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お土産ご希望の品を答えると「なぜ?」と問われるドコにでもある物品を、すんなりお土産として下さい私に。

世の中には「お土産なに欲しい?」とお土産にご希望制度を導入している人種が一定数いる。お土産を渡そうと思っている相手にお土産は何がいいかを事前に聞くのである。コレは試されているのか。正解のあるクイズなのか。

旅先でお土産を自分で選んで買って来る人は、行き先がどの県であってもブレる事なく〇〇に行ってきましたと書いてある個包装のお菓子を配る人と、その県の超絶有名な食べ物をお土産にするポリシーの人、この2パターンが王道ではなかろうか。

これを踏まえると、県の名前や観光名所や有名スポット、はたまたその土地の有名な銘菓や農産物や海産物、それらの知識があるかどうかを試されていて、それらを答えるのが正解か。
「和歌山に行くけどお土産なにが欲しい?」と聞かれたら「熊野古道に行ってきましたて書いてるクッキーが欲しい」や「那智黒の飴が欲しい」と答えるのが正解なのであろうか。

試しに「なんて答えてる?」と質問し旅行先を北海道と仮定したら「じゃがポックル」と具体的な商品名が出て来た。
「博多なら明太子かな」といった特産物派もいたので、やはり二大王道に倣った答えが求められているようだ。

しかし残念ながら、北海道・本州・四国・九州沖縄の4分割でバカ日本地図を賄っている私には、観光名所や有名スポットはおろか日本地図上の場所は
1道2県わかれば調子良いほうで、旅行先の県名を聞いても銘菓や特産物なんて夢のまた夢、場所すらわからんので「本州?右?左?」と質問をすることになる。
90%「あ、もうええで、わかったわかった」10%「右て何きーとんねん?」てな反応である。

二大王道に倣った何かを答えられる知識はないものの、旅先で私の土産を探すのに手間がかかり旅を満喫できない事態に陥るような何かを答えたらまずい、と思うくらいの常識はある。
そこで、旅先がドコであろうとも旅人が誰であろうとも老若男女すべての人類にとって容易に見つかり安価でありさらには見なくても確実に欲しい希望品を答えている。
双方に都合いい完璧なお土産ご希望品と言える物品であるが「わかった」と二つ返事をしてもらえた事が一度も無い。
大きく分けると2種類のどっちかを答え、どちらもドコでも手に入るドコにでもある物品なのに「わかった、買って来るね!」と返って来たことは無く、希望する理由を問われ続けている。欲しい理由がなきゃいけないみたい。

「旅行のお土産で何か欲しい物ある?」
「飛行機乗る?」
「乗る」
「じゃゲポ袋。往復で4枚はカタいな」
「…ゲポ袋?」
「前のシートの背もたれポケットとかに『ご気分が優れない場合にご利用ください』とか上品に書いてるエチケット袋よ」
「それは知ってるけど、なんで?」
「無料やし探す手間もいらんやん」
「そういうことじゃなくて、なんでアレが欲しいん?」
「欲しいな、て思ってるから。欲しいと思ったらアカン物か?」
「アカンことはないけど…アレほんまに要る?」
「使用済ならいらんで?未使用のヤツだけ要る」
「いや、わかるけど…何に使うん?」
「ゲポ袋として使うこともあるけどまァおおかたジョーク用」
「…ジョーク用てナニ?」
「検尿カップにコーヒー入れて渡すみたいなもんでブラックジョークの一種やん。ゲポ袋に写真入れて渡すとか『誰か袋持ってない?』て時に『ありますよどうぞ』てスマートに渡したらどんな反応すんねやろおもてやってみるけど、変な間があるね。ちょっとした嫌がらせか頭のおかしい人やと思われとる。ANAのロゴ付きの防水加工の袋やで?わざわざ飛行機から持ち出したん一目瞭然やねんからジョークやがな!て思うけど、ジョークとおもてる人あんまおらんねん」
「おもくそ引かれてるやん」
「その引かれ袋のストックに貢献していただいて」
「ま…別にええけど…タダやし」
別にええならすんなり、くれ。
希望品を答えてんねからすんなり、くれ。

