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中小企業診断士試験の受験記録と多年度生へのメッセージ



目的

 この記事の目的は8年間にわたる受験記録の整理と私と同じタイプの多年度生を勇気づけることです。

自己紹介

 東京都在住の48歳会社員です。大学は理系で同じ会社で営業、物流、調達、システム(現在)を経験しています。4人家族で大学生と高校生がいて学費と住宅ローンで苦しんでいる一般的な会社員です。

受験動機

 中小企業診断士の受験動機は以下の通りですが複数の動機が混在してそれぞれが強まったり弱まったりしていているので特定の強い動機はなく、なんとなくやってみようというのが本当ところです。したがってたくさんあります。

①独立願望をかなえるため
 私はもともとサラリーマンではなく独立したいという願望が漠然とあり、過去に独立できるといわれている行政書士や司法書士に挑戦しましたが受験を1回もしないで試験範囲の10000分の1も終わらず挫折した経験があります。(司法書士試験は早稲田セミナー(現TAC)の1年コースを受講し、大量のカセットテープが送られてきて何十万円も無駄にしています。)

②会社が合わず脱出したい願望をかなえるため
 現在の会社に23年ぐらい勤めていますが強烈な体育会系の会社で肌に合わず、週に3回はやめたいと思っています。(月曜日に社歌を歌い、月2回お稲荷さんへ参拝し、朝礼の「気を付け」で指先が丸まっていたり、毎日のラジオ体操で元気がないと怒られます。※注意ではなく怒られます。)

③知的好奇心を満たすため
 理系の学問はなんとなくイメージがついていましたが、文系の経済学や経営学とは何をしている学問なのかイメージがつかず、一度勉強してみたいと思っていました。

④頭がいいと思われたい
 誰にも言っていませんが潜在的にそのような欲求がありました。

⑤会社の昇格試験で落とされて見返すため
 会社の昇格試験で落とされ、しかも落とされた理由がよくわからず怒りエネルギーを獲得しました。

⑥友達の店のコンサルをするため
 地元の友達が洋服店を営んでいて瀕死の状態なので助けたいと思ったからです。(実務従事予定です)

⑦土日が暇だったから
 子供も大きくなり、土日の時間をフルに使える日が多くなっていました。

⑧協力工場への影響力を強めるため
 調達部門にいたとき協力工場にこちらから納期遅延の対策などを提案するが受け入れてもらえないので資格を取って説得力を強めようを考えていました。(途中から異動になり、協力工場と接点がなくなったのでこの動機はなくなりました。)

⑨何も成長せずに時間だけが過ぎていくことが怖かったから
 毎日仕事してビール飲んで時間を無駄に消費してもったいないと思っていた。

受験結果

 下記は8年間の受験結果です。黄色は勉強して60点以上、赤は勉強して60点未満、青は勉強しないで60点未満です。勉強しないで60点以上はありませんでした。

受験結果(点数)

時系列

2015年(平成27年)


 2012年に会社から皆勤賞と努力賞で合わせて10万円もらい、そのお金
で2012年にユーキャンの中小企業診断士講座(今はない)を購入していました。(当時会社の出勤日に1年間フル出場すると5万円もらえました。また物流システムを作ったことが評価されて努力賞という名目で5万円もらいました。)3年間ユーキャンの講座を放置し、何も手を付けずとりあえず中小企業診断士の1次試験を受けてみようと思い、早稲田大学で受けました。そのときの点数の記録はありませんが全て60点未満だったことは間違いありません。
 このときは問題文を読むだけで苦労して2日間の試験が終わった後はとても疲れました。今までで一番文字を読んだと感じました。また、早稲田大学の広さに驚き、大隈重信像の写真を撮り、絶対合格しないのに何かやり遂げたという充実感がありました。さらに受験会場の人の多さに驚き、社会人になっても勉強している人がたくさんいることに刺激を受けました。(会社にはこのような人はほとんどいませんでした。)
 自己採点をしてみると企業経営理論が50点台でした。あと10点で科目合格。。。いけるのでは!?と思い、本格的に勉強してみることにしました。

2016年(平成28年)


