【写真】梅雨とも夏ともつかぬ曖昧な季節の真ん中で
暁天の青は雨粒に溶け、その雨を浴びた紫陽花が青色に染まる。晩天の紫を食べて咲いたラベンダーが、湿り気を含んだ風に香りを乗せる。
六月。夏の足音は忍ぶこともなく、雨の季節を押しのけながらこちらへやってくる。雨の妖精は強引な夏を横目にため息をつきつつ、緑や花々と静かに語らっている。
満開の紫陽花がならぶ道路脇を通り過ぎると、にぎやかな鳥の声が耳に入ってきた。見上げれば、数羽の小さなツバメたちが飛びまわっている。同じ場所を何度も何度も、円を描くように。巣立ちを迎えようとする前の