ゆりの咲く庭 下
1分小説
この物語は2章構成になっています!
第二章: 咲き誇る未来
俊介の告白は、瑠璃にとって大きな驚きだった。彼女は、過去に感じた淡い恋心が今も自分の中に息づいていることを再認識した。しかし、同時に心の中で湧き上がる迷いもあった。彼女は長い間、自分の感情を押し殺し、祖母が遺した甘露堂と百合の庭に全てを捧げてきたのだ。
俊介は静かに続けた。「この庭に来ると、昔のことを思い出すんだ。君の笑顔、君の声…そして、この百合の香り。僕はずっと君のことを忘れられなかった。だけど、今なら言える。僕はもう一度、君と向き合いたい。」
瑠璃は、彼の言葉を聞きながら、自分がこれまで何を求めてきたのかを考えた。甘露堂の仕事、祖母との思い出、そしてこの庭に縛られてきた自分。しかし、その中で彼女が失っていたもの、それは自身の幸せを追い求めることだった。
「俊介、私…」瑠璃は少し戸惑いながら口を開いた。「私も昔、あなたのことが好きだった。でも、今は…私がこの庭とどう向き合っていくかを考えなければならない。」
俊介は優しく頷いた。「無理に答えを出さなくていい。君が本当に望むことを見つけたとき、その答えを聞かせてくれればいいんだ。」
それから数日間、瑠璃は毎日のように庭に足を運び、百合の花と向き合った。そして、ある日、彼女は決心を固めた。祖母が遺してくれたこの庭を大切にしながら、自分の人生を新しい一歩へと進めることを。
数週間後、瑠璃は再び俊介に会い、彼の前で静かに笑った。「私、あなたと一緒にこれからの人生を歩んでみたい。過去も大切だけど、未来はもっと大切だと思うから。」
俊介は、穏やかな笑みを浮かべて彼女の手を取った。「一緒に歩いていこう。君が咲かせる新しい百合の花を、僕も見守りたい。」
瑠璃の心には、新たな希望が芽生え始めていた。それは、祖母の愛と共に受け継いだ庭と共に、自分自身の未来を咲かせるための決意だった。彼女の胸には、これから咲き誇るであろう百合の花の香りが、優しく広がっていった。
おわり
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よろつよ
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