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VR鑑賞した作品の感想&VRの可能性について考えたこと

先週、VR(XR)作品をVRゴーグルで鑑賞したのでそのレビューと、VR鑑賞してみて気づいたVRの可能性について感じたままに書いてみたいと思いますー。

ネタバレが嫌な人は目次から「私が感じたVRの未来、可能性」から読むと良いんじゃないかしら。

伊東ケイスケ監督のFeather

ヴェネチア国際映画祭にノミネートされたFeatherは、少女がバレエダンサーに憧れて練習する日々を描いた物語性のある作品。

最初のシーンでは前方に少女の部屋と少女が小さめに映っていた。

いや、映っていたという表現は正しくない。見えた、あるいは出現していたという方が感覚的に近い。

なぜなら3DCGで作られた立体的で質感を持った映像だからだ。
オルゴールを覗き込むように、あるいは人形劇の舞台装置を覗き込むように、少女の部屋と少女を観察した。

バレリーナに憧れるものの上手く踊れない少女の動きと表情はセリフがなくても伝わってくる。

1~2分の短いシーンを見ると、画面上に光る羽が出現した。これを少女に渡すことで物語が次のシーンへと進んでいく。

つまり、VRコントローラーを持った現実世界の自分の手を、作品世界の少女に触れるように運んでいく動きになる。

このとき、自分が作品を見ている際にあまり動いていなかったことに気が付く。

数歩動くことで、作品を自分の好きな角度で見たり、少女に近づいたり遠かったりできるのだ。

これがVRのすごいところで、VRゴーグルをつけた自分が前に歩いても作品世界がその分前進するということはない。自分や自分の視点だけが前に行き、あるいは振り向いたり、天井を仰いだりすることができる。

最後のシーンでは6畳くらいの少女の部屋の中央にいた。360度の視野になっていて、ソファやテレビなどに近づくこともできる。

作品世界の家具には手で触ろうとしても手は空中を切るだけなので、作品が虚像というよりは反対に、自分の方が透明人間か幽霊になったかのように感じる。

基本的に少女の小さい部屋で物語が進行するというシンプルな設定にしていること、360度のシーンを終盤のみにすることで、製作する部分を絞り、その分、丁寧に作り込まれている印象を持った。

伊東ケイスケ監督の経歴は、多摩美大卒の元グラフィックデザイナーで、3DCGはデジハリで学んだようだ。

ヴェネチア国際映画祭VR部門に3年連続でノミネートされている。最新作のVR演劇作品「Typeman」も第79回ヴェネチア国際映画祭クロスリアリティ(XR)部門「Venice Immersive」にノミネートされている。

もしかしたら日本のVR監督で一番有名な人なのか? 最新作のTypemanを見ようとしたが、あいにく満席でチケットが取れなかったので悲しい。

Qing Shao監督のIn The Pictures

こちらは反対に水平に360度、眼下~空まで垂直方向にも大きな空間の中にいる体験ができる作品。中空に浮かぶ宮殿に向かって空中の階段を登って行ったり、左右に巨大に伸びた本棚のある空間にいたり、とにかく広い空間を体験することができるVR作品だった。

WevrスタジオのtheBlu

深海の生態系を見ることができるシリーズ作品。
海の底に潜り、小魚やカニ、クラゲ、深海魚などを見上げることができる。

水族館では水槽の中を覗くことしかできないが、このVR作品内ではスキューバダイビングで潜ったり、水槽の中に入ったかのような体験ができる。

印象的だったのは深海の作品。真っ暗闇からスタートする。

手に持ったサーチライトに照らされて見える難破船の残骸、海の底の砂。難破船の木片に隠れているカニ、目の前を泳ぐ小さな魚、群れ光る小魚、頭上をゆっくりと浮遊するクラゲの透き通った身体を暗闇の中で目を凝らして観察する。

ジョーズを連想して、魚に襲われたらどうしようと怖くなるほど没入感があり、作品が終わってVRゴーグルを外した時には、遠い場所から部屋に帰ってきたという感覚があった。

