2人が見たのは“悪”夢だったのか?という疑問(MIU404感想文)

MIU404最終話を見てから、思いが募りすぎてnoteアカウント作りました。
読解、あるいは曲解、もしくは妄想です。

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 「ドーナツEPよりも気持ちよくなれる」そう久住が言ったドラッグを吸った2人が見たのは、“悪い”夢だったのか。

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スイッチを無視して相棒を死なせた志摩は、伊吹に言わせれば「死にたい奴」だった。それは、6話で新しい事実が判明しても、9話で伊吹と「間に合って」も、そう簡単には変わらない。「人はそう簡単に救えないし、救われない」。

だから、「なんも考えず気持ちよおなっとったらええやん」久住にそう言われた志摩は、「いいよ、俺は」とばかりに銃口に甘んじる。いつも少しだけ絶望の側に生きていた志摩を、絶望から引き上げたのは野生の馬鹿と走ることだ。伊吹を失うくらいなら、希望を失うくらいなら撃たれてもいい。
生きているのは、苦しい。

けれど最後の瞬間、志摩は気が付いてしまったのではないだろうか。
「目が覚めて俺が死んでたら、俺の相棒は、」
お前を、逮捕する?
「伊吹はお前を、絶対に許さない。」

伊吹には正しいままでいてほしい、そう願ったのに。
なんだ、願うように死ねたって、待っているのは絶望じゃないか、と。

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ガマさんのおかげで真っ直ぐな道に戻ったはずの伊吹は、そのガマさんの言葉で、世界のずれに気が付いてしまった。どうしても許せなかったら、殺すしかないんじゃないか。腐ってたあの頃とは全然違う、いや、本当は全然変わっていないのか。一見久住との対話に聞こえるそれらも、本当は伊吹自身の自問自答だ。

軸を失って、絶望に落ちそうな伊吹を食い止めたのは、志摩だった。志摩が伊吹に希望を見るから、伊吹は辛うじて希望の側に縋りつく。志摩が居ない世界で、希望を生きる意味はない。

「刑事とは、正義」。「刑事を捨てても、俺は許さない」。
なにも考えずに気持ちよくなってしまえばいい。

けれど、伊吹も気付いてしまったのではないだろうか。
望むがままに殺したって、そこに希望など無いと。

許すこともできないし、正義もない。
相棒からの返事は、返ってこない。

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そうできたら、と何度も願ったはずなのに。
ずれた世界を直視したからこそ、そんなことは望まないと気付いたのではないか。

だから、夢から醒めた2人は声に出して確かめる。
「“最悪な”夢を見た」「俺も」と。

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