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落葉の軌跡

八段になった。このアカウントでは3回目。
無事に上がれて安心はしたのだが、実のところあまり嬉しくは無い。
今更八段ってなぁ、というのも有るには有るんだけど、主な原因は別にある。
過去のアカウントも含め、私がチャオったりチャオりそうになるのは、いつも決まって八段になった後だからだ。

八段になった直後からいきなり堰を切ったかの如く負けまくり、あっという間に降段するだけでは無く、一気にチャオ寸まで落下するのがお決まりのコース。
のどっちによると、私の最高到達点は八段2720ptらしい。
正直、「えっ!?そんなに勝ったことあったっけ??」という感想だ。
意外に九段見えてたのか・・・
と、こうなってしまうくらい八段で勝った記憶が無い。

だから、私にとって八段=チャオの入口 なのだ。
七段2500ptくらいが一番チャオから遠いし、実際天鳳が一番楽しいのはそれくらいの時だ。

どうしてこうなってしまうのか?
実は原因に心当たりはある。
そして、私と同じような経緯でptを溶かしまくっている打ち手も、チラホラと見受ける。

5回も6回も同じことを繰り返すわけにはいかない。
そこで今回は、自分が落下していった原因を客観的に分析することで戒めとし、勝つにしろ負けるにしろ今までとは違った方向へ踏み出すことを目的として文章を立ち上げる。

たぶん、私と同じような状態に陥った方も沢山いらっしゃると思う。
何かの一助になれば幸甚です。

■ 原因の分類

私が考える八段スリップ(仮)の原因は、以下の3つだ。

・麻雀が下手
・直前の状況
・ptが減る

ひとつずつ見て行こう。

■ 麻雀が下手

いや、うるせーよ。
そんなことは分かってるから、何とかしようと日々考えてるんだよ
技術が足りないのは間違いが無いのだけれど、いつも「それにしたって...」という負け方をするからこそ、この文章があるんだよ。

具体的には、短期で安定2~5みたいな負け方をする。
この時どうなっているかと言うと、4423344414143322444441とかそんな感じで内臓を根こそぎ嘔吐するくらいに負ける。
時々トップが入っているのもポイントだ。
連ラス中の大トップは典型的なチャオる人の挙動。

閑話休題。
次からが本番だ。

■ 直前の状況

天鳳で昇段する時は、まず例外無く確変を引いている。
長期で安定段nの人が100ゲーム安定n+4みたいな確変を引いて昇段するのが大体のパターンだ。
今回私は82ゲーム安定14の確変を引いた。
メモに残っている直近56ゲームだともっと凄い数字になるはずだ。なんせその区間ラスを5回しか引いていない。
また、回線チェックのために時々打つ鳳東も全然負け無くて、16ゲーム安定34の数字が出ている。
おそらく私の実力は安定7前後だろうから、超短期とは言え、とんでもない上ブレを引いている。

安定段、という数字にするとあまりピンと来ないかもしれないが、この期間はとにかくptが増える。もうめちゃくちゃ増える。
天鳳はラスにおけるpt減少の度合いが大きいルールだが、逆に考えるとptが減るのはラスを引いた時だけ。ラスさえ引かなければptはモリモリ増える。
九段原点から20連勝すると十段になってしまうルールなのだ。
短期の上ブレであっという間に昇段してしまう。

これらは順位を数字として扱った、いわば俯瞰的な情報だ。
大事なのは主観的な情報。つまり、この時打ち手に何が起こっているかだ。

そもそも確変というのは、抽選に当選し続ける事で発生する。

リーチの成否
ラス争いの牌が先にいるか
裏ドラ
気合オリの牌が通るか

麻雀は不確定な抽選の連続で、それらが結果に及ぼす影響は顕著だ。
特にリーチは変動幅が非常に大きく、一回のリーチがツモれるか・打ち込みに回るかで、pt収支が上下200以上変動する。クソゲーとしか思えない。

確変時は、ガラガラポンに勝ちまくる。
曲げたら絶対和了できるし、他家は何故か勝手に死んでいく。
変動幅が大きい判断も全然怖く無い。だって勝っちゃうから。
もうテンパったらリーチですよ。だって勿体ないでしょ?w

天鳳は大きな下ブレを引きにくい選択が正解となるケースが多い。
トップ目のラス前はダマで流すし、リーチして高目をツモればトップだけどラス目が怖いからオリるし、流局でラス回避できるのなら喜んでテンパイを崩す。

でも、確変時は違う。
「だって勝っちゃうから、それが正解でしょ?」
といった具合だ。

この傾向は昇段前になるとさらに加速する。

トップで次昇段戦だ!このリーチさえツモれれば...
ラス目のリーチに厳しいけど、連帯で昇段だから勝負!

