プロットができるまで

日記帳が3ページしか埋まらない人間なのですが、なんと三回目の記事です。えらいと思います。
今回は「お話の考え方と、マンガへの落とし込み方」についてトピックをいただいたので、いつもの通り自己流ですがお話させてください。
長くなりそうなので、とりあえず今回はプロットの部分を。

マンガができるまで

うちの工場のスタッフです。

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同人誌が描きあがるまで、主に三人のスタッフが頑張っています。
今回は、プロットのところにフォーカスしていきます。


アイディア出しとプロット

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アイディア出し - 「誰が何すると萌える?

プロットの前にアイディア出しをして、描く話を決めます。私の場合二パターンあって、

A.ぼんやりした萌えをマンガにしたいパターン
B.明確にあれが見たい!と最初にイメージがあるパターン

です。
Bのことを一般的に「ネタが降りてくる」というんでしょうね。
いつもそうでありたい……。とりあえずAの方を。

ぼんやりした萌えをマンガにしたい

Bを「降りてくる」というなら、Aは「ひねり出す」パターンです。
まずはぼんやり萌えてるもの、描きたいものについて考えます。ネタ出しの時考えていること、書き起こすとこんな感じかも……怖いので読まないで大丈夫です。個人の解釈です。

一年前に出した『ナイフ』という同人誌を描いたときの流れを。
https://www.pixiv.net/artworks/75815729

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このぼんやりとした萌えを、「自分は何に萌えていて、何が見たいのか?」に単純化していきます。断片的で大丈夫です。

・凛月の希望と絶望。
・兄たる零ちゃんに対する劣等感と、情。
・意気地のない凛月が、せめて大切なものを守ろうとあがくさま。
・守ろうとすることは友達になった英智を攻撃すること。でもそれができない意気地のなさ、とも言えるが、凛月の懐に入れたものに対する情の深さ。
・英智と凛月のかしこい腹の探り合い。
・英智の寂しさと鬱屈。
・素直じゃない二人の、嫌な応酬の中にある純粋な友達関係。
・英智の持つ健康な人間に対する劣等感。
・英智の零ちゃんに対するムカつき。

あ~~~~好きだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

これを描けば自分は完璧に萌えられるというわけです。なるほどね。
ここから拾いながら、なんとなくストーリーにしていきます。

最初の状態と、最後の状態を考える。

話の最初と最後の状態をうっすら考えておきます。
今回の場合は

最初:零ちゃんへの劣等感から鬱屈して、小さな世界で生きている凛月。
最後:英智を否定しても、友達関係はこれからも続く。

て感じ。オチ考えるのが苦手なので、最初にある程度考えておきます。
次に、間を埋めていきます。

大まかな流れを組み立てる

零ちゃんへの劣等感から鬱屈して、小さな世界で生きている凛月。
少しずつ外の世界の優しさに触れて「悪くないかも」と思い、そして英智とも出会って意気投合し、なんだかんだ楽しくなってくる
その英智が凛月の大切なものを壊していくのに絶望する凛月。
凛月はついに英智を裏切り、零ちゃんに英智の動きをリーク。
それでも英智は凛月とお茶会をしにくる。凛月もそれを受け入れる。二人は賢い悪態をつきあいながらも、友達であり続ける

抽象的ですが、主に感情の動きは掴めてきた気がする。
希望と絶望の落差は大きい方が好きです。

プロット

いざ、実際のエピソードや、どう表現するかを考えながらプロットを書いていきます。本当はもっと工程踏んだ方が良さそうですが、私はこの辺で見切り発車します。Bの降りてきたパターンの時はここからスタートかも。
メモとかしつつ、会話形式で浮かんだシーンをプロットにしていきます。

基本最初から順番に書いていきますが、メモ帳ツールで書いてるのでコピペで話の順番入れ替えたりなどしつつ、なんとかやっていきます。
出先でスマホのメモ帳アプリで書いたのを、家のPCと共有したりしつつ。

