夏は鮮烈かつ無常な美しさに溢れている(月一フォトエッセイ)
窓の外、迫り来る黒い龍を見た。その咆哮は体を震わせるほどの雷鳴。巨大な雨柱とともに灰色の空を駆けてくる。ただ無力に濡れていくだけの世界。私たちはただ無事を祈ることしかできないちっぽけな生命。
叩きつけるような雨が過ぎ去れば、太陽の光が燦々と地上に届く。眩しく窓の外を眺めれば、そこには七色の光が橋を形作っている。
黒い龍は、あらゆる生命に恐怖をもたらしながら、同時に世界を満たした淀みを洗い流し、乾いた地上に恵みを与えさえする。厄災でありながら救世主、救世主でありながら厄災。