Seasons of Love
冒険研究所書店がある桜ヶ丘駅から終電に飛び乗った帰路、見元くんがおもむろに、最近観た映画「tick, tick...BOOM!」のことを話し始めた。
「tick, tick...BOOM!」は映画にもなったオフ・ブロードウェイ・ミュージカル「LENT」の作者でもあるジョナサン・ラーソンの作品。
時期は違うけれどわたしと見元くんはLENTを現地ニューヨークで鑑賞していて、出会った当時その話で盛り上がった。見元くんの話は要約すると「tick, tick...BOOM!」を観て「LENT」のことを思い出し、ひさしぶりにLENTの代表曲「Seasons of Love」を聴くと、当時といまとでは感じ方が違っていたということだった。
Seasons of loveは、
525,600分。1年をどんなふうに測ろう? 陽の昇った回数か、陽の沈んだ回数か。夜が訪れた回数か、淹れたコーヒーの回数か。笑った回数か、怒った回数か。愛ならどうかな。愛で測ってみるのもいいんじゃないかな。その1年にたしかにあった愛を思い出そう(忘れちゃいけない)
そんな歌詞。で、終盤に
It's time now to sing out
Though the story never ends
Let's celebrate remember a year in the life of friends
と続く。予期せずこのLENT初公演の前日に急逝したジョナサン・ラーソンの存在が、この歌を聴いた人たちにとても大きな "揺らぎ" を持たせていると思う。
以前noteに「あい」という日記を書いた。照れくさくて、なによりことばにして言えば言うほど陳腐になりそうな気がしていた「愛」ということば。それがこの年齢になってずいぶんと身近になったという話。
「愛」ですべてを包括的に語ることはどこか乱暴で、大雑把な気がする。だから避けたい。だけど「結局は愛だよ」はたしかにそうで、だからこそことばにせず、心の中でそっと思っておきたい気持ちがある。それでも、岡田さん夫妻の愛犬クリームを抱くわたしの写真を撮る人たち、が写るこの写真を見ると「愛だよなあ」に気持ちがすっぽりと収まる。
いま自分のそばにある小さなしあわせをとりこぼさないよう、一緒に過ごす時間を大切にしていくことが最良で最善であることはわかってる。でも、悲しいことがたくさんある。喪失や悲しみをいったいどれほど抱えなきゃいけないんだろうと怖くなる。だけど、だから、こういう曲が生まれるのだろう。
Seasons of Loveを聴きながら、そう思った。
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