最初のプロットと、書いてるときに考えてたことメモはこんな感じです。いろいろ考えながら会話にしていきます。

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だいぶ話がまとまってきたのでは…!?
書き進めながら、ある程度納得いくまで直します。(直し方は後述)
一回ガーーッと最後まで書いた後、読む人の立場だとどうかな……という視点で直していくことが多いです。オチのセリフとか悩む……。

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直すときに意識すること

起承転結
よく言うアレです。とはいえ捉われすぎても収まりがよくなりすぎるので、目安程度がいいかもしれません。
最初の状況(起)と、最後の状況(結)と、それが変わるきっかけ(転)、がなんとなくあるといいな~くらいに思ってます……。

行動させる
私はつい会話劇にしちゃうこと多いので気をつけてます。説得力もたすためだったり、マンガ映えさせるために……。例えば、

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これだとご都合主義感出ちゃうんですけど
(言われただけでヤンキーがちゃんとする?)

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これだと説得力出るのではないでしょうか。死ぬので。

会話の時も「〇〇しながら」「〇〇の回想しながら」とかだと画面映えします。

矛盾潰し
話の最初にキスしといて、話の後半で「キスは結婚してからだな」って言いだしたら「は!!?!?!?」ってなるじゃないですか。プロット書き終わったとき、もし最初にキスしてたら直しておきます。

伏線の挿入
「あんたのはちゃめちゃっぷりにはいつも困らされてるけど……」
て最後に言わせたものの、ずっと真面目な様子しか描かれてなかったら「何を言ってるんだ???」ってなるじゃないですか。

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何を言ってるんだ!?と、なってしまうので

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はちゃめちゃな様子も入れておきます。

くどくないか?
話は長くなれば長くなるほど、寄り道すれば寄り道するほど、初めて読む人はわからなくなります。たとえば

昔々あるところに、おじいさんとおばあさんがいたんですが、このおじいさんとおばあさんが実はシークレット・ジャパン国のエージェントで、おじいさんが山に芝刈りに、おばあさんが川へ洗濯に行ったところ……おばあさんのところにミッションが流れ着きます。桃です。この桃というのは宇宙素材・ハードスペシウムメタルで作られた鋼鉄製で、通常の手順では割れないようになっております。おじいさんは山で掘りだしたメタリウムカットダイヤでのこぎりを拵え、二人のエージェントは桃を割ることに成功します。この二人は子供のころからの特殊施設で、特別な訓練を受けていました。「エージェントナンバー・1085、暗証番号をどうぞ」桃から機械音声が。

おじいさんとおばあさんの設定盛りだして楽しくなっちゃったパターンですね。もう情報量が多すぎて意味わかんなくなっちゃうので、普通に桃が流れてきて、子供が中に入ってて、子供が成長したら犬サルキジを連れて、鬼退治に行く。でいいと思います。

脇キャラの描写が楽しくて描写を深めすぎると、存在感が増しすぎて話が変わっちゃうので気を付けてます。よくやってしまう……。


あとコマやフキダシ内の文章量にもよりますが、プロット自体、あんまり長くなりすぎない方がいいと思います。ネームと作画で死ぬので。

と、えらそうに書きましたが、私もあんまりうまくできてないので「できたらいいな~」くらいの感じに。ハードル下げていきましょう。同人誌である以上、推しの魅力を描くのがメインなのでね。


プラス考えること

面白ポイントor萌えポイント」を決めておきます。
読んだ人に持って帰ってもらいたい部分です。今回だと

見せゴマの表情
逆光の零ちゃんにドキっとしてもらいたい
凛月と英智の鬱屈

作業に詰まったとき最低限絶対に描くべきものがわかりますし、
作業中盤以降に「これ……おもしろいか……?」となっても、「ここに萌えるからいいんだよバカ!!!!!!」と立ち向かえます。

「こことここのコマで、キャラのかわいさが伝わればOK!」くらいのハードルにしておいた方が、作品がわかりやすくなるかなと思ってます。

とりあえずプロットの話はこんな感じに!
今度は番外編的に妄想ツイートからプロット書く練習の話とかしたいです。
おそまつさまでした。

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