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【センイル】本当のまっすぐさを知る人。


「ミンユンギの魅力に気づくとおしまいだ」という伝説は、ファンのなかでとても有名だ。

そして、「BTSのファンになると、誰推しであろうがかならず一度はミンユンギを通る時期がある。」という通説もある。

いやいや、アンパンマンじゃないんだから。ポケモンじゃないんだから。


とにかくそのくらい、ミンユンギという人物は、すさまじい、らしい。

実は私も、「あれ、ミンユンギって一番ハマったらいけない人物なのでは……?」と察し、手を引いた経験がある一人だ。


「ミンユンギって、なんかわからないけど、やばいよね……」

正体のわからない複雑な魅力を持っているのもまた、彼の最大の魅力なのかもしれない。


一見、そんな複雑でミステリアスに見えるユンギさんだけど、実は一番まっすぐな人なのではないかと思う。


「複雑そうで、実はとてもまっすぐ。その生き様が、魅力になっている人。」


なんだそれ、かっこよすぎるじゃん。


自分の目的にまっすぐな人


ユンギさんのデビュー当時のエピソードとして有名なのは、パンPDに騙されてデビューさせられた、というものだ。

元々ヒップホップをやりたくてBig Hitに所属し、パンPDから「1TYM先輩のようなグループになろう。踊れなくてもリズムに乗るくらいで大丈夫」と言われていたユンギさん。

しかし結果は、ヒップホップアイドルグループとしてデビュー。なぜかゴリゴリバチバチ激しいダンスを踊る羽目になってしまった。


今では笑い話になっているが、勝手ながら当時のユンギさんの気持ちを想像してみる。

ぜっっっっったいに、嫌である。


ジャージャー麺を食べるか、バスに乗るかを選ばなければならないほどの状況を乗り越え、肩の怪我を秘密にしてまで掴み取ったデビュー。

その結果がヒップホップアイドル……?

アイドル?

すんげえ激しいダンス?


ぜっっっっったいに、嫌である。


でも彼は、ヒップホップアイドルグループ”防弾少年団”のメンバーとして活動していく道を選んだ。


私が思うユンギさんのすごいところは、ここだと思っている。


”ただ音楽を続けたい、自分の音楽をたくさんの人に聴いて欲しい”


その目的を叶えるためには、アイドルという手段ですら選ぶことができる人なのだ。


僕はヒップホップが本当に好きじゃないですか。なので最初音楽を作る時は、「とにかくヒップホップじゃないとだめだ」、「自分だけのプライドと、妥協できないものがある」という考えでした。

でも大衆音楽の最前線にいて経験をしてみると、自分の我を通すことや、こだわることも、結局は聴いてくださる方たちがいるからこそ可能だとわかりました。僕はBTSになる前に、聴いてくれる人がいない音楽をやったことがありますから。

Weverse Magazin『Butter』発表インタビュー



BTSになる前、”聴いてくれる人がいない音楽”をつくっていた経験があるユンギさんはきっと、音楽とは、聴いてくれる人がいて初めて完成するものだと知っている。


アイドルになることで、自分の音楽を聴いてもらうことができる、自分が音楽を作る意味が生まれる。


よく、”自分の好きなことは仕事にするべきではない”という言葉を耳にすることがあるけど、それは自分の中で妥協点を見つけることが、とても難しいからなのではないかと思う。

でも彼は、そこを経験の中でサラリと見つけてしまう。

きっと、好きなことを仕事にするというのは、そういうことなんだと思う。


その目的に対するまっすぐな姿勢は、ユンギさんの楽曲を聴くと痛感する。


私はユンギさんが歌うラップや、プロデュースした曲を聴くと、不思議な気持ちになることが多い。

ユンギさんが作る音楽を聴くたびに、ユンギさんが歌うラップを聴くたびに、新しいSUGAがそこにいるような気がするのだ。


僕はBTSのSUGAでもあり、「Agust D」でもあって、プロデュースする時に使う「by SUGA」でもあるんですけど、「by SUGA」の時ばかりは徹底して商業的な音楽を作ります。
(中略)
その曲によってアーティストやその事務所が獲得するスコアや記録を見せることが、僕にとって一番大きな収穫ですね。



