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人間を含めた全ての動物にとって、最も大切なのは「骨が健康であること」
生物の細胞に組み込まれた遺伝子は、骨の健康を最優先する   

野生動物は骨折=死です。

歳を取っても元気に暮らしている人には、2つの共通点があります。

1、歯が丈夫でしっかり噛んで食事をしている
2、骨が丈夫で足腰がしっかりしていて、よく歩いていること


骨の役割①

1、体を支える骨格としての役割
2、骨に蓄えられているカルシウムなどのミネラルが、体のあらゆる部分で生命活動のカギを握っている
3、脳や内臓を守っている
4、血液を作る
     ↓
骨の中心部にある骨髄が血液の生産工場
(*現在は血液は腸で作られる説が有力です)
     ↓
造血幹細胞があって血球が作られる
     ↓
赤血球  白血球  血小板 が作られる
(元々共通の細胞から姿形を変えたもの)
白血球は、NK細胞 Bリンパ球 Tリンパ球etc
      ↓
血液やリンパ球の中を動き回り、異物や外敵が侵入していないかどうかを監視し、
それらを発見した場合は攻撃を仕掛けたり取り除いたりする
      ↓
これが免疫システムです。
      ↓
骨(骨髄)腸の健康状態は免疫力をも大きく左右します。  


骨の役割②

ミネラル(主にカルシウム)の貯蔵庫として、その出し入れをコントロールする

99%・・・骨と歯
1% ・・・血液や体液

1%のカルシウムが全身37〜60兆個の細胞の生命活動を維持する上で、重要な働きをしています。

血液中のカルシウムは常に一定の濃度に保たれており

筋肉の収縮、弛緩をコントロール
情報の伝達
出血を止めたり
血液や体液のPHの調節
ホルモンの分泌など
体内のありとあらゆる機能に関与しています
1%でありながら、量を一定に保つことは、体内では最重要事項の1つです。

このデリケートなコントロールを行う上で中心的に働くのが
副甲状腺ホルモン(パラソルモン)
甲状腺ホルモン(カルシトニン)
女性ホルモン(エストロゲン)   
        

骨は量より質

骨は大きく分けて鉄筋とセメントで成り立っています

網目状の鉄筋構造+セメント

コラーゲン・ケイ素(シリカ)・・・ 鉄筋
カルシウムやマグネシウム・・・   セメント・コンクリート
鉄筋とセメントをくっつける接着剤・・ムコ多糖類

構成比

結晶になったミネラルが3分の2
コラーゲンやムコ多糖類などのタンパク質と水分が3分の1
結晶の形を取らないミネラル、脂肪などがごく微量ずつ存在することによって骨が成り立っています。


骨量・・・骨に含まれるカルシウムなどのミネラルの量
骨密度・・骨量を基準となる面積や体積あたりで示したもの

どちらもセメントに注目しているわけですが、
建物を想像すればわかるように、
いくらセメントがぎっしり詰まっていたとしても、
鉄筋がしっかりしていなければ、建物の安定性を保つことはできません。
鉄筋の入ってないマンションやビルに住めますか?
セメント(骨密度)となる栄養だけじゃなく、
鉄筋(骨質)となる栄養も重要です。

ムコ多糖類の働き(コンドロインなど)

1、骨のコラーゲンにミネラルを接着させる骨形成促進作用
2、細胞同士をしっかりと結びつけて丈夫にする組織固定作用

保水性によって水分(体液)を媒介にして組織や細胞へ栄養分を供給し、
老廃物を運搬するという水路のような役割などが知られています。

関節中で骨と骨が向き合った部分の軟骨には血管が通っていないので、
栄養の供給は関節液を通じておこなわれます。

軟骨には細い穴がいくつもあり、そこから関節液が入り込みことによって軟骨細胞を養っています。


骨粗鬆症

日本国内には推定で1100万人を超える患者がいます。
8割が女性  
60代では3人に1人
70代では2人に1人
100万人の寝たきり高齢者・・・大きな原因は、脳卒中と骨粗鬆症による骨折と言われています。



”骨”が出す!最高の若返り物質
NHKスペシャルから引用

骨祖訴訟は、男性や20代の若者であってもかかる可能性がある病気なんです。

自転車選手として全米選手権でも準優勝したブレイク・コールドウェルさん、33歳。
日常生活での軽い転倒で大腿骨を骨折し、念のためにと受けた骨量検査で、重度の骨粗しょう症が発覚しました。
25歳で80歳代の骨量しかありませんでした。
なぜ健康な若者が骨量減少に陥ったのか?

