特許の鉄人第2回 現地レポート 〜特許クレーム作成は、いかにしてエンタメ化されたか〜

こんにちは、ちざたまごです。
2020/01/18(金)に開催された、「特許の鉄人第2回」に参加させていただきました。

Twitterでは#特許の鉄人で実況させて頂いたのですが、こちらでは取り急ぎレポート&所感を記させて頂きます。

1、開場前

ムゲンチザイ事務局として「特許の鉄人」をゴールドスポンサードさせて頂いた縁で、ちょっと早めに会場入りさせていただきました。

会場は第1回と同じく東京カルチャーカルチャー。今回は100席が売り切れ&増席もされたそうで130席の満員御礼です。

お客さんの入場を待つ静かな会場

壇上にある大きなタイムウォッチが印象的です。
これでクレーム作成の制限時間、25分を測ることになります。時間表示、大事ですよね。

さあ、どこに座ろうかなーと迷っていたところ、カルチャーカルチャー様から「スポンサーは指定席用意してますから、そこに座ってください」とのお言葉が!

なかなか見やすい席位置、これだけでテンション上がってきます。

と、待っているだけでも面白くないので、第2試合に出場される押谷先生を捕まえてお話を聞いてみました。

ちざたまご:「出場前の心境ってどんな感じなんですか?」
押谷先生:「まあぶっちゃけ緊張しますよね。本当にガチで、何の事前情報もないですから。
でも、普段の仕事と同じ、平常心…というか、今は無になるように努めてます。
見どころは高速タイピングだから、その辺見てもらえればと!」
ちざたまご:「本当に25分で書けるんですか?」
押谷先生:「それはやってみないとわからない

緊張か、どことなく固い笑顔の押谷さん
(名刺はちざたまごのものです)

そのあと他の先生にも会話を試みましたが、全く弾まなかったので諦めて席に着きました。
試合前はコンセントレーションしたいですよね。

2、第一試合!

18:30開場でお客さんが続々と入ってきます。お隣はToreruの宮崎さん。宮崎さんとはIPtech知財塾の同じゼミ生なので顔なじみです。

今回、スポンサー特典でチラシを配布できるのですが、Toreruは自社サービスのチラシを配らず、“知財あるある”だけまとめたチラシを配布されておりました。

シャレオツなデザイン

ちざたまご:「Twitterであるある結構集まりましたよね。自分はこの[老後は年金で暮らしたい]ってやつが好きです。」
宮崎さん:「これって国民年金維持年金がかかってるんですよね、きっと。
あと、セントラルアタックはみんな声に出して言いたいはず」

そんな話をしているうちに、第一試合開始です。

日用品対決のはずなのですが、何故かロボットが出てきました。

これ、最近 Amazonのおすすめで出てくるので知ってました。しっぽを振るクッションなのだけど、撫でてやると喜ぶらしい。

https://robotstart.info/2018/11/05/yukai-qoobo-review.html

本物のベンチャー発明者の方が商品の説明をするのですが、その間もどんどんタイマーは進んでいきます。説明&質問中でも時間が進む、鬼仕様。

ハードウェア構成もガチ目の図が出てきます。前回より明らかに難しい!ざわめく会場。そしてスタートするクレーム作成…!

壇上でのクレーム作成過程がスクリーンの左右分割で投影されます。

ただ文字が細かすぎて見づらく、都度写真に撮って拡大しないと解読できず…

投票タイムに選手の完成クレームをQRコード経由でスマホ閲覧できるのは素晴らしかったので、次回は試合中もGoogleドライブでリアルタイムに作成クレームが閲覧できるなど、さらなる進化に期待したいところ!

安高さん&内田さんの軽妙な解説が飛び交う中でも、選手2人は真剣そのもの。そしてタイムアップ&投票の時間!