死出の羽衣である。
実際、某高校生なんかは昇段周辺で怪しい選択を結構やっており、その結果ラスって転げまわっていた。

私はそれ以上に何度も何度もやった。
だから、今回は絶対やるまいと心づもりをしていた。



カン8m
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まったく成長してねぇ

共にツイッターに貼った判断だが、頂いたリプライを要約すると「ねーよ」だった。
やばいのは、これを貼った時点での私は「どうだったのかなぁ...」と本気で良し悪しが判断できていなかったことだ。
今見ると、明らかに無い。最近の方針とも真逆のことをやっている。

「今更八段ってなぁ...」という気持ちは本当なのだが、いざ目の前にぶら下っていると恥も外聞も無く喰い付く。
本能が理性を覆い尽くす。

「打ち手はバイアスに支配されている」と、何度もツイッターに書いた。
バイアスの厄介さは、一度定着してしまうと、ある程度の期間効力が持続するところだ。
つまり、首尾よく昇段できたとしても、大体の場合は同じ事を繰り返してしまう。

それまで、たまたま薄いところを引いて勝てていたのだが、そんなのを許し続けてくれるほど天鳳の打ち手達は甘く無い。
通常の手順で淡々と通常の当選確率を突き付けられ、通常通り負ける。

でも、打ち手はそれに納得できない。だって、それまでは勝っていたから。
勝っていた自分のやり方は正しいはずなのに、何故こんなに勝てないんだろう?
そうだ!つまり

「昇段した途端につのだがモードチェンジしてタコ負けさせられてるんだけど!!」

ちがう。つのだはみんなの中にいる。
負ける選択をしているのは自分自身であり、悪い選択をしても時に勝ててしまうのが麻雀なのだ。

皆さんは昇段前確変時の牌譜をきちんと見直して反省したことがあるだろうか?
私は全然無い。今回が初めてだ。
振り返ってみて酷過ぎたので、これを書こうと思った。

ツイッターに貼られている天鳳画像を見ても、大体は結果が良く無かったものばかりだ。

打ち込んでラスになってしまった
リーチしたけど和了できなかった

結果が振るわない時、人は不安に駆られ、立ち止まって振り返り、時に助言を求める。

だが、順調だとそうはならない。
なんか一発でツモっちゃったリーチとか、染めに打った尖張牌が通ったりだとかした時に、反省するのは難しい。

確変の時にこそ反省材料はある。
激しく上ブレる選択は下ブレもまた大きく、天鳳は下ブレ側が奈落のように深い。
それは突然牙を剥いたわけでは無く、ずっとそこにあった。
幸運にも見ずに済んでいただけなのだ。

打ち手のメンタルはその落差に付いていけない。
理不尽だ...なんで俺ばかり...
そうぼやいていると、気付けば特上の入口で比嘉さんが手招きしている。


「確変バイアスによる打ち筋とメンタルの乱れ」
これが確変昇段による弊害だ。

「いや、俺は極端な確変じゃなく淡々と昇段したし、今まで通り打つだけっすよ」

そんなクールな打ち手にも、第二の罠が襲いかかる。

■ ptが減る

天鳳は段位が上がる毎にラスのマイナスptが増える。

...いや、ちょっと!帰らないで!!
口幅ったいのは百も承知で書いてるんです!もう少しお付き合い下さい!!

