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あるカーデザイナーのクルマ選び010

探し始めて程なくして、少し外観をGTI仕様に手を加えたGLiを見つけ、試乗さててもらうことになりました。

さすがに、ドライビングポジションは今まで乗ってた、やや低めのFR車と違って、2BOX、FFのコンパクトカーのパッケージングの車だけあって、かなりアップライトな運転姿勢。心配したほどペダル類の内側オフセットはないものの、なんか内股で歩く感じ。

しかし、走り出して見ると、何のストレスもなく、スーと吹け上がっていくエンジンにびっくり。レッドゾーンを気にしていないとあっという間にオーバーレブさせてしまいそうな軽快な加速感。FFなので加速時には前に体重移動したくなるほど。「これは楽しい!」

そして、大衆車とは思えないシートのしっかり感。これがドイツ車なのか、と自分の経験の無さを感じ、「車って乗らないとわからないよな」と再認識した瞬間でした。

そして、迷わず、その車は私の2nd my carになりました。

しかし、その車との付き合いはそう長く続きませんでした。

先にも書いたように、そのゴルフのエンジンはすこぶる良く回りました、そして回り過ぎたのでした。

運転中はタコメーターを気にして運転していたのですが、ある日、自分で点検整備をしていた時にエンジンルームに顔を突っ込みエンジンを回している時に、回し過ぎたみたいで、次の瞬間にカラカラという音をがしだしてしまいました。

量産車のエンジンなのでそんな1回や2回ちょっとオーバーレブしたくらいで壊れるくらいの耐久性ではないと思うので、おそらく、オーナーが変わって乗り方が変わって出てくる症状が出たのだと思いましたが、何せエンジン本体の異常なのでチェックするにはちゃんと入院させる必要がありました。
自分でやるという選択肢もありますが、それには場所と工具を揃えなくてはなりません。

どちらにしても、お金がかかってしまう。

ドイツ車だから信頼性や耐久性もあり、イタリア車と違ってお金はかからないと思っていましたが、やはり修理に出すとなるとそれなりにかかる。しかも、自分のミス。日常的に走る分には大丈夫そうではありますが、そうやって騙し騙しでどこかでドカーンと大きな故障になり大出費も考えられる。

そして、何より、私は結婚直前で車にかけるお金はなかったのでした。

という事で、ゴルフをじっくり仕立てて行く計画を断念し。このままの状態で、大人しく乗り、早めに手放すことにしたのでした。

みなさん、良くご存知のように、この初代ゴルフはあのカーデザイナーの巨匠、ジョルジョット・ジウジアロー氏の名作であります。

手洗いで洗車する度にあの四角い箱に見えるゴルフにはとても魅力的な丸い面があちこちに存在していることを知りました。

特に驚くのはCピラー上部の絞り込み。2BOX車の空力性能を高めるためとリアウインドウへの泥の巻き込み対策を考慮したサイドからの風の流れをマネージする面。箱とは思えない面がそこには存在しているのです。所々のそういう面づくりがあの箱車を見飽きない、完成度の高い箱に仕立てているのだとゴルフからは学べました。

その後、イタリア駐在時代にご縁があり何度かお話する機会があった巨匠は、本当に気取らない優しいシニョールでした。

2nd my carは初めてのドイツの大衆のベンチマークのレベルの高さと巨匠ジウジアローデザインを秀逸さを学ばせてもらえた、短い間の外車経験でした

つづく

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