冬は逝きて春ひとり立つ
いつもはそんなことないのに、帰り道の花屋に並んでいるはずの切り花がほぼなくなっていた。「予約商品受け取りの方はお声がけください」と張り紙がしてある。
花屋に予約なんてあるのかと思い、直後、そういえば三月最後の平日だったと気づいた。異動、転職、退職。旅立つ大人がたくさんいたのだろう。
そういった社会の流れから外れた場所に立っている。だからなのか、この季節は何かに追い立てられるような責め立てられるような、そんな気分になることがある。春にはそんなつもりなどないだろうに。まるで成