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イブのために 82「クリスマス・ツリーの下でつかまえて」

秋野ひとみ「つかまえてシリーズ」全95タイトルを全巻レビューするのが目標。無作為に選び一冊ずつ順不同にいきます。 

82作目「クリスマス・ツリーの下でつかまえて」2003年

つかまえてシリーズは、クリスマスを大事にする。

由香と左記子の高校一年生、二年生、三年生、大学一年生の四年間を追ってきたこのシリーズ。クリスマスは四回ある。

高校一年生のときは、桜崎事務所でのパーティーはしていない。二年生のときに初めてして、その準備の様子が楽しく描かれ、左記子に命じられて買い物に出た由香が外出先で出会ったのが菊地さん。三年生のイブの日は、由香が好きなのは圭二郎さんだと認めた長いバスジャックの一日。

そして、再び事務所でのクリスマス。数年前と同じように左記子の指揮のもと、メンバーが忙しく立ち働き、準備を進める。

由香を休ませるため、クリスマスの前の週から事務所を飾り付けることを許す桜崎さん、優しい。それでも依頼にくるよっぽどの事件しか取り扱わないとの方針。

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「よっぽど」の依頼人はやっぱり来るし、それを引き受ける。ことはわかってるんだけどこの作品、本題であるはずの事件がほんとにつまらない。高校生たちの誘拐狂言、二年前にも同じことがあり、再度の狂言か今回は本当なのか、を調べていくんだけど、なんか、複雑すぎて意味を追えなくなっていく。

脇では、つかまえてお得意のクリスマスムードが盛り上がっていくにつれ良いエピがたくさん出てくる。クリスマスのための事件だろうに、クリスマスがあるから事件がつまらないのか。事件の舞台になるホテルは、速水さんの作品が展示してあるから皆の集まる場所にするための設定だろうと透けてみえるし。

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由香と菊地さんの、「クリスマスか」「もうすぐクリスマスか」の会話は最高だった。二人が初めて会ったのは、由香が高二だったクリスマスイブの日。当時は、一話かぎりの嫌な奴だと思ったよねえ読者は。

メリークリスマス、つかまえてメンバーの皆さん。

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