全順位を均等に取った際にptがマイナスになるのは、特上六段・鳳凰八段からだ。
よく「天鳳の本番は六段からだ」と言われる要因がこれで、よりシビアにラス回避をしないと、あっという間にptが溶けていく。

特南で100ゲーム27-25-24-24だったとしよう。
四段は+615pt
五段は+255pt
六段だとなんと、-105pt。マイナスに転落する。
四段が昇段直前まで登れる分布でptが減るのだ。
これを見て

「そうか。たった15ptといってもゲーム数を重ねるとボディブローのように効いて来るんだな。何考えてこんなゲームにしたんだろ」

と思うのは至極正しいし、本当になんだよこのゲーム。
ただしそれは、一側面しか捉えていない見解でもある。
本当に恐ろしいのは日々のプレイへの影響なのだ。

突然だが、私は学生の頃スロットを打ちまくっていた時期があった。
本格的に打ち始める前に3ヶ月ほど準備期間を設け、様々な店や台のデータを調べ、どの程度のバンクロールがあればパンクしないかを見極め、金を用意した。

そういった一般的な準備と並行して、私は人も見ていた。
友人を中心に、どういう人が勝っていて、どういう人が負けているかをつぶさに観察していたのだ。嫌なガキである。

入念に調べるまでも無く、すぐに傾向が分かった。

勝っている人は、みんなどこかスロットに醒めていた。
全く楽しんでいないわけでは無いんだが、結局は数字を見ている。
立ち回りは冷静と言うより、決まりきったルーティンをこなす感じ。
狙い台を絞り、回す回転数を決め、それをきっちり回して帰っていく。

負けている人は皆、心からスロットを楽しんでいた。
BIGかREGかで一喜一憂し、心ゆくまでアツくなって投資を重ねる。
立ち回りは気分次第だ。オカルトとも思っていないオリジナルな決めで打っていた。

一番差があると感じたのは止め時だった。

上に書いた通り、勝っている人は事前に決めた事をひたすらになぞる。
いくら負けていようが勝っていようが、基準に沿って投資をコントロールしていた。

負けている人は基本気分次第なのだが、その気分を最も左右するのは投資額だ。
例えば、いまスロット台が1000枚吐き出したとしよう。約2万円。
これを2000円で出したとすると、負けてる人は高確率で止めていた。
しかし3万円使っているとほぼ続行だ。
彼らの頭の中はこうなっている。

「18,000円勝ちかぁ。これからどこまでハマるか分からないし、勝ち逃げしちゃお」

「あと500枚出せば取り返せる!続行だ!」

得たものは守ろうとし、失った物は躍起になって取り戻そうとする。
心理学で有名なアレだ。

当然ながら、スロット台は打ち手の心情や投資額を斟酌しない。(天井や解除G等はまた別だが)
ゲームとしてのスロットに勝とうと思った際、考えるべき事は

「この台を打ち続けた時に勝てるかどうか?」

だけであり、それ以外の思考はノイズでしかない。
勝っている人は1000円で出ようが出ると思ったら続けるし、5万円使おうがここで打ち止めだと思ったら止める。

負けている人は自分の都合に世界を合わせようとする
勝っている人は世界の都合に自分を合わせようとする


これは、スロットに限らずあらゆるギャンブルに共通する現象だ。
ゲームやシステムが理不尽なのでは無い。理不尽だと感じてしまう自分が、そこにある現実にフィットできていないだけである。

「なるほど、これをやると負けるんだな」
そう学んだ巷の打ち手少年は、それからしばらくスロットで凌いでいく事になる。

時を経て。
成長した巷の打ち手中年は、もちろんこの教訓を生かして...


天鳳というスロット台を自分の都合に合わせようとしていた。


麻雀では短期の成績が非常にブレる事は皆が知っているし
誰もが「5000ゲームは挨拶だよw」などと訳知り顔で語る。

ところがその実態は。
超短期のptやRの変動・中期の段位変動に振り回され、メンタルを激しくアップダウンさせながら、ドーパミンを求めて天鳳を打っている。
キザに気取りながらドラッグでラリってるロンドンの若者みたいだ。

特南で5ゲーム2-1-0-2だったとしよう。
四段は±0pt
五段は-30pt
六段は-60pt
14421の順だ。

連ラスで肝を冷やしたが、何とか連続で連帯してここまで戻せた。
五段は2着を取るとトントンで、六段はトップを取ればなんとプラスになる。

四段「もう取り返したし寝ようかな」
五段「何とか連帯すれば戻せるから、もう少しだけやろうかな」
六段「トップでプラス....トップでプラス....」

さて、誰が一番ptを失いそうだろうか?