私の所感なのですが、
松木先生は「なで方を判別するセンサー」という発明の特徴部分を請求項1に入れていたのに対し、甲斐先生は接触部と、動作部と、制御部とを構成要素に挙げ、「前記接触部に接触すると、前記制御部が前記動作部にあらかじめ定めた動作を実施させること」とオーソドックスな書き方をされておりました。

自分は甲斐先生の書き振りだとさすがに権利範囲が広すぎて厳しいだろうなーと思ったのですが、請求項2以降で構成要素が具体化されており、クレーム全体で軍配が上がった!という印象です。

なお感想戦でも呈された「これって日用品なんですか…?」という問い掛けに対しては、発明者の方が「未来の日用品です」と笑顔で答えられていたので、問題なく日用品となっておりました。依頼人強い。

3、そして第二試合

休憩を挟んでソフトウェア対決です。

木本先生の写真、哭きの竜っぽい

第1回特許の鉄人の「ペットローマ(動物にとって危険な植物かどうか、スマホで撮影すると診断してくれるアプリ)」に続き、動物シリーズです。

今回は犬が社長という設定

ファンタジーな設定とは裏腹に、提案内容は

「20TBとかのデータは光回線でもデカすぎてまともに送れない。なのでハードディスクの現物をケースに入れて配達しよう。その際に誤配やデータ盗難があるとまずいので、パスワード&配達指定先の位置情報のダブルロックでセキュリティを担保する」

という、儲かるかどうかは不明だけど、世の中にあってもおかしくはなさそうな起業アイディア。

先行技術はバイク便と、 Amazonの配達サービス(残念ながら詳細は読み取れず)。さあ、作成開始です。

木本先生は先に構成要素をエクセルにまとめ、階層化するスタイル。確かにワードやテキストファイルでベタ書きするより、構造が分かり易いかも。今度やってみよう。

ビール追加で頼んだりしているうちに、いつの間にか押谷先生も爆速でクレーム作成。25分のうち、発明者の説明が5分以上あったので実質20分弱!うん、席にいても速すぎて見えなかったよね…

この分量である

そしてエクセルでの分析を華麗にテキストへ落とし込んだ木本先生のクレームがこちら。

両者で書き方が分かれ、対照的で面白い

甲乙つけがたいものの、

この発明ってバイク便+解除パスワードを送るプログラムだと新規性があるとは思えないから、位置情報を感知し、それが解除情報を送るトリガーになる要素がクレームに入っていないと、権利化は厳しいかな…

悩みましたが、自分としては上記の要素がしっかりとクレームに組み込まれていた押谷先生に1票。結果は…

審査員票も割れたものの、押谷先生に軍配が。

白熱した名勝負でした!

4、おわりに

大団円

「特許の鉄人」、本来どう考えても25分で発明提案を聞いて先行技術との違いを把握し、発明の特徴をクレームに書き込むのは無茶なこと。

しかし、その無茶をあえて壇上でやり、しかも対決形式で勝敗を決するからこそ、「その無茶を一度見てみたい」というこのイベントの“引力”が生じたのだと思います。

企画はアイディアから生まれ、アイディアは妄想から育ちます。

主宰者である加島さんの「料理の鉄人が好きで、特許でも対決ショーを見てみたい」という“妄想”がTwitterで賛同者を集め、カルチャーカルチャーというエネルギッシュな場で結実したこと、知財業界もまだまだ面白くなる余地があると感じました。

この無茶な企画に出場された4名の選手の気合いに心から敬意を表します。

最後に、甲斐先生の試合後の「やりきった笑顔」を貼らせて頂きます!

ありがとうございました!

…そして、特許の鉄人の次は、我々の番。

ムゲンチザイ♯3 しくじり✖︎知財を3/10(火)夜にやります!

2月上旬よりPeatixでチケット販売しますので、ご期待ください。今回はゴールド&プラチナスポンサー制度も用意し、企画×知財に関心がある方みんなで盛り上がっていきたいと思います!
https://infinity-ip.peatix.com

よろしくお願い致しますー!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?