その理由として考えられるのが、「スクレロスチン」という「骨の細胞が出す物質」の異常発生です。
コールドウェルさんの主治医、ポール・ミラー医師は「骨粗しょう症は高齢者だけの病気ではありません。
若く健康なのに骨粗しょう症を発症する患者も多く、その場合、スクレロスチンの大発生が原因となっている可能性が高いのです。」と語っています。

衝撃不足が引き起こす「スクレロスチン」の大発生

骨は常に作り替えられていて、大人では3~5年で全身の骨が入れ替わります。
新しく強い骨を維持することで、疲労骨折などを防ぐためです。
この作り替えを行っているのが、骨の中にいる細胞、
骨を壊す「破骨細胞」と
骨を作る「骨芽細胞」です。
この二種類の細胞の作り替えのバランスが崩れて起きるのが「骨粗しょう症」です。
では細胞たちはどうやってバランスをとっているのか?
実は、作り替えのペースを指示する、
いわば建設現場監督となる細胞がいます。
「骨細胞」です。

骨細胞は「メッセージ物質」といわれる特別な物質によって作り替えの指示を出します。
その内容は「骨を作ろう!」「骨を壊そう!」など。
スクレロスチンは、骨細胞が出すこのメッセージ物質の一つで「骨を作るのをやめよう!」
というちょっと変わった内容のメッセージです。
骨細胞は骨の量が増えすぎないように、スクレロスチンによって、骨を作る「骨芽細胞」の数を減らします。
ところがスクレロスチンが出過ぎてしまうと、骨量が減ってしまうのです。

なぜそんな異常事態が起きるのか。

実は骨細胞には「骨にかかる衝撃を感知する」という働きもあり、衝撃があるかないかによって、新しい骨を作るペースを決めているのです。
骨に「衝撃」がかからない生活を続けていると、
骨細胞が「スクレロスチン」をたくさん出して、骨芽細胞の数を減らし、骨の建設を休憩させてしまうことが、最新の研究でわかっています。

つまり運動をしないで一日の大半を座って生活している現代人は、スクレロスチンが大発生し、知らないうちに骨粗しょう症が進行している可能性があります。

骨からの“メッセージ物質”が記憶力・免疫力・生殖力などを若く保つ!

骨の建設が滞り、骨量減少で本当に怖いのは骨折ではありません。
「若さを生み出すメッセージ物質」が途絶えてしまうことだと研究者たちは指摘しています。

アメリカ、コロンビア大学のジェラール・カーセンティ博士は、骨の出すメッセージ物質の専門家です。
カーセンティ博士が注目しているのが「骨芽細胞」が出すメッセージ物質
「オステオカルシン」。

オステオカルシンは骨の中から血管を通じて全身に届けられ、
「記憶力」「筋力」さらには「生殖力」まで若く保つ力があることがわかっています。

例えばオステオカルシンがないマウスでは、位置を記憶する能力が衰えたり、
精子の数が半分近くまで減少してしまうことが実験で確認されています。

骨芽細胞といえば、骨を作る細胞。
その細胞が、若さを生み出す驚きのパワーを持っていることが、最新の研究で明らかになっているのです。
ドイツ、ウルム大学のハームット・ガイガー博士が注目しているのは、
骨芽細胞が出す別のメッセージ物質「オステオポンチン」です。

