見出し画像

「熊田千穂&Pianist 」再開します。私と企画と榊原灯香さんのこと。


2019年に始めた
ピアニストとのデュオライブ企画「&Pianist」は私が24歳で人前で歌わせて頂くようになってからそれまでの間に感じてきた様々な事、疑問も不安も希望も含めた様々な事を

2017年にドイツ(ベルリン・ケルン)スペイン(バルセロナ・グラナダ)そして
韓国、香港を旅したことによって
「世界中のあらゆる街で毎日毎晩同時多発に人間が表現をして生きていて、私はそのうちの東京で表現して生きてる1人なんだ」
という事を強く実感したことをきっかけに形にしたくなって実現したライブシリーズです。

 私のサイトにはこのように説明が載っています。


ー向き合ってしっかりDUOをやるという企画です。
共に並んでお客様に向き合うのが普段のライブなら、これは二人が互いに向かい合っている姿をお客様に見ていただく企画です。
むずかしい企画だなと思うのですが
やってみたいと思い、はじめました。
回毎に異なるピアニストに共演依頼し
写真家・近郷美穂ともコラボします。

 いまや東京はひと昔前のような特別さを無くしたと感じます。人々が地方や海外、様々な場所へと生きる拠点を自由に移動させる動きはどんどん活発になっていて、私はそれをとてもいい事だと感じています。
でも今、私は東京に住み
だいたいは東京を拠点に活動している仲間達と音楽をやっている。
自分が今それを選んでいる事をちゃんと実感していたいなと思うし、
やってくるあらゆる変化をなるべくしなやかに受け入れながら、楽しんで、しぶとく生きていたいなとも思っています。

ピアニストには「自分らしいと思う東京の街」を挙げてもらい その街でフライヤー撮影をします。ー

 コロナ前、自由に海外渡航することになんの疑問もなかった頃に生まれた企画です。

2018年に私は
「熊田千穂&Orchestra」という企画も始めていました。
こちらは&Pianistとは対象的な企画で、
7人編成のオーケストラで完全にお客様に向いたショウ的な音楽をするもの、
憧れのMax Raabe&Palast Orchestraへのオマージュも込めた企画です。
(そもそも2017にベルリンと香港へ行ったのはMax Raabe&Palast Orchestraを聴くためでした。)




・ピアニストとだけ向き合う&Pianist
・お客様と全開で向き合う&Orchestra


この2つの自主企画を活動の軸にして行くことで、自分と音楽との関係と表現のスタイルがよりはっきりしてゆくのではないかと思い、ライフワークにして行きたく思っていました。


&Orchestraを3回、&Pianistを2回
やったところで2020年コロナ禍が始まりました。

 配信という手段で多くの音楽家が暗中模索しながら表現を続ける中、私は私生活が大きく変わったこともあり自主企画は一旦収めることにしました。
その間、おむすびJAZZや益田英生(cl)さんや松原あおい(tp)さんの意欲的な配信企画に多くの機会を頂き有難いことに音楽活動を絶やすどころかむしろ忙しくコロナ禍を乗り越える事ができました。
お客様にもたくさんご心配と応援を頂き、本当に感謝しています。


 これは私だけでなくきっと多くの人が感じていることだと思うのですが、
2020からのこの4年間の激動には生き方を変える程のインパクトがありました。
長く苦しく激しい4年でした。
人生で初めて会社員を経験し、同時に家業KUMAMOKUを手伝い音楽をするという3足のわらじを履き、住む場所が数回変わり、大切な人と離れ、音楽学校に通い始め、重いコロナ罹患からの今も続く後遺症を患い、新しいバンドが始まり、サンフランシスコでボビー・マクファーリンと共演し、、
ざっと思いつくことを書いただけでめちゃくちゃだ。。。ウケる〜


そしてコロナがとりあえず落ち着いたとされる現在(2023)の世界から振り返ると私は4年前までの自分をまるで前世のそれように感じるのです。

今の方が進化した、とか、退化した
とかそういう事ではなく、別の人間の別の人生のような感じ。確かに自分なのですが。
もうとてもじゃないけどあんな風に生きられないなあという感じ。
4年かけて違う世界に来てしまった。


