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くぬぎマン

今日は妹の入学式だった。妹が二人いて、下の妹とはかなり年の差がある。
ひと月前に卒業式にも出席し、私もこの前この学校
を卒業したばかりなのにあっという間に妹の番。
妹は私たちのおさがりの制服とカバンを身に纏って、式には家族総出で出席した。
担任の先生はとても若く、私とあまり年が変わらないのにしっかりしていて(イケメンで)感心してしまった。
はじめてのHRが終わると三姉妹で学校を探検もした。懐かしいにおいから蘇る思い出たち。
当時から知っている先生はほとんどおらず、他の学校に赴任した後また戻ってきた先生や、真ん中の妹がお世話になった先生が教頭先生として戻ってきたりしていた。

その後、古民家の本格的なカレー屋さんに行った。
車通りからは少し外れ、それは自然が多い場所に突如と姿を現した。車から降りるとその風景には見合わずカレーの匂いがしていて、近所の夕飯のにおいや、お風呂のにおいのような懐かしい感覚になった。

とても雰囲気が良く、平日のお昼すぎなのにも関わらず人も結構入っていた。ナンが美味しくておかわりもした。

お店に入ってすぐのところに、手作りの小物などが販売されていて、焼き物のなんとも言えないオブジェに惹かれてしまった。
カレーを食べている間にも、気配を感じてずっと呼ばれている気もしたのでお迎えしてしまった。
くぬぎ工房というところで作られているらしく、くぬぎマンと名前をつけた。


私がお迎えしなければ、誰が何のために買うのかわからないなとも思うし、現に値引きされていたのだ。
必要か必要でないかと言われたら、必要では無いだろうし、最後まで買うかどうか悩んでしまったのは事実だが、もう呼ばれてしまっては連れて帰る他なかった。
妹からは取り憑かれてるみたいと言われたが、本当にその通りで私は惹き込まれてしまったのだ。

お店にいる間は、ひとりだけ白く浮いていてそれがどこか不安げで不気味な感じもしていたのだが、部屋のモネの池の前で躍らされすっかり溶け込んでいる姿を見るとちょっぴり嬉しそうにしているように見えてくる。

丁寧に包んでもらった袋はほんのり甘いカレーの香りがした。