 まずはどの順番で勉強するか考えましたが名案が浮かばず、特に根拠もなく試験の順番通りに勉強することにしました。

 経済学はユーキャンのテキストを半分ぐらい読みましたがまったく頭に入りませんでした。原因は解説が粗いからだと思い、図書館で詳細に解説している経済学の本を物色して下の2つをテスト範囲の部分だけ読みました。非常に難しい本を選んでしまい読み終えるのに6か月ぐらいかかってしまいました。その後、スピ問と過去問マスターをやりました。
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 財務会計はユーキャンではなくスピテキを読みましたが全く頭に入らず、詳細に解説している本を本屋で物色し、下の3冊をすべて読みました。その後スピ問をやりました。
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この2科目を勉強して時間切れになり、他の科目は勉強せず試験を受けました。結果は受験結果の通り、この2科目は合格しました。経済学のときは緊張のあまり、手が震えたのを覚えています。やはり勉強して試験を受けると投下した時間の重みがプレッシャーとなり緊張するものです。

 このやり方は恐ろしく遠回りなのでおすすめはしませんが、楽しかったです。知的好奇心を満たしてくれて苦になりませんでした。

 私がこのレベルの試験で科目合格できるということに驚き、とても自信が付きました。当時小学生だったした娘に丸付けをしてもらい「合格だ!!」と盛り上がったのを覚えています。

2017年(平成29年)

 効率は悪いもののスピテキでテスト範囲を確認して詳細に解説してある本を読んで過去問マスターをやると合格できるということが分かったので企業経営理論も同様に行いました。

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 運営管理も同様にスピテキと詳細に解説してある本、過去問マスターをやりました。

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 経営情報システムも同様にスピテキと詳細に書いてある本、過去問マスターをやりました。(順番からいうと経営法務をやるべきですが間違えて情報システムをやりました)

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 ここまでで時間切れとなってしまい経営法務と中小企業経営・中小企業経営政策は勉強せずに試験を受けました。結果は受験結果の通り、勉強した3科目が科目合格となりました。

 運営管理で読んだ生産マネジメント入門はおすすめです。一貫して設計情報の転写という概念で説明しており、とても分かりやすいです。

 また試験後に椎間板ヘルニアの手術で入院しました。とにかく椅子に座るのが苦しく立って勉強していました。試験も満身創痍で腰痛ベルトとロキソニンテープを7枚貼って挑みました。

2018年(平成30年)

 経営法務はスピテキとスピ問、詳細に書いてある本、過去問マスターをやりました。

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 中小企業経営・中小企業政策はスピテキとスピ問、過去問マスターをやりました。この科目だけ詳細に解説してある本は読んでません。

 結果ギリギリ合格することができました。この最後の2科目は暗記物でとてもつまらなくやる気が起きずに苦労しました。運よく合格できてほっとしたのを覚えています。

 2次試験の勉強は全くやっていなかったのでやらなければならないのですが燃え尽き症候群でしょうかやる気が起きず、何も勉強しないで試験を受けました。結果は受験結果の通りですが何もしなくても点数が入ることに驚きました。そして1年間勉強すれば来年合格できると確信し、本気で2次試験に取り組むことにしました。私は漢字が苦手なので回答の際、よくわからず与件文を映していました。今思うとそれが結果的に与件に沿った回答になっていて点数が入ったのかもしれません。

2019年(令和元年)

 昨年の2次試験の結果より、事例Ⅳの攻略が必須であることは明らかでした。どうすれば事例Ⅳを攻略できるか調べたところある人のブログに「意思決定会計講義ノート」をやれば攻略できるとあったのでそれをやろうと決めました。また、自分の文章に自信がなく添削をしてもらいたかったので事例ⅠからⅢはTBCにお世話になることに決めました。
 意思決定会計講義ノートは難しく大変でしたが繰り返し繰り返し全て解きました。明らかにテスト範囲でなさそうなLecture6在庫管理もやりました。数学の問題は一度解くと2回目以降はほぼ間違いませんがこの会計の問題はなぜか必ず間違えます。これに悩まされました。間違えた問題は何回も解いて定着させました。理解できない場合はYahooの知恵袋などで解決して前に進めました。
 事例ⅠからⅢはTBCとふぞろいで過去問を中心に行いました。全く80分で解けず、2時間かけて解いてもポイントを大きく外した解答となってしまいどうしてよいかわからず途方にくれました。TBCの添削で60点になったことはありませんでした。このときは過去問を解いて分析に時間を大量に使っていました。しかし、最後まで間違いない思考プロセスを見つけることができませんでした。私はこの試験にも物理の力学の問題でいうF=maのようなものがあり、それを軸にして論理展開していけば外さない解答ができると考えていました。しかし、それは最後まで見つかりませんでした。
 結果は不合格でした。手ごたえは大変悪く、合格しているとは思っていませんでしたが合格発表の時はかなり緊張して心臓の鼓動が早くなりました。番号がなかったときは大変落ち込み、受験をやめようと思いました。しかし、点数開示が届いて点数を見てみると事例Ⅱ以外は60点で6点足らないだけでした。予想よりも点数がよく、来年合格する可能性を感じ、もう一度トライすることにしました。

