デッサンによる光の効果
光源を絞る
デッサンをするときに、必ず考えて置かなければいけない事があります。それは、「光源」です。光のやってくる方向のことですね。
あなたのいる部屋や、教室にはいろんなところに電気がついていませんか?
この中の一番形が立体的に描きやすい光を見つけ、それに絞ってデッサンをしていきましょう。
光源を一つに絞ることで、立体物を描きやすくなるという話を前回したと思います。
それでは、いろいろな方向から光を当てることで出来る効果やメリット、デメリットを見ていきましょう。
光の効果、メリット、デメリット
正面の光(順光)
・静物デッサンにおいては、なかなか立体物を掴みづらい光です。イメージデッサンや、絵画表現においては、明るいイメージや、あえて平面的に見せたい時などには有効になるかもしれません。
メリット:画面を明るく演出出来る。
デメリット:立体感を掴みづらい。
真後ろから(逆光)
・これも立体感を掴みづらいですね。先ほどと同様に、表現としてはドラマティックな演出ができそうです。しかし、描くのは難しいのでそれなりの技術が必要です。
メリット:ドラマティックな演出ができる。
デメリット:立体感を出しづらく、描くのが難しい。
真上から(トップ)
・形の見え方が極端になってしまいますね。形にメリハリが出ずらくなり、横の回り込みの立体感が描きづらいです。
メリット:天使が降りてくるような神々しい印象。宗教画などに向いているかも。
デメリット:形が、上が明るく下が暗いというふうに極端に見える。側面の立体感も乏しくなる。
右斜め前から(斜光線)
・流れで見ていくと、やはり一番形がはっきりと見えてくるのではないでしょうか。顔(正面)の向く方から光が来れば、顔の表情も明るく見えて、本体の前後感もしっかり見えます。
メリット:形がはっきり見えて描きやすい。
デメリット:暗部に溜まる黒い影を濃く描きすぎる。回り込みの光も意識する。
斜め前からの光だと、上に書いたように回り込みの光を絵かがずに輪郭に強く黒が溜まるような描き方をする方がいるので、初心者の人は「斜め後ろから」の光で描くことを練習するのもおすすめです。
光の方向と一口にいっても、意識的に変えるだけで印象や描き方の難易度がガラッと変わることがわかります。自分が今どれくらいの技術があり、何を課題としているのかしっかり見極めて挑みましょう。
金沢美術学院
永井ちなみ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?