VR初めての人にもおすすめ。VRで何ができるのかがよくわかった。

VRの未来、可能性

VRゴーグルは現在は重すぎるし疲れるので長時間のプレイ・視聴を要するゲームや映画では普及しないだろうということはよくわかったが、短時間で没入感のある体験ができるのは魅力と可能性がありそうだ。

私が体験してみて、未来にどんな発展があるか想像してみたのでメモとして書いておきたいと思う。

エンタメ以外のVRの使い道


・災害の注意喚起、避難訓練
例えば津波の怖さ、本当に波が来た時に周囲がどんな状況になるのかを体験するなど。他にも地震、火事、交通事故など。

・災害のシミュレーション
災害の被害を最小化するために行政側が使うもの。梨泰院のハロウィンの群集密集事故でどう人間を交通整理して、どこに警備を配置すれば良いのかなどの検証など。

・社会科見学、工場見学
移動しなくても見学できるので学生の見学に良さそう。この技術はVRじゃなくてARで行われるかもしれない。

・事件/事故現場の検証、事件の刑事的責任の立証
警察や検察が捜査資料など。裁判での提出資料としても使えることになるだろうか。そんな未来は日本では遠いかもしれない。

・映像資料、歴史資料
何があったかを記憶し、追体験するため。没入感、メッセージ性が強いためプロパガンダ、布教にも使われる可能性がある。

エンタメ系/趣味におけるVRの発展の可能性

・短いスポーツ観戦
例えばサッカーのPKをゴールキーパーの目線で体験する、体操競技の観戦など

・ライブ、アーティストの演奏
新曲の披露はリアルタイムでファンが同時接続して鑑賞することになるのでは。クラシックの演奏会も咳を我慢してコンサートホールで聞かなくても良くなる。もちろん生音の良さはあるので、実世界でのコンサートホールは今後も残り続けるだろうと思う。生音で聴くことにあまり価値のないコンテンツは将来的にはVRやメタバース世界のみでライブやコンサート、演目を行うことになるだろう。

・短い演劇、映像、ミュージカル、サーカス
憧れのアイドルなどに触れそうな距離に行けるってやばくないですか?息がかかりそうな距離、やばい。

・動物園や水族館
檻の中や水槽の中に入って動物を観察できる。動物を維持しなくてもVR映像で体験できる点が魅力。北極グマをVRで見れるようになった頃、アナログの動物館や水族館が閉園する可能性もあるかもしれない。

・プロからの技能の習得(マニュアル)
スポーツ、ドラムなどの楽器演奏、料理、裁縫、職人の技、外科医の手術など
ダンスを習ったことがある人ならわかると思うが、先頭に立って踊る講師の動きを鏡越しに真似すると左右逆になってしまう。VRなら講師の横に立ったり、前に立ったり、後ろに立ったりして一緒に踊ることができるし、ぶつからない。センサー付きのボディスーツが発売される頃にはモーションキャプチャーの精度も上がり、自分のアバターが自分の動きを完全にトレースしてくれるはずだ。

・展示会、美術館、個展
大英博物館にある貴重な彫刻や絵画も、どんなに人々が目を近づけて鑑賞してもVRなら壊れない。展示空間が広すぎて歩けない人も部屋で座って鑑賞することもできる。

・大人のお楽しみ
アダルト系コンテンツ

・危険な場所、架空の場所
断崖絶壁、宇宙空間、ジャングル、深海、北極、蜂の巣、戦場など




・・・と、素人ながらに感じました。個人的にはエンタメ以外の部分に興味があります。災害対策とか地震大国の日本では重要だし。

エンタメ系の用途で興味深いのは、ユーザーがお金を払う課金方法なのか、広告で収入を得る方法になるのかということ。

VRを体験する際のプラットフォームができるのであればそこから広告費を得ることができるだろうか。当然GoogleやMetaはその広告費をめぐって戦略を立てているのだろう。

VRについて勉強を始めたばかりなので、参考資料とか情報あればお寄せくださると助かります。

ではでは。

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