その赤い花は厄災か祝福か(月一フォトエッセイ)
ビルの屋上に大きな猫がいた。その猫は、空を流れながらもくもくと膨らむ入道雲に猫パンチを連発している。すると雲はたちまちちぎれていって、群れを成すひつじ雲へと姿を変えた。遊び疲れたのか飽きたのか、その猫が丸くなって眠りにつくと、日差しが少しだけ柔らかみを帯びた。
また別の日、とある公園でまったく同じ猫を見た。その足元で猫を見上げる。大きくて、その分さらにモフモフしている。不意に猫がにゃあと鳴いた。すると近くに咲いていたひまわりが一斉に頭を垂れていき、代わりに彼岸花が次々と花を