ガイガー博士は、年老いたマウスの骨髄内では「オステオポンチン」の数が少なくなっていることに着目し、老化現象との関わりについて研究しています。

そしてオステオポンチンが減少すると、骨髄内で生まれる免疫細胞の量が低下することをつきとめました。免疫細胞の量が減れば、免疫力が下がり、肺炎やがんといった病を引き起こすリスクがあります。

オステオポンチンは骨芽細胞だけではなく、ほかの細胞からも出され、環境が変わると逆に老化を進めてしまうという研究もあります。

ガイガー博士は「オステオポンチンは新しい研究分野。
老化による免疫力の低下のメカニズムを説明する物質として注目している。」と語っています。

骨細胞に十分な刺激をかけない生活を続けることのリスクは骨量不足だけではなく、骨芽細胞が発するメッセージ物質の減少によって全身老化を進めてしまうことなのです。

メッセージ物質「スクレロスチン」をコントロールして若さを生み出す!

運動によってスクレロスチンの値をコントロールできることがわかっています。

アメリカ、ミズーリ大学のパメラ・ヒントン博士は、骨量が少ない、
骨粗しょう症予備群の男性38人(20代~50代)に
週3回30分、ジャンプ運動と、筋トレを続けてもらい、骨に刺激を与え続けました。
すると一年後、38人中36人の骨量が上昇し、さらにスクレロスチンの値が減少していました。

骨量は25歳くらいを過ぎると、加齢のために減少していきますが、それでも意識的に運動で骨に刺激を与えると、スクレロスチンの値が下がり、骨量を上げることができるのです。

骨芽細胞が活性化すれば、若さを生み出すメッセージ物質のパワーで、体全体の機能を若く健康に保つ事も期待できます。
骨は単なる棒っきれではなく、活動的に動く体を、メッセージ物質によって応援してくれる、
そんな仕組みを備えた立派な臓器なのです。


オステオカルシン

記憶力を司るメッセージ物質です。

マウスによる実験で、オステオカルシンを注入したマウスとそうでないマウスの比較をしたときに、何もしていないマウスは目的の場所にたどり着くのに、通常の倍以上の時間がかかったという結果に終わりました。

またオステオカルシンを注射していないマウスの脳を調べたところ、海馬が衰えていたことも併せて分かっています(海馬=記憶力をつかさどる脳機能の部位)
他にも「筋力のエネルギー効率を高める」「精子の数を増やす」などの働きがあります。


オステオポンチン

「免疫力を司る」メッセージ物質です。
これもマウスを使った実験で、オステオポンチンの有無により、免疫力の高低が変わってくることが分かっています。


スクレロスチン

「体内の骨量の生成を止める」メッセージ物質です。
この物質が多いか少ないかで、人体の健康に大きな影響をもってきます。
 
以上が骨からの指令を伝達するメッセージ物質でした。

  
骨を強くして若返る方法とは? 

骨量が低下すると全身にメッセージを送るための働きが弱り、老化現象が進んでいきます。
そこで関係してくるのが「骨細胞」の働き。
「骨細胞」には「骨に加わった衝撃を感知する」働きがあり、骨を生成するペースはそこで決めらます。
ということは、骨量の低下を防ぐためには何をすべきか?

 足に衝撃を与えることです。
 
 実験では、ランニングをする人と、自転車に乗る人の骨量の減り具合を調べていましたが、
その結果は自転車に乗る人のほうが「骨量の減りが大きい」ということでした。

これは骨に伝わる衝撃の違いによるもので「骨に衝撃が加わると骨細胞が反応し骨を増やすメッセージ物質を発する」ことで生まれる反応です。

逆に自転車は体重をサドルに預けているので、骨に衝撃が伝わりにくいという欠点があります。

という理由から、
ウォーキングやジョギング、踵のトントン運動など、とにかく踵から骨に衝撃と刺激を与えてください。

車社会の地域の皆さんは特に自発的なウォーキングが大事です。

それと、家の中ではスリッパを履くことを止め素足で生活し、
踵から骨に刺激がいくようにされるといいと思います。

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