救済のない世界だからせめて祈る(月一フォトエッセイ)
海の煌めきは妖精の轍。その光をめがけて生い茂る緑の隙間を駆け抜ける。視界が開けて、白い砂浜を踏む。すると光はたちまち遠のいていく。掴めない煌めきは波と踊るようにあちらへ、こちらへ、またあちらへ、不規則に飛び回る。
今年は、雨を降らせる龍にあまり元気がなかったのだろうか。いつのまにか終わりを告げた雨の季節。地上の森羅万象を焼き払うがごとく照りつける太陽。それでも命は輝いている。強い光を浴びながら、同時に色濃い影を落としながら。
潮の香りをめいっぱい吸い込む。「海に還りたい」