気配

二月四日 気配

おはよう。

雨上がりの朝。旅の窓から外の景色を眺めています。
小さな山の連なる合間を、短い電車が急いで走りぬけてゆく。
静けさの中、その電車のスピードがなんだかとても速く感じられます。

激しい雨が降ったかと思うと陽射しが急に眩しくなる。北陸の空には虹がよく出現します。昨日私が知ったのは、この土地ではこの季節、雷もとても多いのだということです。

突然の雷鳴。それがあっという間に過ぎると、この土地の人たちは「きっと雪が降るね」というのです。ここの人たちにとって、雷は雪がくることを告げるシグナルみたい。11月から12月頃の雷を「鰤起こし」と呼ぶのだと土地の人が教えてくれました。

その土地に流れる時間とその名前について知ることは、縁側でお茶をいただいくような、こころのほぐれる体験でした。

今日は立春。つい意識して春の気配を探してしまいます。この風景の中にさまざまな色彩や時がとけているのをただ眺めながら。時に名前をつける人の営みに愛おしさを感じながら。

時に名をつけたその古の人の存在を、今日は感じて過ごしてみたい。

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