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さよなら、アリス

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――中学生の僕、お向かいのお姉さんにゴスロリを着せられる。 僕の住む家の向かいには、古い廃墟の館がある。ある日そこに不思議な女の人が引っ越してきて、ひょんなことから家に招かれて…
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#ロリィタファッション

第十話 扉を開けて

「母さん、明日の土曜、昼から出かけたいんだけど」  学校から家に帰るなり、僕は台所で母に…

シュリ
1年前
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第九話 鳥かごの中

   五    昼間になっても風の冷たさが増すようになってきた。十二月の頭にもなると、本格…

シュリ
1年前
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第八話 他には何も

 やっと兄から解放されたとき、やはり時計は十二時を回っていた。兄はこれから少しだけ自分の…

シュリ
1年前
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第七話 失った時間

 ヒマリさんの衣装部屋でアリスになるとき、初めのうちは薄ら冷たい罪悪感がなかなかぬぐえな…

シュリ
1年前

第六話 姉妹の契り

 衣装部屋なのに、部屋の隅に黒くて小さいスピーカーが二つ並んでいて、ソプラノの歌声が響い…

シュリ
1年前

第二話 幻想の城とお姫さま

 玄関をくぐり抜けた瞬間、僕は息をするのも忘れてしまった。陰鬱な灰色の石壁に囲われた館の…

シュリ
1年前

さよなら、アリス

あらすじ  ――中学1年生の僕、お向かいのお姉さんにロリィタを着せられる。  僕の住む家の向かいには、古い廃墟の館がある。ある日そこに不思議な女の人が引っ越してきて、ひょんなことから家に招かれてしまった。ロリィタファッション、アンティーク、美しい絵画や音楽……そこには僕の知らない「美」であふれていた。近世にタイムスリップしたような館の空気と妖しく微笑む彼女の雰囲気に呑まれていく。「あなたはアリスよ」――彼女に言われるがままロリィタを着せられ、僕は次第に、幻想世界へ頭からど