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その④ エディの新しい友として生きたい『世界で一番幸せな男 101歳、アウシュビッツ生存者が語る美しい人生の見つけ方』を読んで

〜生存者のなかには、この世界はひどいところで、誰の心にも邪悪な部分があると考え、人生に喜びをみいだせない人がいる。そう、解放されていない人々だ。傷ついた肉体は七十五年前に収容所から出てきたのに、傷ついた心はいまだにそこにとらわれたままなのだ。一度も自由を感じたことのない悲しい生存者を何人も知っているが、自由を感じるには、苦しみという重荷を下に置く事だ。そうすれば幸せを実感できる。私も、恐怖と痛みを抱えたままでは真の意味での自由は得られないと気づくのに何年もかかった。〜引用終わり

エディは、苦しみという重荷を下に置こうと呼びかけている。

アウシュビッツの収容所で生きた人が言うこの言葉はどんなに重みのある言葉かと思う。

信じていた人に裏切られたり、ごく普通の人が普通の顔で残忍な行為に及ぶ様を見てきたら、人を見たときに、「この人にも邪悪なところがあるのだろう」という恐怖や悲しみやあきらめの気持ちに襲われると思う。

信じたいと思ってもできなかったり、、正気に戻れないまま人生を送った人もいると思う。ベトナム戦争の帰還兵で、社会生活に戻れなかった人が多くいた話はよく見聞きするけれど、精神に異常をきたしても何の不思議もない。

そういう人にエディのこの言葉が響くのかどうかはわからないけれど、そんな過酷な経験をしていない私なら、この言葉を人生に生かすことはできる。

エディは、憎しむことをやめようと言っている。

許せなくてもいい、自分も許せなかったし許してもいないと書いている。

スピリチュアルな本などでは、許せていない人がいると幸せになれないと書いてあるが、許さなくても憎みさえしなければ、幸せになれることをエディが証明した。

許せなくてもいい。憎みさえしなければいい。憎むエネルギーは自分や自分の周りの人を幸せにするために使おう。エディはそう伝えるためにこの本を書いたのだと思う。

自分の人生の壮絶な体験をシェアすることがエディの目的ではなく、自分の経験から得た幸せになる方法をみんなに伝え、それを人々が実践することで世の中から憎しみを減らし、二度とあんなことが起きないようにすること。それがエディの望んでいることだと思う。

本の「はじめに」から、繰り返しエディはわたしたち読者を新しい友と呼ぶ。本に書いてあるそんな文句が胸に響くことがどれくらいあるだろうか。この本を読み終わった時私は、エディの良い友になりたいと願った。きっと同じように感じる人は多いと思う。想いは言葉にのるのだと改めて感じる。

こんな大変な想いをしたエディが、長男のマイケルを腕に抱いた時に、今日から人生最後の日まで、幸せで礼儀正しく、人の役に立ち、親切に生きよう、笑顔で生きようと思ったと書いている。

そしてその通りの人生を歩んでいる。

繰り返しになるが、本の締めくくりの

〜そして、どうか、毎日、幸せでいてください、そしてほかの人も幸せにしてあげてください。世界の友だちになってください。

あなたの新しい友、エディのために〜本文より

という言葉は、エディの心からのメッセージだと思う。

寝る前に書いた熱い文章みたいだけれど、エディの新しい友として、幸せに生きるために努力しよう。エディがやってのけたんだもの、私にもきっとできる。エディの復讐に私も参加したいと思う。

また、エディは幸せでいる方法もちゃんと教えてくれている。

まずは憎しみ、苦しみを下に置くこと。

そして、人と自分を比べないこと。

幸せは選ぶことができ、それは自分次第だとも、ひと呼吸ひと呼吸が贈り物だとも書いている。

ちょうどこの文章を書いている時、私を惨めにする電話がかかってきた。

その⑤に続く




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