「その日のptが減ったか増えたか?」を気にする人は多いと思う。
超短期とも言えないような数ゲームの成績なのに、どうしても気になる。
増えたら嬉しいし、減ったら悲しい。

増えたptがラスで無くなってしまうのは怖い。
減ったptは何とか取り戻したい。

それが人情である。
そういった感情は共感を呼ぶし、各種芸術はそうやって発展してきた。
落語の登場人物が感情に振り回されて右往左往する姿は、たまらなく愛おしい。

でも、勝ちたいんだったらそれをやってはいけない。
自分の都合で牌は並んでいないのだ。

そもそも、「取り戻す」という発想が終わっている。

増えた時はやめて、減った時は続ける。
私はそれを延々と繰り返して、おそらく数万ptを溶かして来た。
本当に、なんで天鳳になると全てがアンコントローラブルになるのか不思議で仕方がない。変な電波とか出ているのだろうか。
それともひょっとして、麻雀が好きなんだろうか。

天鳳界隈を眺めてきた中で、一番激しくヘラるのは九段の人だと思う。
私はなったこと無いので想像するしか無いが、全順位取得時マイナスの向こう側に踏み出すのが九段だ。
八段の塩梅は何となく六段の時で想定すれば良いが、その枠を超えて恐ろしいくらいptが減るんだろう。
日単位でもプラスに出来ないのが日常茶飯事になる。

それは仕方が無いことなのだ。
鳳南5000ゲーム以上ランキングで安定が9を超えている打ち手は一人しかいない。
どんなに強くても、"順当に行けば"九段はptが減る。(麻雀に順当って少ないけど)

九段という段位は天鳳におけるプレミアム段位の入口であり、なって嬉しい人は本当に嬉しんだと思う。
某北海道の人を挙げるまでもなく、自意識も膨らむことだろう。
そこに来て、ptが増えないストレスにより現実と理想の乖離に直面した際、何かが崩れても何の不思議も無いし、その人に責は無い。
ヘラる要素が整い過ぎている。

なんか九段の話になっちゃったけれど。

「日単位pt収支の悪化によるメンタルのブレ」

これが第二の要因だ。

これ、当てはまっている人多いんじゃなかろうか?
六段になった途端に不調・八段になった途端に連ラス。
見えているptに振り回されて、手順やゲーム数管理がおかしくなっていないだろうか?

では、これからどうしていけば良いのだろう?


■ 対策

とりあえず書くけど、色々考えてブラッシュアップしていくつもりです。

【麻雀が下手対策】
当面は座学、ちゃんとやります....

【確変バイアス対策】
クールダウン期間を設けるのは必須。
昇段したら、最低1日、できれば3日くらい打たないようにした方が良い。
その間は強い人を観戦したりして、自分の状態を正常に戻すことに専念する。
これを書くもう一つの意味がクールダウンだったりする。

確変時の牌譜は全部見た方が良い。
「酷い麻雀打ってるな~」というのが沢山見つかるはずだし、慢心があった場合は多少緩和されるだろう。
って言うか、牌譜は一切合切全部見ましょう。

【pt収支悪化対策】
これホント難しいと思った。

「短期の結果に一喜一憂しない」

が答えなんだけど、そんなことはみんな分かってるし、やれたら苦労しないんですわ。

これもやれたら苦労しないシリーズだけど、ゲーム数制限とゲーム離脱条件設定がちゃんと機能すれば、歯止めになる気はする。
私は

・平日MAX10ゲーム、連戦5ゲームで30分インターバル
・ラス即止め。再開する場合は最低1時間インターバル

でやってるが、これ機能させるまでに10年かかったし、明日も機能している保障は全く無い。
機能した理由も心が強くなったとかじゃなくて、体力の衰えだし...

何にせよ、本人が本人の力だけでメンタルをコントロールするのはほぼ無理なんで、何かしらのツール・ギミックが必要。

一時期流行ってた「ラスったら腹筋」あれは良いと思った。
健康になるし、体を動かすのはストレスにも効果的。

とにかく、自分の意志と無関係に機能するものを用意するという方向性が良いと思う。



長々書いたけど、実は今回そんな酷い事にならない気はしてる。
何故かと言うと、今まではずっと「良い成績を出したい」と思って打っていたのが、今は「鳳南で長生きしたい」になっているので、以前までの煮えたぎるような感情が少ない。

とは言いつつ、あの手この手で崩れるのが私なので。
油断せず、時々立ち止まって、知り合いの方々と笑い合いながら
引き続き天鳳を楽しんでいきたいところです。

さぁ、打とうか。