最後の言葉
(2016.1.26)
あなたは言葉の力を信じていますか
こんなキャッチコピー、ありましたよね、昔。
2年前の七夕の日、
夜ごはんを普通に食べていた当時5歳の長女は
根菜の煮物のにんじんを口に入れたまま突然反応がなくなり
「ニンジンをお口から出しなさい!」
とわたしが言ったらなんとか口からニンジンを出して、
そのまま崩れ落ちました。
すぐに救急搬送され、ICUに入院することとなり、
ICUで40度の高熱を出したので
そのときはまだ、ただのてんかんの発作?熱性けいれん?
どちらかだと信じて疑わなかったのに
3日経っても目が覚めず
でもバイタルは安定したので一般病棟に1回移り
一生忘れることのない、7月10日の14時ころ。
ずっと反応のなかった娘が、
目の覚めることのないまま
寝言のように
「ママ」
と言いました。
それが、長女の最後の言葉です。
その後、一向に目の覚めず、誤嚥性肺炎を起こした娘はICUに戻され、
脳波を検査したところ
とても穏やかな、深い眠りの脳波……であることがわかり
すなわち、
脳が腫れ、脳がほとんど活動していないことがわかりました。
二相性脳症でした。
注意:二相性脳症とは
遅発性拡散能低下を呈する急性脳症(けいれん重積型急性脳症、二相性脳症)
Acute encephalopathy with biphasic seizures and late reduced diffusion (AESD)のこと。
① 発熱24時間以内にけいれん(多くはけいれん重積)で発症。
② 意識障害はいったん改善傾向。
③ 4-6病日にけいれん(多くは部分発作の群発)の再発、意識障害の増悪。
④ 原因病原体としてインフルエンザウイルス、HHV-6,7 の頻度が高い(長女は原因病原体が発見出来ませんでした)。
⑤ 軽度精神発達遅滞(発語の低下、自発性の低下)から重度の精神運動障害まで予後は様々。
そして、
「誤嚥性肺炎で肺の状態も悪いので、最悪の事態もありえます。
肺炎が落ち着けば、命は大丈夫です」
とドクターに言われ、
「脳症の影響はどうなるんですか」
と問い詰めたわたしに
「まだ誰もわかりません。
歩けるようになる子もいます。自分でご飯が食べれるようになる子もいます」
そして、
2年半が経ちました。
あの「ママ」を最後に、
あれ以来
まだ彼女は有意な言葉を取り戻していません。
あの「ママ」を思い出すと、
わたしは
どんな場所でも
どんな楽しいときでも
泣いてしまいます。
まだまだだね。笑
歩けなくなるかも
自分でご飯を食べられなくなるかも
そんなことを言われた娘はいま
しっかり自分の足で歩き
しっかり自分でご飯を食べます
毎日学校も元気に通っています
新生児レベルに退行した知的発達も
またひとつずつ、
彼女なりのスピードで発達の階段を上がっています
喃語が出て
口から発する音の種類が増え、
もうすぐ、言葉が出るはずですよと
リハビリの先生にも言われています
ママはね。
もう一度、あなたにママって呼ばれたい。
でも
あの「ママ」があるから
ママは、強く生きていける。
たぶんこの先一生、
ママをずっと支え続けてくれると思う。
あの「ママ」を、
ママが聞けて良かったと思う、
心から。
わたしは、言葉の力を信じています。
だから、
もっともっと
言葉を活かせるようになりたいし
もっともっと
言葉を研ぎ澄ましていきたい。
そしてもっと伝えられるようになりたい。
ずーーーーっとそう思っています。
在宅でフリーランス事務をしています。ママでももっと自分らしく仕事ができる働き方を広めたいと思い、活動準備中です。よろしければサポートお願いします✩︎⡱