旅行の交通手段に飛行機があるなら、私が欲しいと思うお土産はゲポ袋である。費用もかからないしお互いにとって理想的なお土産だと思っているが、すんなりもらえたことは無い。

お土産でもらう時に理由が必要になる航空会社のゲポ袋

「修学旅行のお土産、何がいい?」
「誰がこんなのいる?て思うキーホルダーかな。別にキーホルダーに限定せんでもキーホルダーくらいの大きさなら何でも」
「は?ソレてどんなヤツ?どんなキーホルダー?」
「今はっきりゆーたけど?誰がこんなのいる?て思うヤツて。コレ誰が買うん?て思えば何でもイイ」
「そんなの…ある?」
「しこたまあるがな」
「ある?!え~…難しい…」
「難しくないやろ、コレ私が買わなかったら来年まで売れ残ってそうて思えば買いや」
「そんなキーホルダーある?」
「あんた土産屋で欲しいと思って買ったキーホルダー何個あるよ?」
「ん~… …ないかな」
「キーホルダー全品該当するやないかい。あるやんか、誰がこんなのいる?て思うキーホルダーはソレや」
「こんなのいる?て考えて見てないもん」
「欲しかったら買ってるやろ?買ってないやん、欲しくないやん。てことは誰がこんなのいる?て思うキーホルダーやねんソレが」
「そう…なるの…か…?」
「そういう事でいいねん」
誰がこんなのいる?て思うキーホルダーなのに欲しいてコト?」
「そだね」
「なんで?」
「欲しいからよ」
こんなのいる?て思うのに?」
こんなのいる?て思うのにじゃなくて、こんなのいる?て思うヤツしかいらんと思うのこそぜひ欲しい、て気持ちやな」
「ややこしいややこしい!!!…じゃぁ、少しでも欲しいと思ったらいらんの?」
「いらん。欲しいかもくらいの気持ちが湧くなら絶対にいらん。誰がこんなのいる?売れ残りじゃない?誰が買うん?…それは…私か?て思ったら最高に欲しいねぇ」
「ムズい!わからんわ…」
「どうしても迷うならご当地ガチャてガチャガチャが100円であるからそれ1回やってカプセル開けずにちょーだい。200円と100円なら100円のほうやで」
「安いほうなんや?」
「200円のほうにはたまにアタリ入ってる。100円のほうは全部ハズレやからそっち希望」
「え?全部ハズレなん?」
「確実にハズレしか出て来ない」
「アタリ無いのにやるん?」
「アタリが無いからやるんや。全部ハズレていうドレが出てもいいアタリガチャやん。ご当地100円ガチャは夢のマシンやで。缶バッチとかマグネットとかピンバッチとか。全部ハズレやからドレでもいい」
「ハズレしか出ないんや…」
「ハズレと呼ぶ物がゆ~たらアタリですな」
ご当地ガチャはザ・観光地の街中に設置されているので、意外と探さないと見つからない。
物価高騰のあおりを受けて100円のガチャなんて今となっては死ぬ気で探さないと見つからないので、こちらは難易度が高くなるだろう。

ドレが出てもハズレのアタリガチャ(ハズレなし)

「よくわからんけど頑張って探してみるわ」
「旅を楽しむついでに探して。頑張る必要はないって。土産屋には絶対寄るやろ?そこで誰がこんなのいる?て思うキーホルダーが必ず見つかるわ」
「見つかるかな~…そんなの見たことない今まで…」
「今までは見ようと思って見てないから見えてないだけやで。見ようと思って見ればすぐ見つかるから」
「え~…コレがそうかな~とか迷ったらどうしよう?買ったほうがええかな?」
「安心し、迷うことはないで。コレのことかて一発でわかるのがウジャウジャ売ってるから一番安いのちょーだい」
「それも安いほうなんや」
「作りに影響が出るからな、売値は安ければ安いほど上出来」

安ければ安いほど上等品になる矛盾売り場

誰がこんなのいる?て思うヤツを見つけられるのか…と不安をクチにして旅立った中学生が「あったで~!いっぱいあったわ~!」と自信をつけ大漁旗を掲げて帰って来るお土産ご希望品、それが誰がこんなのいる?て思うキーホルダーである。
中学生でも土産屋ですぐに見つけることが出来るドコにでもある物品なのだからすんなり、くれ。

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