2020年(令和2年)

 この年は1次試験からなので大変でした。とりあえずやったことを思い出す作業をすれば合格できると考えていたので全ての科目の過去問マスターを行い、忘れているのを思い出しました。思い出す作業は楽しくなく、1科目1か月ぐらいのペースで行いました。非常に苦痛でしたがやり切りました。結果は受験結果の通りで合格することができました。このときはコロナで幕張メッセまで行って受験しました。近くのホテルを取って前泊しました。ソーシャルディスタンスのため長テーブル1台を1人で使うというぜいたくなスペースをもらって快適に試験を受けました。
 2次試験は意思決定会計講義ノートとふぞろいをやりました。事例Ⅰ~Ⅲは相変わらず何をしていいかわからずただひたすら過去問を解いていました。ここでも間違えた原因を追究していくなかでF=maのようなものを探しましたが見つかりませんでした。今回はマーカーなどを使い試験中の手順を決めて解答プロセスを確立しました。
 結果は不合格でした。この年の事例Ⅱでアンゾフの成長戦略の問題がでましたがなぜかPPMと勘違いして解答しました。その勘違いに気づいたときは目の前が真っ白になりました。4点足らずに落ちました。アンゾフができていれば合格できていたため合格レベルにいるのではと思っていました。

2021年(令和3年)

 今までの本試験の分析より事例Ⅱの強化が必要なことは明らかでした。事例Ⅱが苦手な理由は文章も長く、情報が多いためそれを処理できていないからということがわかりました。したがって国語力の強化が必要だという結論になりました。たまたまTwitterで大学受験の塾講師が中小企業診断士試験を教えていることがわかり、国語力が伸びるかもしれないと思いでその人に飛びつきました。結果は大成功でした。文章の読み方から設問解釈の仕方まで具体的に教わることができ大変有効でした。
 しかし、結果は不合格でした。事例Ⅱは59点だったのでよくなったのですが事例Ⅲの第2問で解答欄を間違えるというミスをしてしまいました。さすがに今回でやめようと思いましたが同期の友人や妻から「あきらめたらそこで終わり」というスラムダンクの言葉をもらい再度やることに決めました。

2022年(令和4年)

 1次試験からなので2020年同様過去問マスターで忘れていることを思い出す作業をしました。しかし、このときは会社のパワハラに悩まされうつ病のような症状になってしまい勉強はほとんどできませんでした。思考能力も格段に落ちていることを実感していたため本番も受験するか悩みましたが何とか受験しました。結果は4つ科目合格で3つ不合格でした。
 この年は勉強どころか本も読めず、どん底でした。

2023年(令和5年)

 この年は不合格の3科目の過去問マスターを行い、受験しました。中小企業経営政策はスピ問もやりました。
 結果運よくギリギリで合格しました。
 さあ2次試験対策です。2次試験に合格するために何をすべきか考えました。まずは今の実力を計るため2022年の過去問を解いてみました。初見の本試験の問題で真剣に解いてみました。結果は事例Ⅰ=53点、事例Ⅱ=55点、事例Ⅲ=34点、事例Ⅳ=55点でした。青くなりました。今まで合格レベルにいると思っていましたが2年間全く過去問も解かず何もしていなかったのでそれまで身に着けていた能力は消え落ち、完全に能力不足であることがわかりました。慌てて過去問をやり始めましたが見つからないと分かっているけどなぜかF=maのようなものを探していました。これではダメだと思い、いろいろ模索しました。そこで2つのことに気づきました。1つは前の日にビールを飲むと翌日の過去問の点数が悪いということです。昨年、うつ病のような症状のとき寝れないという理由でビールをやめていた時期があり、このときは飲んだり飲まなかったりしていました。以前は毎日飲んでいたため気づかなかったのですが飲むと翌日の過去問の点数が悪いのです。2つは強みを生かした助言がブレているということです。過去問では大体第1問で強みを答えて、第5問で強みを生かした提案をするのがパターンで書いていましたが意味が分かっていないため強みを意識した解答になっていませんでした。強みとは希少性があり模倣困難で経済的価値を生むものなのでその強みを生かした助言とは模倣困難であるがゆえに持続的競争優位性を確立することになるということを改めて理解し、腹落ちしました。それからは強みだけを意識しながら与件文を読むようにして強みだけは外さないように意識しました。これが私が探し求めていたF=maのようなものだったようです。
 このときの過去問演習の記録です。メンタルがやられていることもあり、なんと8月と9月を無駄にして9月30日から勉強をスタートしました。とりあえず80点以上になるまでやるという方針で行いました。結果24事例ぐらいやり、意思決定会計講義ノートも出そうなところだけやりました。