ユンギさんは、音楽を長く続けていくために、”求められている音楽”に対しとても真摯な姿勢を持っている。

音楽を商品・ビジネスとして考える視点を当たり前のように持っている。


もちろん当たり前なんだけど、芸術的なものやエンターテインメントって、趣味やこだわりとビジネスをごちゃごちゃにしてしまうケースが意外と多いように感じるから、こういう考えをブレずに持っている人は必要だ。


そしておそらく私が、ユンギさんが携わった楽曲を聴くたびに、新しいSUGAがそこにいるように感じるのは、

日々目的達成のために変化し、進化し続けることを、拒むことなく受け入れているからなんだと思う。


一見とても柔軟な考え方に思えるし、ある人から見れば、「それはこだわりがないんじゃないの?」と思われることもあるかもしれない。

でもユンギさんはただ、”大好きな音楽を続けること”という目的に対し、ひたすらにまっすぐ突き進んでいるだけなのだ。


求められなければ、意味がない。


自分の目的を達成するために構築した、正しく美しい理論を行動に移せてしまうユンギさんは、はちゃめちゃにかっこいい。


僕は本当にできることがこれしかありません。音楽とBTSを除いたら、29歳のミン・ユンギを見てみた時、実はすごく取るに足らない人間なので。だからずっとこの仕事を続けていきたいんです。

WeverseMagazine『BE』カムバックインタビュー



自分の愛する人にまっすぐな人



ミンユンギ最強の拗らせコンテンツといえば、「BON VOYAGE」と「IN THE SOOP」である。

とにかくこれらのユンギさんは、ただの理想の旦那だ。


自分はあまり食に興味がないと言っておきながら、「明日は何が食べたい?」と弟たちに訪ね、リクエストされたものを淡々と作る。

そして、美味しそうに食べるみんなの顔を見て、すごく嬉しそうに微笑んでいる。



SOOP2で、夜中にホビさん、ジミンちゃん、ユンギさんの3人でリビングでくつろいでいるシーンがあった。

そのときユンギさんはソファから立ち上がりキッチンへ行き、お酒を飲んでいる二人のためにおつまみを作ったのだ。

それに感動した二人は、「おいしい!」ともぐもぐと食べていて、ユンギさんは二人の反応をみて嬉しそうにニヤッとし、満足そうな表情を浮かべていた。


SOOP1で、テヒョンさんを筆頭に、メンバーでオープニング曲を作っていたとき。

途中から部屋に入ってきたユンギさんは、その様子を見て、「今作ろう!」と、急いでキャンピングカーから機材を持ってきた。

キャンピングカーに向かう背中は、とても嬉しそうで、ウキウキしていて、とんでもなく可愛かった。


BTSが日本の音楽番組「バズリズム」に出演したときもそうだった。

「一番涙もろいメンバーは?」という質問で、一番メンバーからの投票が多かったのは、ジョングクだった。

「家族やメンバー、ファンのことを思うと泣けてきてしまう」というジョングクに、ユンギさんはぽつりと一言、「いいよ、一人で泣かなければ」と言った。


惚れるである。

惚れすぎて助詞助動詞がおかしくなるほど、惚れるである。


そしてどの場面を見ていても、弟たちが「やりたい!」と言ったことは、自分が気乗りしなくても、大抵「いいよ」と付き合ってあげている。


いつもは冷静でテンションが低く、「爺」なんて言われることもあるユンギさんだけど、自分が愛する人への愛情表現はわかりやすくて、とてもまっすぐだ。


SINどい二人。


最後にこれだけは書かせてほしい。

これを書かねば私の中のユンギセンイルを成仏させられず、一生3月9日のままで止まってしまう。


これとは、そう、SINである。


二人は似ているようで正反対とよく言われるし、まさにその通りだと思うことが多い。

性質は似ているけど、全く違う理論を持つ二人は、最強のルームメイトだ。


SOOP1のなかで私が大好きな二人のシーンがある。


ユンギ「一時期、努力すべきだってずっと話してて、それが欲張りすぎだったのかなって後悔しました」

ジン「既にお前が成し遂げたことが沢山あるのに、あえてそれについて後悔しないでほしい。一生懸命生きてきて、これほどの結果を出してるんだからさ。過ぎ去った事を後悔しても仕方ないって俺は思うよ。」

