「PRESIDENT」より。完璧さよりスピード重視する理由

Nさん「寺澤くん、あの件、どこまでできた?」

僕「まだ半分くらいですねー。とりあえず、フローの叩き台だけはできました」

Nさん「どれどれ、ちょっと見せて。……ああ、ここはこうしたほうがいいね」

僕「なるほど! あー、この段階で言ってもらってよかったー。このまま進んでたら、手戻りが発生してメンドクサイことになってました」

Nさん「うん、そうなんだよ。自分だけの視点で100%に近いものを作ってから上司に見せるんじゃなくて、50%くらいの段階で、進めてる方向が間違ってないかを確認するのって、仕事を進めていく上ではものすごく効率的なんだよ。

逆に、完璧主義ですごく時間をかけて仕事をしたのに、ダメ出しされて苦労している人もいるよね。

完璧主義よりも、50%くらいで相手に渡すほうがよっぽどいい。理由は3つあってね……」

Nさん「まず、完璧さよりもスピードを重要したほうが『依頼主の意見を聞いて対応する時間ができる』んだよ。

ほとんどの仕事は、誰かからの依頼に基づいて、誰かに渡さないといけないものでしょ? 自分だけが完璧さを追求して完成させた資料だったとしても、相手がどう受け取るかなんて、わからないじゃない。

それよりも50%くらいの出来で1回相手に見てもらって、大まかな方向性の確認をもらったほうが後々の手直しが少なくなるというケースが多いんだよね。これは、さっきの寺澤くんのケースだね。

逆に最悪のケースは、時間をかけて資料を作成して、締め切り間際に大作を相手にドンッと送りつけ、終わったつもりでいたら大幅に修正が入って徹夜というパターン。こういう仕事の仕方をしないようにね」

僕「それ、怖すぎますね。気をつけます!」

Nさん「あと、完璧さを求めると時間がかかりすぎるという難点があるね。

たとえば50%の完成度で資料を提出して、その段階で方向性を確認できたら、そこから90%の完成度にするのはそんなに時間がかからないんだよ。だけど、そこから95%、98%、99%……と完成度を上げていくためには、50%から90%に上げたのと同じか、それ以上の時間がかかるんだよね。

特に完璧さを求めるとよくないのがパワーポイント。内容だけじゃなくて文字の位置とか色、大きさまで完成度の対象になってしまうし、それには正解がないじゃない。

そんなことに時間を使うくらいなら、ある程度自分がいいと思う観点でパパッと作成しておいて、最後の10%は依頼者に微調整をしてもらうくらいの適当さがあるほうが仕事は進むんだよ」

僕「ううう、パワーポイントで内容はもうできてるのに、文字調整でハマった経験があるのを思い出しました……」

Nさん「あと仕事って、火のついた爆弾みたいなもんなんだよ。その爆弾を受け取ったら、自分のやるべきことをサッとやって、次の人に回さないとね。いつまでも自分がずっと抱えていると、いつかドッカーンと爆発しちゃうんだよ。

爆発するまで抱えてるなんてありえないって、思うでしょ? でも結構、みんな、抱え込んじゃうんだよね。

自分が火のついた爆弾を抱えているときに、さらにあと、2、3個ほど同じように火のついた爆弾が手もとに転がってきて、どの仕事にも完璧さを求めてしまうと、時間切れで大爆発だよ。そうなったら、その仕事を依頼したまわりにも被害を及ぼすことになっちゃうよね。

だからさ、完璧さを求めるあまりに大爆発を起こすくらいなら、適当なところで爆弾を手放して次の人にバトンタッチしたほうが、自分もまわりもハッピーなんだよ。

要は仕事って、自分の手もとにないほうが進んでいくっていうことだね。ははは」

僕「なるほど! よく大量の仕事を任されてるのに、涼しい顔してこなしてる人がいますけど、あれは手を抜いてるんじゃなくて、次の人にバトンタッチするスピードが早いってわけですね!」

こうしたやり取りがあってから、僕は「仕事は完璧さよりもスピード重視だ」ということを意識するようになりました。そのおかげで、今まで仕事で大きなトラブルもなく過ごせてきているのだろうと思います。

この方法、めちゃくちゃ仕事の効率が上がるから、ぜひやってみてください!

【Nさんからの学び】

・完璧主義を捨てて、スピード重視のスタンスをとること50%くらいできたところで、依頼主の確認をとること
・自分のところに仕事をとどめておかないこと

外資系企業社員 寺澤 伸洋『40歳でGAFAの部長に転職した僕が20代で学んだ思考法』(KADOKAWA)

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