N2文法:あげく/末に/結果
あげく①
【意味】
「AあげくB」いろいろやってみた(A)、結果B(Bは話し手がよくないと思っていることが多い)。Aが原因でBが結果になるようなことには使わない。 *「末に」「結果」も使える。
【例文】
1)いろいろ考えたあげく、帰国することにした。
2)散々試行錯誤して苦労したあげく、うまくいかなかった。
3)1時間悩んだあげく、結局買わなかった。 4)面倒な書類の作成や無駄な会議を繰り返したあげく、今回のプロジェクトは中止になった。
5)妻はガンになって、3年以上苦しんだあげくに、死んでしまった。
【「あげく/末に」の違い】
・いろいろ考えたあげく/末に、帰国することにした。
「あげく」を使うと後件は「よくないこと」が予想されるし、話し手が後件に対して「よくない」という意識がある。そこに話し手の意図があるので、「末に」を使うと意味が変わる。「末に」は前件の過程にポイントがある。上の例文では「あげく」を使うと「帰国」が「よくない」意味、「末に」を使うと帰国を決めるのに「いろいろ考えた」という意味になって、「帰国」がよくない意味というわけではなくなる。
あげく②
【意味】
AあげくB。Aはよくないこと、さらに続いてBという悪いことが起こる。 *「末に」「結果」は使いにくい
1)寝坊したあげく、遅刻してテストが受けられなかった。
2)電車で足を踏まれたあげく、どこかで財布を落としてしまった。
3)旅行したある国では、ひどい治療をされたあげくに高い治療費まで払わされて大変だった。 4)友達は泥酔のあげく、通行人に迷惑をかけて、パトカーまでやってきた。
5)友達に誘われて行ったセミナーでは高いものを買わされたあげく、あやしい宗教に勧誘されそうになった。
6)性格が合わない二人は口論のあげく、殴り合いの喧嘩になった。
結果
1)日本語教育を普及するために大きな努力が行われた結果、この国では小学校から日本語が勉強できるようになった。
2)日越間で話し合いが行われた結果、農産物輸出入の自由化が決定した。
3)30年前に消費税が導入された結果、この国では社会福祉が充実するようになった。 4)この国では憲法が改正された結果、首相の権力が強くなった。
5)感染対策により、国民の行動が制限され続けた結果、経済は疲弊してしまった。
【使い方】
・「結果」は硬い内容の文で使うことが多い。
・そのため客観的な言い方になる。
・個人的なことに使うと中立的(Neutral)な言い方になる。
違い
「末に」「結果」との違いが問題になるのは「あげく①」
・いろいろ考えたあげく、会社をやめることにした/今の会社に残る。
上にも書いたが、「あげく」を使うと、後件には「よくないこと」が連想されやすく、話し手がよくないと思っていると感じられる。また聞き手も同じようによくないと感じる。
・いろいろ考えた末に、会社をやめることにした/今の会社に残る。
こちらは他のサイトの説明にあるように、「いろいろ考えた」というところにポイントがあり、後件に対して特別な意味はない。
・いろいろ考えた結果、会社をやめることにした/今の会社に残る。
基本的に硬い文章で使われることが個人的には多いと思う。例のような文で使われる場合は、自分のことではあるが、「会社をやめる」ことに対して俯瞰的に見ているような感じを受ける。
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