ユンギ「幸せになるためには、後悔を少し減らしたいです」

ジン「俺は生きてく中でそんなに後悔はしないよ」

ユンギ「最近俺がそうなりたいって思う人の1人がジンヒョンなんですよ 」

ジン「なればいいじゃん」

ユンギ「ポジティブになりたいと思うほど、より難しいですね」

ジン「ポジティブになろうと努力するより、あんまり考えすぎないことかな。無理やりポジティブになろうと頑張らないでね」


このSOOP撮影時期は2020年。

コロナ禍でどんどん仕事が限られてしまい、7人ともその変化に苦しんでいた時期だと思う。

そのためか、このときのユンギさんの悩みは、私が思うユンギさんらしくない。


今まで構築してきた自分のなかの理論って、環境の変化があるとあっけなく崩れ去るときがある。

おそらくユンギさんはそんな時期だったのではないかな、と勝手に思っている。


多分このときジンくんは、「なんでそんなことで悩むの?」と思っている。

そして的確に自分の理論を提示し、ユンギさんに今欠落しているピースを渡しているように見える。


もしかすると、誰かが当時のユンギさんと同じ悩みを、今のユンギさんに相談したら、ジンくんと同じように返答するかもしれない。


一方で、ジンくんがバーンアウトになってしまったとき、ジンくんはこう思っていたそうだ。


最近大きなバーンアウトが来たけど、それは自分自身のことについて、いろいろと考え過ぎてしまったからだと思う。ビルボードのホット100で1位になって、多くの方からお祝いの言葉をもらったけど、僕がこれをもらってもいいのだろうかと思った。

僕よりも音楽をもっと愛していて、もっと上手な方が多いのに、そんな僕がこのような喜びや祝福を受けてもいいのだろうかと、深く考えるうちに辛い気持ちになって、すべてを手放したくなったんだと思う。


どうしたキムソクジン。まったく私が思うジンくんらしくない。

いや、とても愛しいのだが、きっとすごく苦しかったと思う。


もしかするとこの時のジンくんも、さっきのユンギさんと同じような状況にいたのかもしれない。


一方のユンギさんは、このように話していた。

ビルボード「Hot 100」の1位ってすごく嬉しいけど、「だから何?」という思いがもっと大きいような気がします。

グラミー賞もですか(笑)?

グラミー賞にノミネートされた時、「こんなことある?」という感じで(笑)、すごく嬉しかったんですが、「僕はノミネートされた歌手なんだ」という風には全く思わなかったです。ノミネートされるならされて、賞をいただくならいただくまでであって、動揺することはありません。どれだけ大きい賞か分かっていますし、いただいたらとても感謝すると思いますが、それはこの全てがファンの皆さんのものすごい努力のおかげでできたことだからです。



今のジンくんに同じことを尋ねたら、ユンギさんと同じようなことを言うかもしれない。


自分の中の理論が崩れ、迷路に入ってしまったとき、そのときに欠落しているピースを、二人はきっとお互いに持っている。

いざというときはそのピースを渡して、足りないところを補う。


SINの二人は、似ているようで正反対だからこそ、それができるかもしれない。

この二人の関係が、とにかく私は大好きだ。


私にとってユンギさんは、やっぱりどこまでもかっこいい人だ。

寄り添う大切さを知っている人だからこそ、ファンに対しても欲しい言葉をくれる。

そのためか、少し近くにいてくれているように錯覚してしまうけど、どこまでも高いところにいて、手が届かなくて、だからこそ背中を追いかけてしまう。

そんな人だ。


私は今後、ユンギさんがどんな音楽を作って、どんな変化や進化を遂げて、自分の道を進んでいくのか、とても楽しみだ。

そして彼が経験の中で考え、新しく構築した理論に、私はきっと救われ続けていくのだと思う。


”音楽を作り続けたい”


そのまっすぐに伸びる道が、ユンギさんの願う時間まで、どうかずっと続きますように。


お誕生日、おめでとう。

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