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浜松市博物館に行った話

前から気になっているものの一つに「家形土器」があります。弥生時代に作られた、文字通り家形の土器なのですが、類例が少ないからか、単に勉強不足なのか、それが何なのかあまりよく分からない。よく分からないから気になる存在なわけですが…。

家形土器を見に行こう!

この投稿を見て、これ見てみたい!と思ったので、行くことに。

木製の甲もかっこよさそうだし、こういうものは実物を見なくては。

浜松市博物館へ!そこはシジミ塚のあるところ

浜松駅からバスに乗り10分ぐらい揺られると、バスが坂道を上がり始め、停留所名に蜆塚(シジミヅカ)というという地名が入ってきます。つまり、平地から台地へ上るとシジミの塚、つまり貝塚がある、ということなんですね!これだけでも縄文時代の地形とか、あれこれ想像が膨らみます。ワクワク。
実際、浜松市博物館は蜆塚遺跡のある公園内にあるのですが、遺跡では貝塚の断面の観察などができます。

シジミが圧倒的に多いことが地名の由来
竪穴住居の復元も
公園自体は割とコンパクト

いや、今回の目的は弥生時代なのだった!といざ博物館へ。

銅鐸フィーチャー!

伊場遺跡とは?

今回の目的である伊場遺跡群の展示は、企画展というわけではなく、常設の一画に設けられた特別展示です。
伊場遺跡は、天竜川が作った扇状地、そしてその西にある三方原台地の南にある遺跡。天竜川が運んだ土砂によって形成され、海岸線の後退によって表面化した浜松南部平野という沖積地の北東あたりにある遺跡です。周辺の同時代の遺跡もまとめて伊場遺跡群と呼んでいるようです。
(ていうか、伊場遺跡の現地は公園になっているみたいなので、訪れてくればよかった!と今気づきましたが、季節がよいときにでもリベンジしよう…。)

前置きが長くなりましたが、家形土器!

丸みがかわいい家形土器(鳥居松遺跡)

細かい文様などは意外なほど入っていなくて、柱と梁を表現したと思われる凸帯が入っています。同じ遺跡から別の家形土器の破片が出ているのですが、そちらには細かい文様が入っているようです。

他にも、個人的に好きなのはこれ。あまり見たことがない、革袋みたいな鰭付壺。

細かい文様が入っている鰭付壺(伊場遺跡出土)

そして、この展示のメインはこちらの木製甲。なんとかっこいい!

かっこいい!木製甲(伊場遺跡出土)
細かく掘り込みが入っています

精巧な作りで本当に素晴らしいです。
そして、き、君は…

ぼく、しょうどうたくん!(伊場遺跡出土)

というわけで、小規模ながらとても興味深いものが並ぶ展示でした。

家形土器ってなんだろう

そういえば、家形土器の謎に迫るのが今回の目的でした。ここでちょっと購入した図録から引用。

『伊場遺跡と弥生時代後期の文化』をゲット

家形土器は独立棟持柱をもつ神殿や穀物倉庫など特殊な建物を模したもので、本来的な機能は容器(壺)である。弥生時代の建物を象ったどきは全国でも10数例しか確認できていないが、鳥居松遺跡から完形1点、破片1点分の2点が出土しており、特異な状況である。

『伊場遺跡と弥生時代後期の文化』P.56

謎に迫ろうにも類例が少なすぎるんだろうなぁ。ちなみに私は10数例のうち伊場遺跡の2例を含めても4例しか頭に浮かばないです。ちょっと調べてみよう。他にも農耕の祭祀について興味深いことが書かれているので要勉強です。(※参考文献としてhttps://ci.nii.ac.jp/ncid/BA67636311が挙げられているので、探して読む)

常設も楽しい


この地域は、ナウマンゾウあり、貝塚あり、銅鐸も出れば古墳もあるのでその他の時代の展示も個人的には面白かったのですが、ちょっと散らかっちゃうのでまた別の機会にまとめたいと思います。

ナウマン象から古墳まで、なてぬぐい最高ー!

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