジミンちゃんで…」と一応友人から説明を受けたが、私の目にはキムナムジュンしか入ってこなかった。


その後2020年に日本テレビで放送された「MUSICDAY」にBTSが出演し「Dynamite」を披露していた。それをみた瞬間、私はテレビ画面に釘付けになってしまった。80年代のアメリカ映画を彷彿とさせるレトロな衣装に、明るくポップなステージセット、流れるような美しいダンスに、透き通る歌声、耳から離れないメロディ。そして何より、7人がとても楽しそうだった。

そこからBTSが気になり始め、SNSを開いてみると、そこは沼材料の宝庫だった。吸い込まれるように沼入りしてからも、しばらくは箱推し。当時ジンペンでは無かったものの、様々な動画を漁り、窓拭きと茶化されるジンくんや、盛大に親父ギャグをかますジンくんの姿を見て、たくさん元気をもらっていた。でもどこか危うげな空気を感じていたのも確かだった。

そしてある日発見したのが、最初に紹介したインタビューだった。

二面性と自己防衛



2020年、世界が大きく揺れ動いた。確証もないまま自分勝手に信じていたものたちが、呆気なく崩れ落ちた。その恐怖と喪失感は、世界を席巻するBTSの7人にも、私たちと平等に襲いかかった。この時期ジンくんは、燃え尽き症候群に悩まされていた。そんな時に発売されたのが、BTSのスタジオアルバム『BE』であり、それに基づき公開されたのが、「BTS 『BE』 カムバック・インタビュー」だ。

インタビューの時のJINの声は、控えめで穏やかだ。

そんな一文から始まったインタビューには、BTS・JINのパブリックイメージからは程遠い言葉が並べられていた。そこにいたのは、強くて明るい理想の自分と、自己防衛をしていないと今にも崩れそうな現実の自分の間で揺れ動く、一人の青年だった。

「今の感情に忠実に生きる」といいつつ、「自己防衛のために何も考えないようにしている」と語る。「何も考えずに生きたい」「感情に忠実に行動したい」そう自分に言い聞かせているようにも見えた。

ジンくんはきっと、”理想の自分″に向かって、ひたすらに走っている人だ。理想の自分という鎧を武器に、自分を守り、戦場へ向かっていく人だ。

ARMYの皆さんにはJINの部分だけを見せたい。

そうジンくんが語った一言に、全ては表れているような気がした。ジンくんにとって理想の人物は"BTSのJIN"であり、その姿だけをファンに届けたいのだと思う。


あのとき私が、ジンくんに抱いていた危うさの正体は、これだったのかは分からない。ただこれを読んだとき、私はキムソクジンという人をもっと知りたくなった。自分自身が臆病で、自信がなく、考え込んで卑下してしまう人間だからこそ、ジンくんから学ぶことがたくさんある気がしたのだ。

自己愛を探究する努力



ジンくんは、自分にとても劣等感を抱いていた人だ。おそらく、今も。

家の中心はいつも兄だった。母も兄だけを可愛がっていて嫉妬していました。

お兄さんは、生徒会長を務めたり、ファンクラブがあったり、とても明るく人気者だったという。そんなお兄さんと比較し、ジンくんは劣等感を抱いていた。御両親は、そんなつもりはなかったのかもしれない。でも、当時のジンくんの世界にはそう映ったのだ。 


俳優を志し、倍率210倍の建国大学校映画芸術学部に入学。通学中のバスの中でスカウトされ、練習生となったジンくん。しかし周りには、志し高き天才ばかりが集まっていた。

デビューしてみると努力よりも才能が必要でした。いくら頑張っても、他のメンバーについていけないような気がして、僕の中の自信や自尊心が大きく傷つきました。

兄の存在、メンバーの存在、BTSの最年長である事実、そのどれもがジンくんの自尊心を傷つけ、劣等感を大きくしていったのだと思う。でもジンくんは、BTSの活動を通して、自分を愛することを探究し続けた。


私がおもわずノートにメモして今も持ち歩いている、ジンくんの言葉がある。

僕が幸せであることが重要だと思う。なんで僕がいつもふざけてワーワー言って笑っているかというと、それはみんなが笑ってくれるから。笑ってくれることは大事なんだよ。僕が幸せになるためにみんなを利用するんだ。みんなを笑わせて僕を笑わせるんだよ。誰かが君を見て幸せになれるんだったら、君も幸せなんだよ。



私は普段、ヘラヘラしている。周りの空気がピリつくのが怖くて、本音も言えずただヘラヘラしているのだ。(どうにかせい)そんな自分が嫌いで、なぜそんなにも人に嫌われることを恐れるのか、自分で自分が許せなかった。

そんなときに、ジンくんのこの言葉に出会った。誰かに嫌われるのが怖いからと考えるのではなく、自分が笑顔になるため、自分が幸せになるために、私はヘラヘラしているのだ。(ヘラヘラはやめい)

視点を変えるだけで、こんなにも世界が変わるのかと思った。自分を否定することなく、角度を変えてものごとを見ることで、自分がもっと幸せになれることを教えてくれた。だから私は、ジンくんの言葉が大好きだ。


ジンくんの自分を愛する精神は、メンバーにもたくさん影響を与えている。2020年に配信された『In the SOOP』ep8で、ジンくんとユンギさんが二人で話す場面があった。

ユンギ「おれは努力するふりはよくするけど…」
ジン「それが重要なんだって。どっちにしろ周りの人達の刺激になる。お前から刺激をもらってぼくが頑張れば、お前もそれを見て頑張るだろ?」


例え自分の努力が“フリ”だったとしても、それが周りの刺激になれば意味がある。そう考えれば、自分を責めなくて済む。そんなジンくんの前向きで豊かな視点は、劣等感に悩み、苦しみ、それでも前に進むために培ってきた、努力の賜物なんだと思う。

ジンくんは、誰よりも劣等感が強かったからこそ、自分を愛する方法、自分が幸せになる方法を、誰よりも知っているのだ。ラブマイセルフの精神は、今やBTSを語る上で欠かせないものとなっている。その根底にあるのは、ジンくんの哲学なんだと思う。

もしかして皆さん、一人一人が個性的で貴重な宝石だということを途中で忘れたことはありませんか。あなた自身を大切にすることを絶対に忘れず、いつでもあなたは輝く宝石だということを思い出して、いつも僕のように自信をもって輝くことを忘れないでください。


そして私は、いつかジンくんが、"アイドル・BTSのJIN"だけでなく、"1人の青年・キムソクジン"も許し、愛せる日が来ることを祈っている。

<出典>

1)JIN「ARMYに会えていた頃が夢のようです」BTS 『BE』 カムバック・インタビュー

2)BTS(防弾少年団)「青年の日」でメッセージ

3)BON VOYAGE Season 2

4)IN THE SOOP

5)BigHit BE公式サイト

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