しつけの話
子どもの頃、習字をしていた。
丁度祖母と同じくらいの歳の先生で、厳しさの中に優しさがあり、第三のおばあちゃんという感じで慕っていた。
小学校3年生くらいの時に新しい生徒が母親と来て入塾を申し込み、母親は「うちの子、どうぞしつけてやって下さい」と言った。
先生は淡々とこう答えた。
「しつけはご自宅でなさるものです。幼稚園の子も通っていますが、自分で来て自分で片付けられます。自分のことは自分で出来るお子さんしかここには来ません。」
背筋が伸びるようなピリッとした空気が流れ、こういう大人になりたいなっと幼心に刻まれた出来事。
身を美しく、躾の意味を今でも時々考える。
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