 それで、企画はどうすんの?
&Orchestraと&Pianistはさあ
と思うと、この2企画は形を変えてでも続ける価値があると思う。
でも生まれ変わって形も定まってない自分でできるのか?という疑問もある。

 &Pianist vol.1のピアニストは上山実くんでした。
その際のフライヤーがこちら。(撮影・デザイン 近郷美穂)
上山くんが選んだ東京の街は「千駄木」でした。



&Pianist vol.2のピアニストは田村衆記くん。
フライヤーはこちら。(撮影・デザイン 近郷美穂)
彼が選んだ東京の街は「駒込」。



互いにエネルギーを使い果たすようなライブを共にしてくれました。
お二人それぞれに本当にすごい集中力で向き合ってくれたこと、本当に有り難かった。


vol.3をやるならば、ぜひお願いしてみたいと思っていたピアニストが榊原灯香さんでした。
灯香さんは、おむすびJAZZ(当時は赤坂にお店がありました)でのご縁で共演を重ねたピアニストです。
初めて会った時から音が飛び抜けて美しくてなんなんだこの若い人は!(当時23歳かな)凄いな!と思い、共演がいつも楽しみでした。
ミュージシャンにもお客様にもファンが沢山いるピアニストでした。

 おむすびJAZZのご縁で、上山くんと灯香さんと私が一緒になることもあり、もちろん上山くんもすぐに灯香さんの音に「彼、すごい人だね」と反応して、私たちはなんとなく仲良くなり、&Pianist vol.1には灯香さんが聞きに来てシットインもしてくれました。
平和だったコロナ前の事です。




 やがてコロナ禍、
音楽家が活動を模索する中、灯香さんは創作と鍛錬に力を注ぎ、配信に焦点を定め活動していました。
SNS上に上がる彼の演奏は短期間の間に音楽性も技術もオーラも見る見るうちに変化してゆき、
私は「駆け上がるように次元を上げて自分のオリジナルをひたすら突き詰める時期にいるしそもそも歌との共演という所ではないな、&Pianistとかとんでもないな」と尊敬と畏怖の気持ちで演奏を聴いていました。


 そして2023春、彼が改名(榊原灯香は新しい名前です。)と秋からの渡独をSNSに発表した時は納得と心からの拍手しかなかったです。





 渡独前の灯香ライブにぜひ行きたいねと上山くんと予約をしていた頃、
国内ツアーで忙しい灯香さんがHUBに来てくれました。
それが先日10/16熊田千穂&上山実トリオです。
来てくださった方は印象に強く残ってると思います。会場が飲み込まれたあのピアノ。



 「何でもいいので、ぜひ弾いてくれない?」
という私のお願いに彼は
「デュオでもいいですか?My foolish heartで」
と答えてくれ、私はとても意外で驚きました。
ソロで一曲弾くか、バンドでのセッション曲に入るかのどちらかかなと思っていたのです。(結局セッションもしてくれたんだけど)


 (そうか。それならばこのMy foolish heartが灯香との&Pianistだ)
私はそう思い、あの一曲だけを完全に&Pianistのスタンス(ピアニストとだけ向き合う)で歌いました。
後でお客様に「あの曲の時、もう完全にピアニストとしか向かい合ってなかったね」と言われましたが、その通りだったのです。


 そんな榊原灯香さんと
&Pianist vol.3を出来ることになりました。
あのHUBの日に急遽決めました。
やりたいと言ってくれて
どうもありがとうございます、灯香。

私的にはなんといいますかもう、
この傷みも喜びも沢山ある心身で向き合わせてもらえる事が全てです。
ありがとう。




『&Pianist vol.3』

Vocal 熊田千穂
Piano 榊原灯香

11/4(土)
開場18:45
開演 19:15(21:00終演予定)
料金 : ¥3,000
ご予約は熊田までお願い致します。

会場・東京音楽堂 日本橋PIANO HALL

https://ongakudou.jp/nihonbashi


来月には渡独するというスケジュールの中で急いで決まりました。
フライヤー撮影はこれからです。
近郷美穂の新作!こちらもどうぞ楽しみにしていてくださいね。


















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?