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雑多な本棚

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2022年5月の記事一覧

透明な球体(経験した死の数々)

* 私が「死」という事象に強く興味を持つのは、ごく自然な流れであったと思う。 父方の祖父と母方の祖母は、私が生まれたときにはすでに亡くなっていた。二人とも両親がまだ幼い頃、あるいは若い頃に病死したようである。 私が小学生の頃、父に付き添う形で出席したよく知らない誰かの結婚式に、祖父の遺影が置かれていた。祖父の顔を見たのはこのときぐらいだったはずだが、肝心のその顔はまったく覚えていない。祖母の顔にいたっては見る機会すらなかった、と思う。 では母方の祖父はといえば、記憶に

抗えぬ変化の波に乗れ

六年。それだけの月日があれば、何も変わらずにいられるほうが珍しいだろう。 * 居酒屋の厨房でアルバイトをしている。この店はオープンから六年が経ち、つまりオープニングスタッフとして入社した私も勤続六年。このコロナ禍で周辺の飲食店がのきなみ閉店していく中でも、今の今までなんとか命を繋いできた。 だが、六年の歳月が流れれば、変わらずにいられることのほうが少ないものだ。この店は、近いうちに別のオーナーへ売り渡されると決まったらしい。 閉店するわけではないし、基本的にアルバイト