離婚への道程 九

新婚

結婚式も無事終わり、元旦那実家へ引っ越しも完了して2週間ほど経つと、だいぶ落ち着いて生活できるようになった。
私もまだ働いていたため、家事は朝の弁当と夕食作り&皿洗いと掃除を担当。洗濯は元姑担当で、仕事が休みの日には掃除して夕食も作ってくれるという役割分担だったと思う。元旦那は風呂掃除・ゴミ捨て・たまに洗濯。相談して決めたわけではなくなんとなくそういう風に納まった、という感じ。
夕食後は元姑と二人で果物やお菓子を食べて昔話をしたりして、楽しく過ごしていたおかげで肉割れするぐらい太った。離婚してから約15年間女手一つで男兄弟を育て上げた元姑と、そこで気ままに育った元旦那。家ではお互いに連絡事項を伝えるくらいで、家の中でただのおしゃべりをすることが無かったんだろうなぁと思う。この時間はとても穏やかで会話もはずんでリラックスできる時間だった。
元旦那はというと、食事が終わると早々に自室にこもりゲームをしていた。

実家までは車で数分の場所だったのに、土日に暇でも用事がない限り帰ったりせずにいたのが今不思議でしょうがない。いい嫁ぶって遠慮してたのかも。


結婚して初めての年末・大晦日

仕事納めの12月26日。私の退職日でもあった。前日に元姑のお姉さんが亡くなり、妊婦の私以外のメンバーはお葬式のため福岡へ。東京在住の義兄も葬儀の後一緒に帰ってきて10年ぶりに年末をこちらで過ごすというので、とても緊張していた。

30日くらいから元姑に教わりながら一緒におせちの下準備を開始。31日はほぼ一日料理をしながら掃除して、夜は4人でテレビを見ながら過ごしていた。久々の義兄の帰郷&嫁という存在がいるので、元姑はとても張り切っていた。
義兄は無口な御方で、しかもまだ結婚式で1度しか会ったことのないほぼ他人状態。義兄からしても私は気を使う他人だったと思う。あまり盛り上がって会話をすることも無かったんだけど、私に対する元旦那の態度や言動を見て「そんな事嫁さんに言う…?お前捨てられるぞ」とやんわり制してくれていた。そんな大晦日。

夜11時頃、たまり場の主J君から元旦那に電話がかかってきた。みんなで集まって鍋してウイイレやってると携帯から漏れ聞こえていた。
「え!?まじで〜?笑 わかった!」
と言いながら自分の部屋に移動する元旦那。義兄が「え?」みたいな顔して目で姿を追う。部屋から出てきた元旦那はバッチリお出かけ着に着替え済み。そして「ちょっとJの家行ってくる!」と楽しそうに玄関に向かった。

義兄が「ちょっとお前…今日は出ていくなよ!シカさんは実家に帰らずここに居てくれてるのに、一人置いて自分だけ遊びに出るって有り得んだろ?」
と、引き止めた。
すると元旦那は「え?ダメ?じゃあシカも実家帰る?送っていくよ今から。帰るならさっさと準備して早く!」と何故か私を急かしてきた。
「いやそうじゃないだろう…出かけるのがおかしいって話」義兄が呆れたようにため息交じりで言った。
「え?だめ?どうするシカ?俺おったほうがいい?もうご飯も食ったし別にやること無くない?」と、元旦那がお得意の責任転嫁で私に決定権渡そうとする。揉めそうな雰囲気に義母もオロオロ。

10年ぶりに一緒に大晦日を過ごすことを楽しみにしていた義母と、次はいつ実家に帰って来られるかわからない義兄なのにこんな雰囲気になったのが可哀想になってきて
「実家のみんなはもう天草に行ってるし、私は大丈夫だけん行ってきたら…」と言ってしまった。言った瞬間「ほらね!じゃあいってきま~す」と言って秒で出ていった。


ガチャンとドアが閉まったあと、義兄が「あいつ、いつもあんな感じ…?」と聞いてきた。「まあ大体そうですね…」と答えると、私のお腹を見てため息をつき
「ちょっと考えられない。もしシカさんが別れたいと言っても反対できん。だって・・・突然置いて一人で行く?新婚なのに。こんな日に。前々から約束してたわけじゃないのに。自分の実家に。アウェーに。ほんと申し訳ない・・・ごめんな」
と、とぎれとぎれに悲しそうにつぶやいた。
「だいじょうぶですよ。年越しそば食べたら私ももう寝ますし。ありがとうございます」と答えた。貴殿はきっと良い夫になるでしょうねと思いながら。義母は気まずそうに悲しそうに黙ってうつ向いていた。

その後気を使われながら年越しそばを食べて、私は寝床に入った。義兄と元姑はしばらくテレビを見てお話していたけど1時頃には寝床に行ったようだった。
朝5時半ごろ目が覚めて携帯を見ると元旦那から2時頃に「一人で大丈夫?」とメールが来ていた。怒りとか悲しみとか全く沸かない。急に気遣うようなメール送るとか意味がわからない。メールは無視。

朝8時頃旦那の事には触れずに3人でおせちをたべて、10時前には近所に住む義祖母にあいさつに行くと言って義兄と元姑は家を出た。私が作ったお雑煮を小鍋に入れて。
そして10時半頃、しれーっと元旦那帰宅。「初詣行きたいけど、そのお腹だけんなぁ…行けんよね」とゴロンと横になってため息ついたので「お母さんたちはさっきばあちゃんちに行ったよ」と言うと「じゃ、俺もいってこよーっと」と言って立ち上がりサッと出ていってしまった。
オイ!ワシは!?と叫びそうになったけどもう諦めの境地なので黙った。何なんあいつ。

2日に空港までお義兄さんを見送りに行き、それからお正月休みが明けるまでどうやって過ごしたんだったか全く思い出せない。食器を洗うとき水が冷たくてしんどかったとか、お風呂が寒かったとか、あと元姑は私を気遣って色々してくれたなとか、そういうことは覚えているのにな…。

2月17日が出産予定日だったので、1月15日に実家に里帰り。
ちょこちょことした荷物と大きなお腹を抱えて、久しぶりに実家でゆーーっくり何もせずダラダラとすごしました。

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