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継承される腕章

第99回全国高校サッカー選手権大会。

前橋育英、その前橋育英を撃破した桐生第一、帝京、東久留米総合、清水桜が丘、国見、尚志、大阪桐蔭、秋田商、これ以外にも名だたる強豪が軒並み予選敗退している。

新型コロナウイルスの影響により、インターハイは中止を余儀なくされ、どこへ向かえばいいのか分からず翼をもがれた多くの高校サッカープレイヤー達が散見された。そのようななかで、“選手権”が開催されることになったことは、曇り空から射し込むひとすじの光となった。

各地の予選はこの週末と来週末にかけて、多くの代表校が決定する。最後の戦いが儚く終わってしまったチームや選手は終了のホイッスルが鳴った瞬間、何を思いそしてピッチから去っていったのだろうか。

高校サッカーが素晴らしいものであったことを、ただただ、願うばかりである。

今後も心震えるFOOTBALLであることを。

引き継がれた腕章

流経大柏34期生の主将・藤井海和君(S.T.FC出身)。前主将であった八木滉史君(現・流経大1年)から腕章が引き継がれた。

このチームの主将は、千葉県はもとより、全国から集まる癖の強い(笑)猛者どもを束ねなければならず、大変であることは容易に予想ができる。

ゲキサカの企画で、かつて主将を務めた関大和君(現・流経大4年)、宮本優太君(現・流経大3年)、左部開斗君(現・桐蔭横浜大2年)、前述した八木滉史君の4人のトークにおいても、主将を務めた際の苦しみの話題は大いに盛り上がりを見せていた(笑)。

コロナ禍で時が進むなか、先頭に立ってチームを牽引していく重責は、想像を遥かに超える不安があったのではなかろうか。

君臨したヤング流経

藤井海和君がデビューしたのを遡って調べると、高円宮プレミアリーグEASTの第2節、宿命のライバル・市立船橋とのAWAY戦。さらに第3節、北の雄・青森山田戦では公式記録で90分+3分のところでIN△となっている。AWAYで貴重な勝点を得るための、戦術的な交代であったかもしれないが、立派なデビューである。

以降、13節と最終18節を除き、全ての試合のメンバーに名を連ねている。その活躍はシーズンを通して確固たるものとなり本田裕一郎監督(現・国士舘高校テクニカルアドバイザー)の信頼を得る選手として成長していった。流経大柏をはじめ、強豪校で1年生としてメンバーに名を連ねるということは、並大抵のことではできない。

最大のライバルである市立船橋を千葉県決勝で撃破し、全国高校サッカー選手権大会へ駒を進めると、関川郁万君(現・鹿島アントラーズ)というDFの大黒柱を中心に、守備の要の1人として、その名を轟かせていく活躍を積み重ねていった。

立ちはだかった北の雄

流経大柏は順調に勝ち進んだ。

迎えた準決勝。広島県代表・瀬戸内戦では、右サイドを抜群のスピードで仕掛けた西尾颯大君(現・早稲田大2年)のセンターリングをゴールに突き刺し、2年連続選手権決勝進出の立役者の1人となった。

私が観戦した試合の中でも、彼におけるターニングポイントとして捉えた試合が2戦ある。

1つは、高円宮プレミアリーグ第12節、北の雄・青森山田をHOMEに迎えた試合だ。

名将・黒田剛監督に突き放され、監督が帯同しないという状況。自分達の力でチームの巻き返しを図ろうと気持ちを全面に押し出し、走力と圧倒的技術で襲いかかってくる青森山田に対し、流経大柏はなす術なく0-4の大敗を喫した。

もう1つは、選手権決勝。序盤、攻勢が続きCKから幸先よく先制点を奪ったが、試合時間の経過とともに、徐々にペースを握られ、前半で同点に追いつかれ折り返す。ペースを握り返したい流経大柏だったが、青森山田に2点を奪われ、1-3の完敗に終わった。

この2つの敗戦は、あくまでも私的な見解ではあるが、彼の成長に繋がったターニングポイントになった大きな2つの敗戦になったのではないかと考える。

2年生となった昨年度は、インターハイ予選では日体大柏に、選手権は市立船橋に敗れ、全国への扉をこじ開けることはできなかった。

いざ 選手権へ向かって

新チームが始動し、主将に任命された藤井海和君。継承された腕章を腕に巻き、高校生活最後の大会となる選手権予選へ挑む。

高円宮プレミアリーグEASTは、今年度に限り「関東プレミアリーグ2020」として幕を開けた。CBにボランチにと、守備のマルチプレイヤーぶりを発揮している。インタビューを受ける表情には、流経大柏の主将として、最後のシーズンとしての並々ならぬ覚悟が感じられた。

明日、11月7日(土)は準決勝VS中央学院戦。身につける腕章には、歴代の主将たちが刻み込んできた流経PRIDEが、必ずや後押しをしてくれるはずだ。

26期主将・桜井将司
27期主将・石田和希
28期主将・広滝直矢
29期主将・菅原俊平
30期主将・関 大和
31期主将・宮本優太
32期主将・左部開斗
33期主将・八木滉史

そして、新たに継承された腕章に刻み込まれる

34期主将・藤井海和の流経PRIDEが。

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