2023年(令和5年)の過去問演習

 本番はなぜか手が動かず字が思うように書けず、老化現象なのかと恐ろしくなりました。全く手ごたえなしで漢字の間違いや単位の書き忘れが発覚し、絶対落ちたと思いました。そのため合格発表まで全く気になっていませんでした。
 1月11日の合格発表のときはとりあえず受験票を会社にもっていき、昼休みにトイレで見ました。落ちていることは確実なので見るときも全く緊張しませんでした。しかし、番号はありました。心の中で「え!?あるじゃん。なんだこりゃ。」とつぶやき間違いではないかと何回も見直しました。じわじわ喜びが沸き上がってきていろんな人にLINEしました。
 結果的に2年間勉強のブランクがあって1か月だけ勉強して合格したことになります。このときに変えたことはビールを飲まない、強みだけを意識して事例を読む、マーカーは使わない、ぐらいです。

まとめ

中小企業診断士にどうすれば合格できるのか

 私の経験から導きだされた答えは以下の通りです。
①1次試験は過去問マスターで全問正解できるようにして試験を受ければ合格する。合格率が20~30%なのはそれをやっていない人が70%~80%いるということ。やった人の合格率はほぼ100%だと思っています。
②2次試験は以下の2つをクリアして3回ぐらい受験すれば合格する。以下の2つをクリアすると本試験で235点ぐらいは取れると思います。そうなればあなたは合格レベルに達しているので試験の3か月前ぐらいから準備して数回受ければ合格します。
(1)事例Ⅰ~Ⅲは過去5年分をふぞろいで採点して80点以上取れるようにする。
(2)事例Ⅳは意思決定会計講義ノートを理解して問題が解けるようにする。
 しかし、この(1)が大変難しく簡単ではありません。読解力や文章力、論理的思考能力など複数の能力が必要で私のように国語力を補充しないといけないレベルであれば時間がかかると思います。合格に必要な文章のパターンやフレーズの暗記は80点以上取れるようにする過程で自動的に身につきます。必要があれば現代文を勉強して何とか80点が取れるまで過去問をやるしかありません。
 F=maのようなものは最後まで見つかりませんでしたが近いものとして「強みを生かして助言する」があります。事例文の強みだけを意識して読んで強みを生かして解答を書きます。例えば解答を考える中で「A社の強みはXだからXを生かして○○とする」、「A社の強みはXだからXを生かせるY社と連携して○○をする」というように考えます。本来は弱みや機会、脅威も意識する必要はありますが私のように情報処理能力が低い人は強みだけを意識するやりかたがおすすめです。強み1本に絞ることで80分以内に根拠のある解答が書けるようになります。

多年度の受験生へメッセージ

 私は40歳から勉強を始めて48歳で合格しました。その間、子供の受験や大切なイベントなどにはしっかり立ち合い感動も共有してきました。また、会社の飲み会や家族旅行、正月やお盆の帰省なども今まで通り行いました。仕事はまじめに取り組み、収入も得て税金も払い、社会的にもやるべきことは果しています。何も問題ありません。余暇で勉強しているだけです。このような状態で合格まで長くかかることは悪いことではありません。勉強していない休日は遅く起きて買い物行って野球見てビール飲んで寝るだけです。根詰めて勉強したのは2年ぐらいであとは試験の3か月前に思い出す作業をするだけです。私は途中2次試験が不合格になるとこれでだめなら一生受からないという心境になり、人生の時間を無駄に使っていると思い込み、その罪悪感で何回も受験をやめようと思いました。どうかなぞの罪悪感などに負けずに試験を受け続けてください。上の②の(1)と(2)をクリアできていればあなたは合格レベルです。諦めないで受験していれば合格します。





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