めにみえないこと

このうさぎさん、何をしているように見えますか。
お散歩ですか??
そうです、風船でお散歩をしてるんです。ぷかぷか、ってね。
そう見えると思うんです。


でも実は、わるいおじさんに風船をくくりつけられて、
飛ばされてるところなんです。
どこまで飛んで行くんでしょう。ひゅーん。

明日、何があるかはわかりません。
でもそれは明日がくればわかります。
寝ても、寝なくても
笑っていても、泣いていても、とびはねても
明日はきます。
わたしたちは明日へ行けます。
宙ぶらりんでも、こわくはないよ。


何がおこるかなんてわからないし
わかっていたって、どうにもできないこともあります。
うささんはそれを知っていました。
だから気にするのをやめました。


そんなうささんは、まわりからすれば
なんにも考えていない、無防備な、
うすらぼんやり、のんびりさんに見えたでしょうね。
うささんはそれも気にしていませんでした。

こころにあるものを、信じているからです。


ぱちん

ひゅる~

たとえ、こんなことになってもね。

あーれー。
うささんはのんきです。

あがいても落ちていくときは落ちていきます。
いっそ体をゆだねてください。
落ちて、着地する先がどんなところかなんて
落ちてみないとわかりません。
上にいるのがいいって、だれが決めたんでしょう?
うささんは上も下も前も後も、自在にあやつることができます。
それはうささんがいつも
前だけにすすもうとしているのではないからです。


月がきれいだから上を見る。なまえを呼ばれたから、振り返る。
落としたから、下を向く。ふと思い出して、横を見る。
前や上だけをやっきになって目指すのもいいけれど
前や上だけにいいものがあるとは、限らないのですよ。

雨が降ったあと、みずたまりに映った月はきれいです
世界には、それを知っているひとと知らないひとがいます。


おやおや。よかった。よかった。

さっきふうせんをわった
小鳥のおかあさんでした。

うささんは信じています。

いつも世界はやさしいと信じています。
きっとだれかが助けてくれると信じています。
さいごは自分が助けてくれると
知っています。

確実に目に見えるものだけを信じて生きていくには

うささんは弱かったんです。

でも、ものすごく、強かったんです。


そんなようなこと。

ありがとう、またね。


誰かのためにやさしくしたらそれは帰ってくるなんて、そんなの、
信じたいけど、きれいごとだよってさ、思ってたけど、
相手を想ったことや、すきや、ありがとうや、
身を削ってでも伝えたかったなにかっていうのは、
ほんとうに帰ってくるんだと思うな。
帰ってきたことに気づけるこころや、
それらが帰ってきたいと思えるようなあたたかな空気を、
あなたが持てるようになったって、ことなんじゃないのかな。


きっとやさしいきもちってのは、こころを耕すんだ。
だとしたら、おかえりーって笑いたいよね。
笑いたいよね。


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読んでくださってありがとうございました!
2010年冬、ツイッターのアイコンを描いたときに、そこから派生して生まれたお話です。あの頃のわたしが伝えたかったことは、ここにぜんぶ描くことができたと、そう思っています。稚拙ですが、等身大です。ナマイキ価格ですが、冒険しました。どうぞよろしくお願いします。

え・ぶん さちこ

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