息できないのは君のせい 3巻23話のはなし

「快楽大問題」


お風呂回ですね
構想時に餃子作る回からこっちにチェンジしたと言われるやつ
餃子もちょっと読みたいけど🥟🥟



前段ですが
先日またいろいろ新しい作品をいくつか読んだんですけど、面白かったです
それで面白かったと同時に、やっぱりわたしはゼニコ先生の漫画好きだな〜ってなりました
作品それぞれの持ち味と良さ、ターゲットの客層が違うから比較するものではないんだが!!「息でき」がわたしにはドンピシャだったんだなって思った
いろいろな作品を読むほどに、自分の「好き」の感覚がはっきりとした形になるな〜って思いました



読書感想文に戻ります
志筑くんと三好が出会ったきっかけが描かれる回ですが、まじで本当に無駄がないのに経緯も心情も分かりやすい
矢野くんが防音室の部屋をノックするところ、矢野くんのカットでひとコマ溜めてノックしてて、矢野くんのちょっと躊躇う気持ちが出てて好きだな〜というのと、声を掛けた矢野くんの後ろからお風呂上がりの志筑くんが出てくるところ、場面の空気とアングルの切り替わりが見えて好きです

23話に限った話ではないんですけど、視点がよく変わるから読んでてダレないし、部屋の中でのちょっとした2人の動きが見えてくるの良いなぁ
「このコマはここを見ろ」っていうのが分かりやすいな〜って…描き込みは細かいけど邪魔はしないし、何を見せるかが丁寧親切みたいな感じ…目が迷子にならない感じ??情報量は多けりゃ良いってものじゃないので、それがわたしには適切だったんだろうなと


志筑くんがビッグバンドに入って三好と知り合う回想、本当に良いな
初めて会ったときから動きのあるキャラクターで憎めない感じ、少し横暴な部分も描かれているけどそれをねじ伏せるかの如く確たる実力を持っているのが端的に描かれてて良い
キャラクターの魅力って「ギャップ」だと思うので、それについては4巻でさらに解像度が上がるけど、この回想で三好というキャラクターのギャップが描かれててこれから好きになれるだけの説得力を持たせてるなって思いました
4巻ではっきり出てくるところだけれど、少しずつ積み重なる志筑くんの中の息苦しさもさりげなく描かれててまた良いです
スケール練習のノートが使い込んでくたびれた感出てるのがいいなぁとか、そういうところの描き込みも好きです
あとめちゃくちゃサックスがカッケェ、テナーサックスの迫力やばい


その後メンバーの彼女寝取り疑惑で志筑くんがビッグバンドを抜けるところもだけど、三好への割り切れないしんどさが本当に適量な重さで描かれてるのでそれも良くて!(全肯定オタクだけどちゃんとした全肯定です)

恋人がいるのにこんなん嫌だろって気にしている志筑くんの重さを矢野くんが軽くしてくれて、そこに矢野くんの心遣いとか優しさもあるのが良くて、かつ構成的にもテンポをコントロールしてくれてるのがここ好きだなと思います

とは言えお互いぎこちないまま、わだかまりを残して次回に続くのが良いですね…



ゼニコ先生の話の重さ軽さのコントロール、違和感がないんだよな、矢野くんが志筑くんを抱きしめて「泣かないで」って言うところ、雰囲気を軽くしてくれているけど、ちゃんと「矢野くんがやりそうな事」っていう感じがするから全然違和感ないし、その後の話し方も矢野くんならこの話題を雰囲気を軽くしたまま終わらせないだろうな、でもまだ深堀りしていくには自分の中で整理しきれてないんだろうなっていう、キャラクターがちゃんと自分の意思を持って場面を展開させていくのが見えるようで、本当にすごく好きです
志筑くんにも同様のそれを感じます


わたし本当にそのキャラクターが意志を持って動いて物語を進めているような、作者が黒子に徹する感じなのが好きなのかもしれない…もちろん作者の物語の方向性がどこに向かっているとかが前提なんだけどその黒子の手とか見えないほうがいいって言うか、舞台に立つ人間たちが作者の手がなくとも「自分の人生を生きている」からこその思考、行動に説得力を感じるんだと思うな…
たまに、その子そんな事するかな??みたいな作品を読んだりする事もまぁまぁあるけど、そういうのがゼニコ先生の作品にはないかなって気がする、その子の行動にちゃんと納得する、みたいな(良い意味でです!)

そう考えると話作りにおいて意表を突く展開を生み出すのって難しいんだろうなぁ
こういう展開にしたいんだけど、この子絶対そんなこと言わないよなとか、生み出したキャラクターの自我に悩まされそう…
キャラクターの行動原理とかに説得力を持たせながら良い意味で期待を裏切るような予想外の展開を作り出すのってめちゃくちゃな労力があるんだろうなって思いました


いつもだけど本当に一生脱線してんな…


(最近フリーレンを読みながら同じことをよく思うんです、「勇者ヒンメルならそうした」ってやつです…ヒンメルの行動はいつも一貫していて、たまに意外性が出てくるけどその行動原理を知ると最後は絶対に納得する、みたいなのたくさんあって気持ちが良いんです、ちょっとカタルシスみたいなのも感じられるよね、フリーレン本当に面白いよね…語る友だちほしいな…)


次は24話です
次から矢野くんが動き始めるのですけど本当に本巻も4巻もずっと矢野くんがカッコいいよね…息できは本当に好きです

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