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恋の前夜 ㉝「瞳を閉じてつかまえて」

秋野ひとみ「つかまえてシリーズ」全95タイトルを全巻レビュー。
無作為に選び一冊ずつ順不同にいきます。 

33作目「瞳を閉じてつかまえて」1995年

「雪降る夜につかまえて」の前作だと思うと、大切な位置づけになりそう。由香が圭二郎さんと菊地さんのどちらを選ぶのかという「天使をつかまえて」から続いていた問題にひとまずの決着がつく直前。

この作品までは、結論を出していない由香でいるということ。

12月中旬、由香と左記子と小林くん、三人での放課後ティータイム。
弘毅さんとの仲直りを果たせていない左記子が二人に相談する。
それは加川くん(ケンカの原因になった)に会って聞くしかない、と由香と小林くんから提案されたところで嬉しそうに出ていく。とっくに加川くんと約束してた。左記子の浮ついた言動が許せない由香。

左記子と加川くんのいる喫茶店では、隣席の夫婦らしい人たちが面白そうな事件の匂いのする会話をしていて盗み聞きした左記子がとびつき、加川くんを巻き込んで調査に乗り出す、という展開。

喫茶店で待機する由香に話しかけてきたのは「鵜堂学」と名乗る私立探偵。前回の「彼の部屋」事件で、もともと依頼を受けていた探偵で、彼の出番を桜崎チームが奪ったようなものだから恨みがましい気持ちを持たれている。彼が仕組んだ、架空の事件。左記子にわざと聞かせて興味を持たせ、首をつっこんだところでコケにするのが目的だったことがわかる。
しかし、この鵜堂は仲間割れで殺されてしまう。この人、名前が個性的だからか、ウドウガクって言葉をなんとなく記憶してしまっていた。この作品は、ほんとの事件が起こらないまま進む。

ラストはクリスマスイブの朝につながり、朝の由香の様子を追いながらおわる。

嵐の前の静けさなのか、この作品、圭二郎さんほとんど出て来ない。
由香に頼まれて左記子を尾行する探偵を調べ、その正体をつきとめることが左記子へのクリスマスプレゼントで、これでサキちゃんのサンタクロースになれるかな、とかっこいいシーンはある。
この頃は圭二郎ファンだった私、出番が少ないの残念だ、と思ってた。
二か月後に出る新作で、あんなことになるとは、うん、やっぱ想像はしていなかったです。




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